武内 涼
作品のページ


1978年群馬県生、早稲田大学第一文学部卒。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第17回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった作品を改題・改稿した「忍びの森」にて作家デビュー。2015年「妖草師」シリーズにて徳間文庫大賞を受賞。

  


       

「阿修羅草紙 ★☆




2020年12月
新潮社

(2100円+税)



2021/01/12



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時代は足利将軍・義政の時代。
主人公は、比叡山を守る忍び=
八瀬童子のくノ一であるすがる

比叡山延暦寺の宝物が何者かによって奪われます。
しかも、すがるの父で熟練の忍びでもあった
般若丸を含む8人の守部を殺害したうえで。
中ノ頭に任命されたすがるに、盗まれた宝物の奪回、盗んだ者への処罰が命じられます。助っ人は雇われた伊賀者2名。

本作はそこから始まる、熾烈な忍び同士の戦いを描く忍者もの長編時代小説。
しかし、何時の間にか、何のために宝物を奪い返すのかという目的は薄まり、忍び同士の、お互いに潰し合うかのような闘いが延々と続けられます。正直なところ、悲哀ばかりが増していく、といった展開。

・八瀬童子=忍びといえば、
隆慶一郎「花と火の帝。もっとも時代も異なれば、仕える先も異なり(本作は延暦寺、隆作品は帝)ますが、後者には伝奇小説としての面白さがありました。
・また、忍び同士の殺し合いというと、
山田風太郎「忍法八犬伝を思い出しますが、伝奇小説だけにカラッとした明るさがありました。
両作に比べ、明るさはなく、陰惨さばかり感じるストーリィと言って良いでしょう。
・なお、ストーリィ中には将軍義政、ならびにその側女であった今参局のことが出てきますが、ちょうど
奥山景布子「浄土双六で読んだばかりのことだったので、理解がし易かったです。

忍びの技という面では読み応えたっぷりですが、本作を読み終えた時には悲哀ばかりが強く残った、という感じです。

   


  

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