田牧大和作品のページ No.5



41.紅きゆめみし 

42.古道具おもかげ屋

43.想い出すのは−藍千堂菓子噺No.4− 

44.鯖猫長屋ふしぎ草紙(十)


【作家歴】、花合せ、三悪人、緋色からくり、数えからくり、散り残る、春疾風、三人小町の恋、とんずら屋弥生請負帖、質草破り

 → 田牧大和作品のページ No.1


盗人、翔ぶ梅、とうざい、鯖猫長屋ふしぎ草紙、甘いもんでもおひとつ、とんずら屋請負帖−仇討−、半可心中、酔ひもせず、長屋狂言、八万遠(やまと)

 → 田牧大和作品のページ No.2


まっさら、彩は匂へど、晴れの日には、錠前破り銀太、恋糸ほぐし、鯖猫長屋ふしぎ草紙(二)、錠前破り銀太−紅蜆、鯖猫長屋ふしぎ草紙(三)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(四)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(五)

 → 田牧大和作品のページ No.3


錠前破り銀太−首魁、あなたのためなら、縁切寺お助け帖、鯖猫長屋ふしぎ草紙(六)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(七)、かっぱ先生ないしょ話、縁切寺お助け帖−姉弟ふたり−、鯖猫長屋ふしぎ草紙(八)、鯖猫長屋ふしぎ草紙(九)、大福三つ巴

 → 田牧大和作品のページ No.4

     


                

41.
「紅きゆめみし ★★


紅きゆめみし

2021年07月
光文社

(1750円+税)



2021/08/16



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時代小説版ホラー・ミステリ。

舞台となるのは、
<八百屋お七>事件の後、間もない頃。
吉原の花魁=
紅花太夫が稲荷神社で見かけた、禿と思える幼女、それは火刑に処せられたお七の亡霊なのか。

その紅花太夫の贔屓客の一人が、市村座の人気女形である
「荻島清之助」こと新九郎
新九郎、ちょうど立役者と揉め舞台から遠ざけられている処。紅花太夫から頼まれ、「七」と名乗る幼女の謎解きに挑みます。

「お七様」事件の謎解きはやがて、八百屋お七の事件に遡り、そして妖しい様相を見せ始めるのですが・・・。

探偵役を何故役者に設定したのか、というと、役者たる者、人の嘘を見破るのに長けているから、ということらしい。
役者、それも女形を主人公とした事件ものというと
“濱次お役者双六”シリーズが思い浮かびますが、長屋狂言を最後にだいぶ時間が経っています。
今回、荻島清之助という新しい女形を登場させたのは、紅太夫に見劣りしない女形を主役に据える必要があったからでしょう。

田牧さんの上手さが冴えわたる斬新な時代ミステリ。お薦め。


序−燃える/太夫−紅い禿/幕間−芝居/女形−吉原漫ろ歩き/太夫−怪談/女形−朱華の帯/太夫−祟り/女形−狙われる/太夫−悋気/格子−幻/女形−思案/太夫−噂の矛先/女形−月桃の出どころ/太夫−太夫道中/女形−謎解き/結び

                   

42.
「古道具おもかげ屋 ★☆


古道具おもかげ屋

2021年12月
ポプラ文庫

(700円+税)



2022/01/02



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湯島横町にある小さな表店、古道具「おもかげ屋」。
店主の
柚之助(ゆのすけ)は「その辺の小町よりも美人だ」と噂される優し気なイケメンの18歳。商いや人より古道具の気持ちの方が大事という風変わりな性格。

そのおもかげ屋には何故か「迷い猫、探します」という看板がかかっていて、店には猫が多く住み着いている。
おもかげ屋に身を寄せ、<
猫探し屋>の商売をしている13,4歳の娘=さよのおかげか。
そのさよが、古道具にまつわる困りごとを抱えた訳あり客を、柚之助の元に連れて来るというパターン。

柚之助の同居人は祖母の
菊ばあ。そしてその菊ばあの元には、弟子だと称する両国辺りを束ねる40代半ばの地廻=通称「両さん」がいつも出入りする。

そうした仲間たちに囲まれて、柚之助が持ち込まれた古道具に関わる困りごとを解決していくという連作もの。

ただし、柚之助にはかつて、料理屋を営んでいた父親が危機的な噂に家族を放り出して逃げ出し、その結果母親は心労で倒れて死し、菊ばあは息子の借金返済のため大事な産後の簪を手放すという過去があり、さよにもまた祖父・母親から非道な扱いを受けてきたという過去を抱えています。

猫が数多く登場し、まとめ役の猫<
師匠>という存在もありますが、鯖猫長屋のサバのような存在にはならず、家族ドラマのような趣きもありますがそれが主とは思えず、といって困りごと解決に左程インパクトはなく、といった印象で、どういう作品が捉えかねるというのが正直なところです。
 
展開からして続きがありそうですので、今後どうストーリィが収斂していくのか、続編を待ちたいと思います。


序.猫探し屋の娘/1.小間物屋の倅と奇妙な古道具屋/2.頑固爺と将棋の駒(一)/3.頑固爺と将棋の駒(二)/4.年寄り猫と長火鉢/5.父親と珊瑚の簪

                 

43.
「想い出すのは−藍千堂菓子噺− ★★


想い出すのは

2022年07月
文春文庫

(710円+税)



2022/08/05



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藍千堂菓子噺シリーズ第4弾。
 
百瀬屋>から兄弟を追い出した叔父の清右衛門が中気で倒れ、店を出て愛宕山の診療所で静養することになります。女房のお勝も清右衛門と共に愛宕山で暮らすと言い出し、傾いた百瀬屋をお糸一人に背負わせるつもりか!と晴太郎が怒ったところから本巻は始まります。
しかし、当のお糸はむしろ伸び伸びとした風。

といっても大事な従妹を放って置けないと、
晴太郎・幸次郎兄弟は、お糸のために「腕の立つ女子の奉公人と、使える手代」を探そうとします。
そこに現れたのが
千尋・千早という双子の男女。たしかに要望どおりなのですが、果たして2人の正体は?

一方、藍千堂が“変わり菓子”を扱っていると聞いた、無理な注文も受けてくれると聞いたと言って、難しい誂え菓子の注文をしに来る客が相次いで現れます。
まずは商人の跡取り息子から「目を悪くした者にも見える、梅の菓子」、次いで人気役者から「世話になった人の故郷の味であるかすていら」、という具合。
それに対して晴太郎がどう応じるか、そこがまた本巻の面白さ。

しかし、いったい何故そんな噂が流れたのか。
その真相が明らかになるのが
「いまひとたびの白羊羹」
何はともあれ、綺麗で美味しい菓子にまつわるストーリィ、楽しいです。


序.晴太郎、怒る/1.梅薫る「ちいさ菓子」/2.秘めたる恋の「かすていら」/3.いまひとたびの「白羊羹」

                  

44.
「鯖猫長屋ふしぎ草紙(十) ★★


鯖猫長屋ふしぎ草紙(十)

2022年08月
PHP文芸文庫

(800円+税)



2022/09/04



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シリーズ第10弾。
ここまで続いてくるとストーリィがマンネリ化してくるものなのですが、(全くそれがないとは言いませんが)本シリーズ、やはり面白いです。
 
前巻から登場した大盗賊「
鯰の甚右衛門」が、蘭方医=杉野英徳と名乗って引き続き登場。
鯖猫長屋にも出入りし拾楽の近くにやたら姿を現します。一体、拾楽に対しどんな謀を企んでいるのやらと、拾楽ならずとも、ハラハラドキドキします。

そのうえ新たに、鯖猫長屋に是非住みたいと差配の
磯兵衛にしつこく絡んでいた佑斎という、かつて“拝み屋”、今は“札書き屋”という人物が登場してきます。
これがまた腕のいい拝み屋だったらしいことから、起こさなくてもいい面倒ごとを引き寄せ、拾楽もそれに巻き込まれます。
その佑斎の傍には、狼の如き犬=「
」が常にいるのですが、その天と佑斎の関係もかなり曰くがあるらしい。

英徳といい、佑斎といい、拾楽、ちっとも気が抜けません。そのうえ、天という犬の存在もありますし。
拾楽にとって唯一の救いは、拾楽の傍には
サバ、そして妹分のさくらがいてくれることでしょう。

最後までハラハラドキドキさせられた分、楽しめました。
本巻により、英徳と佑斎、新たなレギュラー人物として定着するのでしょうか。


1.店子志願/2.色恋始末/3.憑物落とし/4.大手柄

          

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