白鷺あおい作品のページ


岡山県出身。筑波大学第2学群比較文化学類卒。2016年「ぬばたまおろち、しらたまおろち」にて第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞を受賞。


1.ぬばたまおろち、しらたまおろち

2.人魚と十六夜の魔法
−ぬばたまおろち、しらたまおろち−

3.蛇苺の魔女がやってきた
−ぬばたまおろち、しらたまおろち−

 


                   

1.

「ぬばたまおろち、しらたまおろち Arrow ★★  創元ファンタジイ新人賞優秀賞


ぬばたまおろち、しらたまおろち

2017年09月
創元推理文庫

(1000円+税)



2017/10/14



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人と妖怪が共存する現世界を舞台にした、現代版お伽話のような冒険ファンタジー。

主人公の
深瀬綾乃は、幼い頃、父親の故郷である角田村の淵近くの洞窟で、小さな白い蛇と出会います。
小4の時交通事故で両親を亡くした綾乃は伯父夫婦の元に引き取られて育ち、15歳になった今は、幼馴染の白蛇=
「アロウ」こと大蛇(おろち)の雨太郎からしきりに求婚される日々。
そして村祭りの日、サーカスのアナコンダが逃げ出したという騒ぎの中、綾乃は謎の大蛇に襲われます。その窮地から綾乃を救ってくれたのは、妖怪足跡調査のため村を訪れていた民俗学者の
大原由希恵。なんと箒に乗り、空から綾乃に手を差し伸べて。
魔女だという由希恵とアロウの勧めにしたがい、綾乃は妖魅と人間が共に学んでいるという寄宿制の
ディアーヌ学院に入学することになります。

女学院でのっぺらぼうの
市橋絵葉とルームメイトになり、由希恵の弟でイケメンのハーフだという大原雪之丞と出会ったりと、綾乃は村で暮らしていた時と違って伸び伸びと過ごし、魔女になるための勉強に励みます。
しかし、事件は再び綾乃と、一緒に行動していた雪之丞の身の上に降りかかってきます。それはいったい・・・。

魔女、寄宿生学校というと
ハリー・ポッターを思い出させられますが、むしろ雰囲気が近いのは荻原規子「RDGレッドデータガールの方です。
そして内容はといえば、RDGよりもっとお伽話風、お伽話を現代的な青春学園ストーリィに置き換え、さらにファンタジー冒険物語を組み合わせた作品、と言って良いでしょう。

本作の魅力は、とにかく楽しいこと。
たっぷりと物語られる、妖怪種族の同級生たちとの学園譚、そして青春&恋&冒険ストーリィを思う存分堪能できるのは、とても楽しいことです。
物語好きな方に、是非お薦め!


※本書題名の意味、何を表しているのかと戸惑うところですが、最後に素敵な場面で明らかにされます。

                     

2.
「人魚と十六夜(いざよい)の魔法−ぬばたまおろち、しらたまおろち− ★☆


人魚と十六夜の魔法

2018年08月
創元推理文庫

(880円+税)



2018/09/08



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人間の子と妖怪の子が一緒に学ぶ寄宿学校、ディアーヌ学院を舞台にした学園ファンタジー、第2弾。

寄宿制の魔法学校というと、どうしても“ハリー・ポッター”シリーズと比較せざるを得ないのですが、一緒に共同生活を送っている設定の中で、人と対立するものではなく、妖怪も一つの個性として捉えられているところが微笑ましい。
学園ならではのワイワイガヤガヤは同じようなものですが、ヴォルデモートという圧倒的な敵が存在する訳ではないので、その分気楽に読めます。
ただし、終盤、生徒たちが追い込まれた窮地には、ハラハラさせられてしまいましたが。

主人公は人間の子である
深瀬綾乃。その傍らには、一応フィアンセと相成った大原雪之丞アロウの姿がいつも。
ただ、雪女と大蛇のハーフである雪之丞とアロウの関係は複雑、二重人格のようなもの、と思った方が判り易いかもしれません。

晴れて高等部1年に進級した綾乃たちのクラスに、ロシアの
水妖ヴォダーくんが転校してきます。その後、学院の周囲に怪しい人影が。その正体は〇〇〇。どうも、ある人物を追ってやってきたらしい。
一方、本作でのもう一人の主人公といった立場になるのが、中等部の新入生である
影山桜子。亡くなった祖母から贈られた着物の中に、実は幽霊が潜んでいた? そして桜子、人魚にまつわる伝説がやたらと気になります・・・。

それなりに楽しめるファンタジー。まだまだ続きそうです。

          

3.
「蛇苺の魔女がやってきた−ぬばたまおろち、しらたまおろち− ★★


蛇苺の魔女がやってきた

2019年05月
創元推理文庫

(960円+税)



2019/07/03



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人間の子と妖怪の子が一緒に学ぶ寄宿学校、ディアーヌ学院を舞台にした学園ファンタジー、第3弾。

今回はまず、ディアーヌ学院での夏至祭の様子が描かれ、その後は夏休みに突入します。その夏休みでの冒険(いや危難?)が本作の内容。
題名の
「蛇苺の魔女」とは、おばちゃま先生である三船美冬先生の妹で英国の魔女学校卒という魔女=妃早子(ひさこ)・ミラーのこと。
突然やってきたその妃早子魔女が、いろいろな問題ごとを招き寄せます。・・・と思わせ、実は・・・。

前半はこれまでの延長。
そして夏休み、
綾乃雪之丞&アロウたちは、ネッシーならぬ<ゴッシー>の目撃情報のある五郎丸湖へ。
そこでの危機や冒険はまさに夏休み的。
そして後半では、教師に引率された生徒たちの集団旅行のような楽しさが味わえます。
しかし、綾乃と雪之丞&アロウの身の上にとんでもない危機が襲い掛かろうとは・・・・。

今回はネッシー系統の竜たちが登場し、それに合わせてコロボックルまで登場するところが、とても楽しい。
次作も期待大です。


プロローグ/1.夏至祭/2.英国から来た魔女/3.白と黒/4.五郎丸湖/5.お引っ越し大作戦/6.変身

      


   

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