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1.粗忽拳銃 2.カレーライフ 3.風に桜の舞う道で 4.じーさん武勇伝 5.真夏の島の夢 6.自転車少年記 7.ワンダー・ドッグ 8.ビールボーイズ 10.文化祭オクロック |
イン・ザ・ルーツ、図書室のキリギリス、ぱらっぱフーガ、ディスペリクトの迎撃、ホラベンチャー!、図書室のピーナッツ、廃墟戦隊ラフレンジャー、図書室のバシラドール |
●「粗忽拳銃−流々亭天馬−」● ★★ 小説すばる新人賞 |
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2003年10月
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一丁の拳銃を偶然拾ったことから始まる、4人の若者の破天荒な青春記。 |
●「カレーライフ」● ★★☆ |
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2005年01月
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とても楽しい小説です。理屈なしに楽しめること、冒頭から最後の結末まで、面白さが途切れることなく続くのが何よりの魅力。本を読むことの楽しさを、久々に満喫できた、と言ってよいでしょう。 ストーリィは、主人公ケンスケが、亡父から一軒の店の土地建物を遺されたことから始まります。毎年祖父の洋食屋でカレーを振舞われていた5人の子供たちが、将来ここでカレー屋を開こうと子供心に決意したこと、調理師学校にケンスケが入ったことを父親が決意の実行と勘違いしたことがその原因。その結果、ケンスケはいとこ達を誘いながら、カレー屋開業に向かって歩きだすことになります。 そこからの展開が、とにかく楽しい。まずは大学生のワタルを探す為に富士五湖までサイクリング。そこから今度は米国バーモンソ州に留学中のヒカリの元へ。バーモント州がバーモントカレーの本場と勘違いするのは滅茶苦茶ですが、結果的にカレーを伝授してくるところは珍道中風。 次の沖縄行は3人道中ですが、沖縄料理の薀蓄+祖父のカレーのルーツ探しという、ちょっとミステリ風味が加わった面白さ。 単に楽しいだけではありません。主人公たちのビルディング・ロマンス的要素もしっかり持ち込んでいます。 |
●「風に桜の舞う道で」● ★★ |
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2007年10月
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予備校の桜花寮で暮らした1年間(1990年)と、10年後の現在を交互に織り交ぜて語る青春記。題名の「風に桜の舞う道」とは、その桜花寮に向かう道筋の忘れ難い風景を語ったものです。 ※なお、寮生活を描いたストーリィという点では、青木奈緒「ハリネズミの道」の方が印象に残ります。 |
●「じーさん武勇伝」● ★ |
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2006年08月
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小説現代新人賞を受賞した「神楽坂ファミリー」、その続編である「かえってきたじーさん」に、書き下ろしの「じーさん無敵艦隊」を加えて単行本化した一冊。
一言でいってしまえば、破天荒な活劇・冒険談。しかも、そのヒーローが、畳職人である主人公の祖父、83歳というのですから、荒唐無稽もここに極まり、と言う他ありません。 神楽坂ファミリー/かえってきたじーさん/じーさん無敵艦隊 |
●「真夏の島の夢」● ★★ |
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瀬戸内海に浮かぶ小さな島、鹿爪(かづめ)島。 とにかく登場人物たちの面々が魅力的。 なお、コント劇団コカペプシの顔ぶれは、団長の栗本進也、山森、里中伸司、今田一平。皆20代前半という若さです。 |
●「自転車少年記」● ★★☆ |
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2006年11月
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自転車を題材にした、少年たちの成長記。最初から最後まで、爽快感がついに途切れることがなかったという、気持ちの良い作品です。 本ストーリィは、自転車に乗ることを覚えたばかりの昇平が風ヶ丘の坂を初めて走り下り、風を切る爽快感に気持ちを高ぶらせるところから始まります。その時の昇平は、自転車のコントロールを失ってそのまま草太の家に突っ込んでしまうという結果に終わりますが、それが草太との出会い。 坂道の向こう側(昇平4歳)/特訓山の冒険(昇平6歳)/潮風の道(草太10歳)/二つの坂道(昇平13歳)/海辺の少年(昇平15歳)/笹山高校自転車部(草太16歳)/リタイアの日(昇平18歳)/旅立ちの道/300キロの助走距離(草太20歳)/スプリングボード(奏21歳)/いくつかの再会(昇平20歳)/八海ラリー(草太24歳)/ノブオコーナー(伸男26歳)/飛び立つ瞬間(昇平29歳)/道の行方 |
●「ワンダー・ドッグ」● ★★★ |
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いやぁー、本当に面白かった。 “部員犬”という存在自体もの珍しいし、ワンダーとワンゲル部員、空沢高校の生徒たちとの交流も抜きにして語れないないのですが、本ストーリィはあくまで高校生たちの成長ぶりを描いた作品なのです。 第1章は、源太郎やワンゲル部員らがワンダーを部員犬として学校に公認してもらうまで、自分たちで知恵を振り絞り、自主的に行動していく話。 名作かどうか名品かどうか、そんなことはどうでもいいのです。 ワンゲルとワンダー/クライミングとマウンティング/実習と脱走/同窓会と部員犬 |
●「ビールボーイズ」● ★★ |
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ビール工場撤退のため好きだった女の子が転校してしまうのを惜しんで同級生4人が秘密基地に集まり、初めてビールを飲んだのが12歳の時。 ビールに始まり、常にビールを傍らに置き、最後は皆の出発点である北海道新山市に戻り、皆で力を合わせて作り上げた地ビールで締めくくるという、ビール尽くしのストーリィ。 ストーリィのみならず、各章(「第○回ビール祭」と称す)の前に置かれている計10個のコラムで語られるビールの薀蓄を読むのが、また楽しい。 あの懐かしい「カレーライフ」と共通し、ストーリィも場面設定もビールにこだわった物語。それこそがまた楽しい。 |
●「シチュエーションパズルの攻防−珊瑚朗先生無頼控−」● ★ |
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竹内さん初のミステリ。それも安楽椅子探偵もの連作短篇集。 いつも独自のストーリィを展開して楽しませてくれる竹内さん、初のミステリ作品と言えども期待したのですが、残念ながら今ひとつ。 ところは銀座のさる文壇バー、「ミューズ」。 ・「クロロホルム」は、店の周囲で起きた事件の謎解き話。 5篇の中では真ん中の「ダブルヘッダーの伝説」が私は好きでせうねぇ。 クロロホルムの厩火事/シチュエーションパズルの攻防/ダブルヘッダーの伝説/クリスマスカードの舞台裏/アームチェアの極意 |
●「文化祭オクロック」● ★☆ |
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2012年11月
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東天高校の文化祭を舞台とした学園ミステリの好作。 文化祭の開催日、ブランスバンド部のマーチングバンドが終了すると共に流れてきたのは、「DJネガポジ」と名乗る男の放送。 何か画策しているらしい放送部員たち、中々正体がつかめない謎のDJネガポジ。 ※私が通った高校にも勿論文化祭はありましたけれど、そんなに興奮した覚えはなかったなァ。私自身が醒めていた所為なのか。そうであれば勿体ないことをしたなァという気分。 |
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