平 安寿子
(たいらあすこ)作品のページ No.3



21.ぬるい男と浮いてる女

22.神様のすること

23.おじさんとおばさん

24.人生の使い方

25.しょうがない人

26.コーヒーもう一杯

27.心配しないで、モンスター

28.こんなわたしで、ごめんなさい

29.オバさんになっても抱きしめたい

30.幸せ嫌い


【作家歴】、素晴らしい一日、パートタイム・パートナー、グッドラックららばい、明日月の上で、結婚貧乏、もっとわたしを、なんにもうまくいかないわ、くうねるところにすむところ、Bランクの恋人、愛の保存法

 → 平安寿子作品のページ No.1


センチメンタル・サバイバル、恋はさじ加減、あなたにもできる悪いこと、あなたがパラダイス、風に顔をあげて、セ・シ・ボン、こっちへお入り、恋愛嫌い、幸せになっちゃおしまい、さよならの扉

 → 平安寿子作品のページ No.2


言い訳だらけの人生

 → 平安寿子作品のページ No.4

 


           

21.

●「ぬるい男と浮いてる女」● ★☆


ぬるい男と浮いてる女画像

2009年10月
文芸春秋刊

(1238円+税)

2012年05月
文春文庫化

 

2009/11/17

 

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こんな風変わりな男女が登場するのも、現代日本社会だからこそか。
ちょっとヘン?な男女6人の人生模様を温かくもユーモラスに描いた短篇集。

「長い目で見て」:開業医になるため、跡取りに恵まれない開業医の一家に嫁入って目的を果たした村上貴子・53歳。愚かな夫とそれに輪をかけて愚かな甥には呆れるばかりだが、妻としての義理はちゃんと果たす。
「ブルーブラックな彼女」:銀行を退職し故郷にUターンした山口祥雄・32歳が目をつけた元中学同級生の小森玖美は、葬式好きと、ちょっとヘン。そんな彼女に付きまとうサチオもヘン?
「滅亡に向かって」:女性と付き合うより、自分の住空間を居心地良くする方が楽しいという沢崎剛・32歳は、典型的な草食系男子。
「浮いてる女」:信じられるのは自分とお金だけと、開き直って独身のまま生きる富岡一枝・62歳は、バレエ教室通いが何より楽しい。
「ぬるい男」:靴屋店員の、人と言い争うのが面倒臭く、いつも人のいいなりになっているのが常。そんな収が変わったのは、医師のあるひと言から。
「えれくとり子」トシオくん・26歳がカフェで出会い、一目で惹かれてしまった素敵な女性は、電気製品を狂わせる体質なのだという。でも、ペースが狂ったのは、トシオ自身か。

冒頭の「長い目で見て」がまず面白かった。
「滅亡に向かって」は、極端な草食系男子が主人公ですが、気持ち判るなぁ。そんな男子ばかりでは困るでしょうけど、共感できるところ多分にあり。
現代ならではの、軽くユーモラスな人生譚、短篇集。

長い目で見て/ブルーブラックな彼女/滅亡に向かって/浮いてる女/ぬるい男/えれくとり子

   

22.

●「神様のすること」● ★★


神様のすること画像

2010年01月
幻冬舎刊

(1500円+税)

2013年02月
幻冬舎文庫化

 

2010/03/09

 

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子供の目からみた両親のこと、少女時代の思い出、73歳の時に一度死にかけてから実際に83歳で死ぬまで、母親の世話をし最後に看取るまでの出来事を語った、出版社の紹介文に曰く「自伝的私小説」。
年がら年中読書していると、たまに似た内容の本を続けて読むという偶然にあたることがあって、本書はつい最近読んだばかりのレベッカ・ブラウン「若かった日々に似るところがあります。
ただし、「若かった日々」は小説作品という色彩が強く、本書はエッセイという印象が強い。

本書に親近感を覚えるのは、私自身が、いずれ両親を見送らなければならないという意識を徐々に強く持つようになったからでしょう。
両親に感謝することもあれば、不足を思うこともある。最後を世話していれば、悲しく感じることもあるし、もういい加減にそろそろ、と思うこともある。著者が語るそんな思いは、ごく当然の家族の思いであろうと感じます。
ただ、著者が作家であるということで、著者独特の覚悟も見せられれます。それは、(三女であるにもかかわらず)重荷を引き受けることによって、作家としてプラスになることも与えられる筈と考える辺り。現におかげでそれを題材に短篇小説3作を書くことができたと言いますし、母親も娘の役に立ててさぞ喜んでいるだろう、とのこと。

親の最期を看取れば、次に自分の最期はどんなものかと考える。そして、それはもう神様に任せる他ない、と思うのも自然なことでしょう。

母の死を待って/すれ違う二人/傷跡の必要/二人の恵子/心残りはひとつだけ/陽気な骨/天国への階段

  

23.

●「おじさんとおばさん」● ★


おじさんとおばさん画像

2010年04月
朝日新聞出版
(1500円+税)

 

2010/05/01

 

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50代になり、何十年ぶりかで再会した小学校時代の同級生。
男女ともふと相手への関心、浮気心等々、いろいろな思いが芽生えて・・・というストーリィ。
登場するのは、女性3人と男性3人。境遇は各々ばらばら。

50代ともなると、老人の仲間入りという時期が視野に入ってくる一方、会社の仕事も子育ても一段落し、このまま老人の仲間入りしたくない、何とか今の内に、ということなのでしょうか。
私も本書の主人公たちと同じ50代、彼らの気持ちが判るところありますが、おいおいそんな手近のところで済ますなよ、とも言いたくなります。
でも、子供の頃ちょっと憧れていた等々、お互いに昔を知っているからこそ気楽、あるいは悪戯心をくすぐられるというところがあるのでしょう。
男女ともに浮気心、あるいは性的関心が生まれるとはいっても、男性側が勝手な妄想を膨らませて待ちの姿勢なのに対し、女性側は直截的、積極的。女性に押し倒されそうになってたじたじする場面、可笑しいです。
同じ邪な思いを抱いたとしても、結局相手に振り回されるのは男性側、相手を振り回すのは女性側、という構図は納得感ありますねぇ。ヘタに考えるよりさっさと行動する、という方が強いのかも。

これだけ寿命が延びると、異性に惑うのも、人生1回では済まない、2度ある、ということでしょうか。

             

24.

●「人生の使い方」● 


人生の使い方画像

2010年10月
NHK出版刊

(1500円+税)

  

2011/02/23

  

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夫の定年退職後、夫婦は2人の時間をどう過ごしたらいいのか。
本作品に取り上げられるまでもなく、これまでもいろいろな形、いろいろな場所で問題提起されているテーマです。

主人公の轟香織は48歳の主婦。会社員である夫の洋介は54歳で、そろそろ定年退職が視野に入ってきた年代。
折しも嫂の
初美から、定年後の準備を今からしておいた方が良い、と強く勧められます。
定年退職後の夫にべったり張り付かれるなんて、とんでもない。無趣味な夫に今から何かの趣味をみつけておかないと。ついでに自分も一緒に楽しめれば尚のこと良いと、一緒にカルチャースクールの講座を試し回り始めます。
ところが、義兄と嫂の夫婦に思いもかけぬ事態が・・・。

定年後の過ごし方という問題を、小説の形で考える、といった風の作品。
したがって、読みながら考えることといえば、自分がそういう段階に至った時はなぁ・・・・・ということばかり。
時間の過ごし方、趣味のことばかりでなく、親そしてお互いの介護問題にまで考えることは膨らみます。
まぁ、趣味だけはありますが、他の問題となると、私にしても似たり寄ったり。
考え込むと深刻な問題ですが、そこは平安寿子さん、大いにユーモラス、ちょっぴりシリアスにストーリィを運んでいきます。
そして何よりも、前向きな姿勢に拍手。
とにかく本ストーリィ、決して他人事ではありません。

          

25.

●「しょうがない人」● ★☆


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2011年05月
中央公論新社

(1500円+税)

2015年01月
中公文庫化

  


2011/06/25

  


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世間にはとかく、自分の都合を一方的に押し付けてくる身勝手な“困ったちゃん”がいるもの。
本書はそんな“
しょうがない人”たちを、平凡なパート主婦=日向子を主人公に描いた連作風長編小説。

平さんと言えば、語り、そしてストーリィ運びの上手さなのですが、全作品読み続けてきて最近はやや、もういいかな、という気持ちが生じかけてきたところ。
本作品についてもパスしようかなと思った挙句、結局読んだ訳ですが、本作品、まさしく平さんらしい一冊。ストーリィ運びの上手さが光ります。

さて、幾人もの“しょうがない人”に振り回される日向子。彼女がそれらを嘆く場、相手はいつも決まっています。
ひとつは、日向子がパート勤めする、友人=
辺見渚左が起業した通販会社の仲間たち。そしてもう一人は、亭主の度重なる転職の末に家業を継いでラーメン屋の女房となった妹=亜希子
そしてその“しょうがない人”たちはというと、元国際線スッチーの従姉、姑、結婚前に勤めていた会社の同僚、思春期の娘、口先の上手い狸男(但し渚左)、長電話の顧客、妹一家、亭主。
ただし、娘、亭主、両親&姉妹に関しては、誰しも共通する問題でしょう。

本書を読み進んでいく内、ふと思います。
上記の人たちが“しょうがない人”たちであるのは疑いないところですが、主人公の日向子もまた“しょうがない人”の一人なのではないか、と。
つまり、自分できっちり相手を捌くことができずに、腹の中に不満を抱えていつも誰かに愚痴ばかり、という点で。
男性と女性で受け止め方は違うかもしれませんが、両方をそう見ながら読むのも一興、と思う次第です。 

「はいはい、あんたはエライ」/結婚にはつきもの/ドラマチックがとまらない/思春期モンスター/狸男に未来はあるのか/スピ様、お願い/普通にお家騒動/厄介な荷物/世界で一番しょうがない人

              

26.

●「コーヒーもう一杯 One More Cup of Coffee」● ★☆


コーヒーもう一杯画像

2011年10月
新潮社刊

(1400円+税)

  

2011/11/05

  

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結婚は確実と思って安心していた恋人から突然別れを告げられてショックの山守未紀、32歳。
そのうえ働く店舗デザインの仕事でも、あまりに我儘なクライアントに言いっぷりについキレてしまって口喧嘩。
そんな壁にぶつかった未紀が、売り言葉に買い言葉もあり、また自分の店を持ちたいという夢を現実重視で抑え込んできたのではないかと気づいたことから、母親とその従妹の後押しもあって、ついに自分の店=カフェを開くことを決断。
そこから始まる開店・運営資金の調達、店の候補探し、開店準備と、予想外の苦労に大奮闘。
しかし、一番大変なのは開店してからだった。客がちっとも来ない・・・・。

未紀、これまでの仕事で失敗した店の原因を判っている筈と思っていたのですが、外から見るのと自分でやるのとは大違い。
誰にも見えている筈のことが、自分には全く見えていなかったと判るのは、全て済んでからのこと。
そしてそれは未紀だけのことではなく、自分の店を開いて失敗した経験のあるシェフや、友人で和食の店を始めようとした加容子にしても同じこと。
これから自分の店を持とうと思う人にもきっと役立つ、未紀の開業までの準備プロセス、開店してからの苦労話を綴った、実例ストーリィというべき一冊です。

でも、何も判っていないのに失敗するのは当たり前、でも、失敗を繰り返してやっと成功することもできる、という言葉には、未紀ならずともとても勇気づけられます。
失敗とは恥でも落第の烙印でもない。いつか成功するために必要なステップである、とはどこかで聞いたような気がします。
思わず未紀になった気分で読んでしまう、体験型小説。
自分の店を持ってみたらどんなだろうなぁと一度でも思った方、本書で疑似体験できますよ。

               

27.

「心配しないで、モンスター Don't Worry Monster ★★


心配しないで、モンスター画像

2013年02月
幻冬舎刊

(1400円+税)

  

2013/03/31

  

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いろいろな理由で今曲がり角にぶつかっていると感じている人たち、そんな彼女・彼らを勇気づけるのは、自分が好きな歌、という連作短編集、9篇。

これまで平安寿子作品については、刊行されれば迷いなく読んできたのですが、今回はちょっと迷いました。各篇主人公たちのテーマソングをストーリィの鍵にするという趣向について余り期待する気になれなかったというのもその理由のひとつ。
実際読み始めて、60歳という年齢が気になり出した中年女性を主人公にした
「丘の上に馬鹿になりたい」、自称:恋多き女、他称:ヤリマンという30代女性を主人公にした「わけあって、舟唄」辺りでは、ある特定女性に限ったストーリィのように感じられてイマイチ入り込めなかったのです。それが俄然面白くなったのは「黒魔術の女とお呼び」に進んでから。それからさらに「UFOに乗ってモンスターが行くぞ」に至ると、もう平安寿子世界にはまってもうノリノリという感じです。

女子高生を主人公にした「夢路はどこにあるの」、20代初めの女性を主人公にした「わたしだって、いつかはブリキュア」、妻に先立たれた老年男性を主人公にした「心配しないでベイビー、やっていけるから」辺りの篇では、考え方さえ変えれば、現在だってそれなりに十分楽しくやっていけるじゃないか、という励ましの声が聞こえてきて、元気になれる気がします。

前の篇で顔を出した登場人物が次の篇では主人公になる、という形でストーリィがリレーされていくところも本書趣向の愉しいところですが、中でも愉快なのは「UFOに乗ってモンスターが行くぞ」。ピンクレディーのヒット曲の新解釈に目からウロコでした。お楽しみに。

丘の上の馬鹿になりたい/わけあって、舟唄/黒魔術の女とお呼び/夢路はどこにあるの/夕星に歌う/UFOに乗ってモンスターが行くぞ/わたしだって、いつかはプリキュア/真夏の果実はかじりかけ/心配しないでベイビー、やっていけるから

                

28.

「こんなわたしで、ごめんなさい ★★


こんなわたしで、ごめんなさい画像

2013年07月
実業之日本社

(1500円+税)

2016年04月
実業之日本社文庫

    

2013/07/28

   

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平安寿子作品に少々飽きてきた、と口にしてしまった言葉を土下座して謝りたくなった程、愉快に笑える短篇集。

女性たちの秘めたる愚痴等々を本音で書き出したところが秀逸。
それもその筈、すべて現実にモデルがいる話ばかりだというのですから。
「婚活の外へ」は、結婚願望がないのに婚活活動でスイスイ釣り上げられ、違和感を大きくするOLの話。
「どうか小さな幸せを」は、巨乳に悩み・苦労が絶えない辛さを語ったOLの話。
「イガイガにチョコがけするのも年の功」は、独身のまま35歳になったOLが、既婚の同級生のお節介によって漸く一歩踏み出す話。
「自然の法則に従って」は、同僚との恋愛に一度しくじった経験ありの未婚OL35歳が、結婚に向けて一念発起する話
「じれったい美女」は、美女は美女で悩み多という、「どうか小さな幸せを」と対で楽しめる話。
「カワイイ・イズ・グレート!」は、直に読んでお楽しみを!
「こんなわたしで、ごめんなさい」は、派遣会社管理職・妻・母として奮闘する女性が主人公なのですが、実は・・・・という話。

結婚こそを中心に、裏側&本音トーク満載で、痛快にしてユーモラスなことしきり!
男性は男性で苦労、悩み尽きませんが、女性側でもそれは同様ということで、男性である私はそれと知る面白さあり。女性読者ならきっと、そうそう、と楽しめるのではないでしょうか。
結婚するためには作戦、妥協、それぞれ必要と思われますが、そればっかりでもないというのが一番面白い処かも。

婚活の外へ/どうか小さな幸せを/イガイガにチョコがけするのも年の功/自然の法則に従って/じれったい美女/カワイイ・イズ・グレート!/こんなわたしで、ごめんなさい

        

29.

「オバさんになっても抱きしめたい ★★


オバさんになっても抱きしめたい画像

2014年03月
祥伝社刊
(1380円+税)

2017年07月
祥伝社文庫化



2014/08/09



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実は本書、パスしようと思っていました。これまで平安寿子作品をずっと読んできたので、そろそろ切りを付けても良いかな、と思ったのが理由です。
が、バブル世代のイケイケOLと、不景気世代の20代OLとのジェネレーション・バトルと聞いて、またしても読みたくなってしまった、という次第。

片や才川美結(みゆ)、1985年生まれの28歳、独身、不景気世代の育ち。性格は極めて悲観的。
片や
山元里佳子、1968年生まれの45歳、独身、若い頃をバブル世代として凄し、性格は極めて楽観的。
会社で同じ課に所属する2人、何かとお互いに目くじらを立てること多し、というのが本作品の基軸ストーリィ。
美結に言わせれば里佳子、バブル世代だからといって何時までチャラチャラと女をチラつかせているのか、ということになりますし、里佳子から言わせれば美結ら若いOLたち、いつも不景気面していて何が楽しいのか、ということになる。

この2人の言い分が面白い。成る程成る程と、夫々ごもっともなのですが、より切実な側として里佳子の方に肩入れしたくなるかな。
第1章から第5章までは交互に主人公となり、お互いへの憤懣や自分の現状への嘆き等々が語られます。
それだけならまぁまぁのストーリィと思うのですが、楽しみは最終章。里佳子と美結が2人だけで向かい合い、胸の内に抱えていたお互いへの鬱憤を思う存分吐き出します。
この部分が圧巻、こうした会話の面白さこそ平さんの真骨頂、と改めて感じた次第です。
気楽に読めて痛快なアラフォー&20代末のOLバトル小説。面白いこと請け合いです。本書を読めばきっと元気になれます。

1.不幸な星の下に/2.バブルで悪いか!/3.不景気なラブライフ/4.あやうし!四十路シングルライフ/5.一人でなんでもできるから/6.オバさんになっても、わたしはわたし/final battle おまえを抱きしめたい

    

30.

「幸せ嫌い ★★


幸せ嫌い

2015年02月
集英社刊
(1500円+税)

2018年02月
集英社文庫化



2015/03/18



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結婚意欲満々、そのうえモテる女子だった筈なのに、ふとした失敗が尾を引いたのか、気が付けば無職かつ未婚のまま三十路という杉浦麻美が本書の主人公。
少しでも出会いをと親戚の葬式に出掛けますが、そこで出会ったのが母親の又従姉妹という
漆原克子バツイチ・50歳。税理士の傍ら副業にて結婚相談所を経営しているという克子から、賃金は安いけれど出会いがあるかもしれないと強引かつ煙に巻かれるようにして誘われた麻美、チンケだけれどユニークなその結婚相談所「真婚」で働き始めます。
さてその新しい職場で麻美は、結婚のチャンスを掴みとることができるかどうか、というストーリィ。

相談所長である克子の、入会希望者に対するトークが凄まじい。さながら相手の頬をいきなり平手打ちし、さらに怯んだ相手の足を引っ掛けて転倒させ、衝撃に目を見張っている相手を見下ろしながら「結婚したいのかどうかはっきりせい!」と叱りつける、まさにそんな感じなのです。
叩きつけるようにそう言われて呆然自失してしまうのは、入会希望者だけでなく、主人公の麻美、そして読み手も一緒です。

ユニークさ極まる結婚相談者である克子の容赦ない言動に絶句する一方で、入会希望者の身の程知らずの結婚相手願望を撃ち下す手管に興奮するような痛快さを覚え、ひいては地に足を付けた婚活とはそんなものだよなと真実味を感じて拍手したくなる、ユニークな婚活ストーリィ。
とびきりのギャグが好きな方に、お薦め。


幸せは落とし穴/何様のおつもり?/結婚したきゃ、頭をお下げ/プライドは捨てるに限る/結婚不可人種のあなたたち/我慢できない人間を、誰が我慢する?/幸せなんか要りません

    

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