井上ひさし お薦めページ

井上作品は数が多い上に、「吉里吉里人」を初めとしてユニークな傑作が多いので、 とても作品全般にわたって紹介するなど、手にも足にも余ります。
したがって、ここでは、私が楽しみにしている評伝戯曲を主体にご紹介したいと思います。

 

井上ひさし全芝居画像


  

  1.評伝戯曲リスト

戯 曲 名

対象人物

刊行

出版

ひとこと

表裏源内蛙合戦

平賀源内

1970

新潮文庫

多重人格的に源内を描く
   

道元の冒険

道元

1971

新潮文庫

ひどく目まぐるしい劇
岸田戯曲賞・芸術選奨新人賞

しみじみ日本・乃木大将

乃木希典

1979

新潮文庫

馬格分裂というアイデアは秀逸
読売文学賞戯曲賞

小林一茶

小林一茶

1979

中公文庫
  

推理劇仕立てに妙味
読売文学賞戯曲賞

イーハトーボの劇列車

宮沢賢治

1980

新潮文庫

夜汽車に理想と挫折を描く

吾輩は漱石である

夏目漱石

1982

集英社文庫

修善寺での30分間の死
 

芭蕉通夜舟

松尾芭蕉

1983

新潮社

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頭痛肩こり樋口一葉

樋口一葉

1984

集英社文庫

お盆の利用が洒脱。お勧め!

泣き虫なまいき石川啄木

石川啄木

1986

新潮社
新潮文庫

迫真の戯曲。お勧め!

人間合格

太宰治

1990

集英社文庫

太宰故に暗い。合格の意味?

シャンハイ・ムーン

魯迅

1991

集英社

魯迅の矛盾を描く。お勧め! 谷崎潤一郎賞

黙阿弥オペラ

河竹黙阿弥

1995

新潮社
新潮文庫

明治維新というお家騒動+現代政治への警鐘

太鼓たたいて笛ふいて
 
林芙美子

2002

新潮社
新潮文庫
林芙美子を通して戦前・戦後の日本を描く
兄おとうと 吉野作造

2003

新潮社 大正デモクラシーの先達吉野作造を描く評伝劇 
ロマンス チェーホフ

2008

集英社 チェーホフ作品の本質を問う、評伝劇
組曲虐殺 小林多喜二

2010

集英社 小林多喜二と彼をめぐる人々を描く戯曲

 

  2.その他既読の戯曲リスト

戯 曲 名

刊行

出版

ひとこと

日本人のへそ

 

新潮文庫

最初の戯曲。ドタバタ劇であるけれども趣向は盛りだくさん。結構、内容は濃い

十一ぴきのネコ

1971

新潮文庫

今読んでもあまりピンとこない
斎田喬戯曲賞

珍訳聖書

1973

新潮文庫
 

逆転、逆転、逆転、逆転の劇!

国語事件殺人辞典

1982

新潮文庫
 

言語不当配列症等のアイデアあり

仇 討

1982

新潮社

凄いブラックユーモア。現代への警鐘?

化 粧

1982

新潮社

あの、話題になった一人芝居。凄い!  

もとの黙阿弥

1983

文春文庫
 

マリヴォーの喜劇に似るが悲劇
   

きらめく星座
―昭和オデオン堂物語―

1985

新潮社

昭和庶民伝三部作。戦争絡み

國語元年

1986

新潮文庫
 

方言が含むユーモアと人間味

キネマの天地

1986

文芸春秋

映画“キネマの天地”の続編、推理劇。女優間の確執が面白味

花よりタンゴ−銀座ラッキ−ダンスホール物語−

1986

新潮社

昭和庶民伝三部作

雪やこんこん
−湯の花劇場物語−

1987

朝日文庫

旅芝居特有のセリフ回しをそのまま会話の中に散りばめた面白さ

闇に咲く花
−愛敬稲荷神社物語−

1988

新潮社

昭和庶民伝三部作。戦争絡み

イヌの仇討ち

1988

文春文庫
 

赤穂浪士討入り当夜、炭小屋に隠れる吉良上野介を描く

決定版 十一ぴきのネコ

1989

新潮社

上記改訂版。悲劇の内容が変更

ある八重子物語

1991

集英社
集英社文庫

好きな作品です! 夢、希望あり

マンザナ、わが町

1993

集英社

戦時中の日本人収容所が舞台。深刻な内容でユーモアは少ない

父と暮せば

1998

新潮社
新潮文庫

“ヒロシマ”の悲劇を改めて問い掛ける二人芝居。軽妙ながら深い..

紙屋町さくらホテル

2001

小学館 「紙屋町さくらホテル」「貧乏物語」「連鎖街のひとびと」の3篇を収録
夢の裂け目

2001

小学館 紙芝居屋を主人公に「東京裁判」の真相を描こうとした作品
夢の泪

2004

新潮社 A級戦犯容疑・松岡洋右被告の弁護を引き受けた事務所を舞台に、東京裁判の検証を試みた戯曲
円生と志ん生

2007

集英社 慰問で儲かる筈が敗戦で大連を彷徨うことになった噺家2人を描く
箱根強羅ホテル

2006

集英社 笑うに笑えぬ喜劇 太平洋戦争末期の陸海軍入り乱れての一幕
夢の痂

2007

集英社 戦後の天皇・東北御巡幸をめぐる、東京裁判3部作の最後となる戯曲
ムサシ

2009

集英社 巌流島の決闘から6年。武蔵と小次郎が再び相見えるという戯曲

 

  3.小説の既読リスト(読了順

書 名

出版

読書

ひとこと

江戸紫絵巻源氏(上下)

文春文庫

1985

可笑しくも、艶めかしくもある
   

吉里吉里人(上中下)

新潮社
新潮文庫

1986
  

ブームになったSF作品
日本SF大賞・読売文学賞

腹鼓記

新潮文庫

1988
  

私の好きな作品。狸の世界を描く
吉川英治文学賞

青葉繁れる

文春文庫

1988

言葉使いの面白さは、後の作者の言葉遊びに繋がっている作品

新釈遠野物語

新潮文庫
 

1989

「遠野物語」の奇抜なパロディ

浅草鳥越あずま床

新潮文庫
 

1990

初老6人組の滑稽譚

四捨五入殺人事件

新潮文庫

1990

唯一の推理小説! 意外な顛末を是非楽しんで欲しい。知識も増える

偽原始人

新潮文庫
 

1990

幕切れは悲しい迫力に満ちる

月なきみそらの天一坊一座

新潮文庫

1990

貧しいけれども人の豊かさを感じる

手鎖心中

文春文庫

1991

笑いを求めざるをえない性分を表している 第67回直木賞

四千万歩の男(1〜5)

講談社

1991

伊能忠敬の話。江戸時代の旅行記にでもあるのが楽しい。蝦夷まで至る

ナイン

講談社
   

1991

 

東京セブンローズ1999.03

文芸春秋
文春文庫

1999

執筆17年、戦後日本語がローマ字化される危機を日記形式にて描く力作

わが友フロイス1999.12

ネスコ/文芸春秋

2000

戦国時代に来日した宣教師フロイスを書簡形式にて描いた作品

十二人の手紙 中公文庫

2005

あらゆる趣向を凝らした書簡体・短編集 読み甲斐たっぷり
イソップ株式会社2005.05 中央公論新社

2005

37の小話を綴りながら新しい家族の繋がりを描く、心寛ぐ一冊
一週間2010.06 新潮社

2010

極東赤軍政治部と日本人捕虜=小松修吉との壮絶な一週間を描く長篇
東慶寺花だより2010.11 文芸春秋

2010

鎌倉の駆け込み寺、その御用宿を舞台にして描く様々な人間模様
グロウブ号の冒険2011.04 岩波書店 2011 カリブ海を舞台に宝探し騒動記、風刺的。未完。附「ユートピア諸島航海記」
黄金の騎士団2011.04 講談社
講談社文庫
2011 孤児院の子供たちが理想の子供共和国建国を目指す物語。未完、遺作。
一分ノ一2011.10 講談社
講談社文庫
2011 戦後日本は米英露中4ヵ国による共同統治。井上さんらしさ満載の奇想天外な物語
馬喰八十八伝2016.03 光文社文庫 2016 真実を言って罰せられた故に88回嘘をつくことを決意した八十八の時代もの冒険ロマン

 

  4.随筆等の既読リスト(読了順

書 名

出版

読書

ひとこと

私家版日本語文法

新潮文庫
 

1984

 

日本亭主図鑑

新潮文庫
 

1986

亭主の悲劇的状況

本の枕草子

文春文庫

1988

読書の十徳、読書という名の重労働とか。楽しみたっぷり

コメの話

新潮文庫
 

1992

コメ輸入解禁論への反論

ニホン語日記

文芸春秋
 

1993

池波正太郎・文章の分析が興味深い

文学強盗の最後の仕事

中央公論

1994

 

宮沢賢治に聞く

ネスコ
 

1995

 

ニホン語日記2

文芸春秋
文春文庫

1997

 

本の運命

文芸春秋
 

1997

“井上流本の読み方十箇条”あり

井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室 本の森
新潮文庫

2002

文章をどう書いたらいいのかと考えている人にとって、格好の案内書
わが人生の時刻表 講談社

2000

自選ユーモアエッセイbP 井上戯作のルーツを知る楽しみあり

四千万歩の男 忠敬の生き方 講談社
講談社文庫

2001

「四千万歩の男」・伊能忠敬に関するエッセイ、格好の副読本

日本語は七通りの虹の色 講談社

2001

自選ユーモアエッセイbQ 日本語を語るエッセイを多数収録
あてになる国のつくり方 光文社

2002

生活者大学校「グロバリゼーションとは何か」の講義録が基。政治、農業、経済と勉強になります

話し言葉の日本語 小学館  2003 劇作家・平田オリザ氏との対談。日本語から幅広く演劇論を展開
言語小説集2012.03 新潮社
新潮文庫
2012 日本語、方言等々、井上さんらしい言語に絡む短篇集。7篇収録

 


   

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