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【作家歴】、花合せ、三悪人、緋色からくり、数えからくり、散り残る、春疾風、三人小町の恋、とんずら屋弥生請負帖、質草破り |
盗人、翔ぶ梅、とうざい、鯖猫長屋ふしぎ草紙、甘いもんでもおひとつ、とんずら屋請負帖−仇討−、半可心中、酔ひもせず、長屋狂言、八万遠(やまと) |
まっさら、彩は匂へど、晴れの日には、錠前破り銀太、恋糸ほぐし、鯖猫長屋ふしぎ草紙(二)、錠前破り銀太−紅蜆、鯖猫長屋ふしぎ草紙(三)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(四)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(五) |
錠前破り銀太−首魁、あなたのためなら、縁切寺お助け帖、鯖猫長屋ふしぎ草紙(六)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(七)、かっぱ先生ないしょ話、縁切寺お助け帖−姉弟ふたり−、鯖猫長屋ふしぎ草紙(八)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(九)、大福三つ巴 |
「紅きゆめみし」 ★★ | |
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時代小説版ホラー・ミステリ。 舞台となるのは、<八百屋お七>事件の後、間もない頃。 吉原の花魁=紅花太夫が稲荷神社で見かけた、禿と思える幼女、それは火刑に処せられたお七の亡霊なのか。 その紅花太夫の贔屓客の一人が、市村座の人気女形である「荻島清之助」こと新九郎。 新九郎、ちょうど立役者と揉め舞台から遠ざけられている処。紅花太夫から頼まれ、「七」と名乗る幼女の謎解きに挑みます。 「お七様」事件の謎解きはやがて、八百屋お七の事件に遡り、そして妖しい様相を見せ始めるのですが・・・。 探偵役を何故役者に設定したのか、というと、役者たる者、人の嘘を見破るのに長けているから、ということらしい。 役者、それも女形を主人公とした事件ものというと“濱次お役者双六”シリーズが思い浮かびますが、「長屋狂言」を最後にだいぶ時間が経っています。 今回、荻島清之助という新しい女形を登場させたのは、紅太夫に見劣りしない女形を主役に据える必要があったからでしょう。 田牧さんの上手さが冴えわたる斬新な時代ミステリ。お薦め。 序−燃える/太夫−紅い禿/幕間−芝居/女形−吉原漫ろ歩き/太夫−怪談/女形−朱華の帯/太夫−祟り/女形−狙われる/太夫−悋気/格子−幻/女形−思案/太夫−噂の矛先/女形−月桃の出どころ/太夫−太夫道中/女形−謎解き/結び |
「古道具おもかげ屋」 ★☆ | |
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湯島横町にある小さな表店、古道具「おもかげ屋」。 店主の柚之助(ゆのすけ)は「その辺の小町よりも美人だ」と噂される優し気なイケメンの18歳。商いや人より古道具の気持ちの方が大事という風変わりな性格。 そのおもかげ屋には何故か「迷い猫、探します」という看板がかかっていて、店には猫が多く住み着いている。 おもかげ屋に身を寄せ、<猫探し屋>の商売をしている13,4歳の娘=さよのおかげか。 そのさよが、古道具にまつわる困りごとを抱えた訳あり客を、柚之助の元に連れて来るというパターン。 柚之助の同居人は祖母の菊ばあ。そしてその菊ばあの元には、弟子だと称する両国辺りを束ねる40代半ばの地廻=通称「両さん」がいつも出入りする。 そうした仲間たちに囲まれて、柚之助が持ち込まれた古道具に関わる困りごとを解決していくという連作もの。 ただし、柚之助にはかつて、料理屋を営んでいた父親が危機的な噂に家族を放り出して逃げ出し、その結果母親は心労で倒れて死し、菊ばあは息子の借金返済のため大事な産後の簪を手放すという過去があり、さよにもまた祖父・母親から非道な扱いを受けてきたという過去を抱えています。 猫が数多く登場し、まとめ役の猫<師匠>という存在もありますが、「鯖猫長屋」のサバのような存在にはならず、家族ドラマのような趣きもありますがそれが主とは思えず、といって困りごと解決に左程インパクトはなく、といった印象で、どういう作品が捉えかねるというのが正直なところです。 展開からして続きがありそうですので、今後どうストーリィが収斂していくのか、続編を待ちたいと思います。 序.猫探し屋の娘/1.小間物屋の倅と奇妙な古道具屋/2.頑固爺と将棋の駒(一)/3.頑固爺と将棋の駒(二)/4.年寄り猫と長火鉢/5.父親と珊瑚の簪 |
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