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1.風神秘抄 |
●「風神秘抄」● ★★ |
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2014年03月
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平安末期、源義朝らが起こした“平治の乱”の後を舞台にした古典的・歴史ファンタジー。 義朝の嫡子で悪源太と異名をとった源義平に従った16歳の坂東武者、草十郎こと足立十郎遠光が主人公。 若者と少女が時空を超えて惹かれ合うラブ・ファンタジー。 ただ、話が長い。こんなに長い必要があったのだろうか。また、鳥と言葉を交わす能力と異世界に通じる能力とが共に笛からもたらされるという点にも少し無理があるような・・・。 |
●「RDG レッドデータガール−はじめてのお使い−」● ★★ |
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2011年06月
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子どもから大人まで、全ての読者に物語(ファンタジー)の喜びを伝えようという“カドカワ銀のさじシリーズ”中の一作。 山伏の修験場として世界遺産にも認定される、熊野の玉倉山頂にある玉倉神社。 いったい泉水子にはどんな秘密が、能力が隠されているのか。そしてまた、相楽は息子を何のために泉水子の周辺に置こうとするのか。 なお、「RDG」は「レッドデータガール」の頭文字。どういう意味なのかはともかく、泉水子、意識することなく、パソコン、携帯、ゲームと典型的な最新機器を何故かすぐ壊してしまうという導入部分が、非現代的で興味湧きます。 1.泉水子(いずみこ)/2.深行(みゆき)/3.雪政/4.和宮 |
●「RDG2 レッドデータガール−はじめてのお化粧−」● ★★ |
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2011年12月
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「RDG」シリーズ、第2巻。 一見、選りすぐりの優秀な生徒を集めた寄宿生学校という風の鳳城学園でしたが、次第にその謎めいた状況が明らかになっていきます。 引っ込み思案な性格なのに格別の存在である泉水子、山伏である深行の2人があくまで主たる存在と思っていたら、さらに陰陽師の系統や忍者の里=戸隠の系統の特異能力をもつ者まで登場、日本古来のアニミズム的ファンタジー物語の要素を本巻はいっそう濃くしています。 ※なお、絶滅の恐れのある野生生物の情報をとりまとめた本を「レッドデータブック」と言うらしい。本書の題名の「レッドデータガール」とは、そうした意味のようです。 1.真響(まゆら)/2.一条/3.真夏(まなつ)/4.穂高 |
●「RDG3 レッドデータガール−夏休みの過ごしかた−」● ★★ |
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2012年07月
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「RDG」シリーズ、第3巻。 舞台が宗田姉弟の元々の出身地である戸隠とあってか、本巻ストーリィは真響、真夏、そして今は亡き三つ子の残る一人=真澄をめぐるストーリィ。 前2巻に比べると泉水子の立場は脇役的。姫神の衝撃的な登場もなく、面白さとしてはやや減。 1.休暇前/2.訪問/3.重層/4.真澄(ますみ) |
●「RDG4 レッドデータガール−世界遺産の少女−」● ★★ |
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2012年12月
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「RDG」シリーズ、第4巻。 本巻では、泉水子が三つ編みを解かないでいた状況にもかかわらず姫神が登場、深行に自分のことを少し語ります。 とにかく、興味は次の、鳳城学園祭で何が起きるのか?に向います。本巻は、学園祭に向けての初段階と本段階の中間にあり、繋ぐ章と言えるでしょう。 1.城跡/2.護身/3.顕現/4.結界 |
●「RDG5 レッドデータガール−学園の一番長い日−」● ★★ |
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2013年03月
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「RDG」シリーズ、第5巻。 鈴原泉水子が目覚め、真の力の一端を示す巻。 1.布告/2.暗躍/3.迷走/4.選択 |
7. | |
●「RDG6 レッドデータガール−星降る夜に願うこと−」● ★★ |
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「RDG」シリーズ、第6巻にして最終巻。 本書ストーリィはまず、世界遺産最終候補を巡る争いから蓋を開けます。陰陽師派の代表である高柳一条の挑戦を受け、陰の生徒会長=村上穂高の仕切りの下、ついに鈴原泉水子は高柳と術を競って対決することになります。 まだまだこれからという段階で終わってしまうのかという気分なのですが、元々子供から大人まで楽しめるファンタジー物語をという“銀のさじシリーズ”のコンセプトからすると、ちょうど良い幕切れ時期なのかもしれません。 消失/再審/冬至/瑞穂 |
「あまねく神竜住まう国」 ★★ |
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2018年09月
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伊豆に流刑となっていた少年時の源頼朝を主人公にした歴史ファンタジー。 父親の義朝のみならず兄弟らも殺され、1人伊豆に流刑となった頼朝。将来に何の希望も見いだせないどころか、生き延びられるかどうかさえ定かではない絶望的な状況。 要は、草十郎と糸世に助けられながら少年頼朝が、伊豆の土地神である大蛇と対決し、それとの苦闘の末に伊豆の土地、人々に受け入れられるに至るまでを描いた歴史ファンタジー物語。 なお、「風神秘抄」から繋がっている物語なので、同作を先に読んでから本書を読んだ方が、ストーリィにすんなり入り込めると思います。 |
「RDG−氷の靴 ガラスの靴−」 ★★ | |
2019年01月
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“RDG”シリーズ全6巻が完結して5年、その追加巻が出るとは思いもしていなかったため、正直言ってびっくり。 収録されているのは、これまでの物語に遡り、断片的に相楽深行の視点から描く短編3作。 粟谷中に転校してきた中三の初夏、さらに鳳城学園に転校した中三の秋、そして鳳城学園での高一の秋と3つの時期が描かれますが、そのすべての場面において深行の目線の向こうには鈴原泉水子がいる、という処が楽しい。 表題作である「氷の靴 ガラスの靴」は、その後の物語を描いた中編。宗田真響(まゆら)が主人公に設定されています。 突然行われることになったスケート教室、しかも有名ホテルでの宿泊付き。 何故突然にこんな催しが行われたかというと、真響の祖父=宗田重蔵が、早く孫娘の婚約者を決めてしまおうと裏で企んだことらしい。 そんな訳なら放っておけないと泉水子や深行ら“チーム姫神”の面々も宗田姉弟と一緒に参加します。 ところがそこで思わぬ出来事が・・・・。 突如姿を現した危機に、チーム姫神の面々が力を合わせて対抗するという、ファンタジーでスリリングな展開へ。 やっぱりこのシリーズは面白い! 何といっても、忍者に山伏に陰陽師と、和風ファンタジーの主役にそれぞれなっても不思議ないそれらの末裔たちが泉水子を囲んで出揃っているのですから。 この面白さを読者に思い出させてしまった荻原さん、こうなれば是非「RDG」シリーズの再開をお願いしたいところですが。 影絵芝居−相楽深行・中三の初夏−/九月の転校生−相楽深行・中三の秋/相楽くんは忙しい−相楽深行・高一の秋/氷の靴 ガラスの靴−宗田真響・高一の冬/あとがき |