佐伯泰英作品のページ No.5



41.春霞ノ乱−居眠り磐音江戸双紙40.−

42.散華ノ刻−居眠り磐音江戸双紙41.−

43.木槿ノ賦−居眠り磐音江戸双紙42.−

44.徒然ノ冬−居眠り磐音江戸双紙43.−

45.湯島ノ罠−居眠り磐音江戸双紙44.−

46.空蝉ノ念−居眠り磐音江戸双紙45.−

47.弓張ノ月−居眠り磐音江戸双紙46.−

48.失意ノ方−居眠り磐音江戸双紙47.−

49.白鶴ノ紅−居眠り磐音江戸双紙48.−

50.意次ノ妄−居眠り磐音江戸双紙49.−

51.竹屋ノ渡−居眠り磐音江戸双紙50.−

52.旅立ノ朝−居眠り磐音江戸双紙51.−


【作家歴】、陽炎ノ辻、寒雷ノ坂、花芒ノ海、雪華ノ里、龍天ノ門、雨降ノ山、狐火ノ杜、朔風ノ岸、遠霞ノ峠、朝虹ノ島

 → 佐伯泰英作品のページ No.1


無月ノ橋、探梅ノ家、残花ノ庭、夏燕ノ道、驟雨ノ町、蛍火ノ宿、紅椿ノ谷、捨雛ノ川、梅雨ノ蝶、野分ノ灘

 → 佐伯泰英作品のページ No.2


鯖雲ノ城、荒海ノ津、万両ノ雪、朧夜ノ桜、「居眠り磐音江戸双紙」読本、白桐ノ夢、紅花ノ邨、石榴ノ蝿、照葉ノ露、冬桜ノ雀

 → 佐伯泰英作品のページ No.3


侘助ノ白、更衣ノ鷹(上下)、孤愁ノ春、尾張ノ春、姥捨ノ郷、紀伊ノ変、一矢ノ秋、橋の上、東雲ノ空、秋思ノ人

 → 佐伯泰英作品のページ No.4


声なき蝉(上下)、恨み残さじ、剣と十字架、異郷のぞみし、未だ行ならず(上下)、異変ありや、風に訊け、名乗らじ、荒ぶるや、奔れ空也

 → 佐伯泰英作品のページ No.6

  ※ → 「居眠り磐音 江戸双紙」公式サイト
 


              

41.

●「居眠り磐音江戸双紙40. 春霞ノ乱(はるがすみのらん)」● ★☆


春霞ノ乱

2012年10月
双葉文庫刊
(648円+税)

  

2012/11/04

  

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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第40巻。

冒頭、磐音おこんの間に第二子=女子の睦月が誕生。
そして久々に
豊後関前藩の留守居役に昇進した中居半蔵から呼び出された磐音、関前藩内部に起きている不可解事を打ち明けられ、その解決に向けての協力を求められます。
さらに新造船「明和三丸」が江戸に着いたところ、何と母=
照埜がいきなり現れさすがの磐音も驚く。明和三丸に父=正睦と共に忍んで江戸入りしたという。
正睦の密かな江戸入りの目的は、関前藩内部に起きた問題事の解決に他ならず。しかし、その正睦が藩邸入り早々に誘拐拉致されてしまう。
中居半蔵からの知らせを受け、磐音ら尚武館坂崎道場チームが正睦奪回に向けて動き出します。

久々の関前藩事とあって、懐かしい気持ちになりますが、せっかく軌道に乗った関前藩経営が何故こんなことに?と思うのは、磐音ならずとも読者も同様。しかし後半、その背後に田沼意次の存在があったと知れれば、さてこそと思う次第。

関前藩内部を舞台に再度の藩内闘争の始まりが描かれる一方で、第二子誕生、南町奉行所同心=木下一郎太瀬上菊乃の祝言、正睦と照乃が2人の孫と相見えるという内容は、田沼一派との闘いからちょっと脇に逸れながらも、着々と磐音らが地歩を固めている様子が見てとれます。

思わぬ来訪者/突き傷/必殺の突き/正睦の行方/照埜の憂い

                 

42.

●「居眠り磐音江戸双紙41. 散華ノ刻(さんげのとき)」● ★★


散華ノ刻画像

2012年12月
双葉文庫刊
(648円+税)

  

2013/01/01

  

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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第41巻。
そしていつの間にか
“天明の関前騒動”三部作・第2弾の由。

本書ストーリィの主眼は、江戸家老に昇進した後に藩主の正室であるお代の方を籠絡し、江戸屋敷で専横をきわめるどころか何時の間にかご禁制の密貿易にまで手を染めていた鑓兼参右衛門と、藩主=福坂実高の名代として密かに出府して来た国家老=磐音の実父である坂崎正睦との対決。
そしてその背景には、
田沼意次・意知父子による豊後関前藩と坂崎父子を追い詰めようとする策略が隠されていたという次第。
シリーズものとあって最終的な結末は決まっているようなものですが、それでも結構スリリングです。
その理由は、元物産方組頭であり現在江戸留守居役となっている
中居半蔵を筆頭とする反鑓兼派が、鑓兼派に対して劣勢であることにあります。
お代の方&鑓兼一派対坂崎父子&反鑓兼派という対立構図。
そうした中で、江戸に出てから築き得た様々な人脈を駆使して磐音が鑓兼三右衛門と闘うという展開。

藩内における派閥対決ストーリィとして、結構読み応えのある巻です。

睨み合い/世継ぎ/堀留の蝮/祝い着/再びの悲劇

             

43.

居眠り磐音江戸双紙42. 木槿ノ賦(もくげのふ) ★☆


木槿ノ賦画像

2013年01月
双葉文庫刊
(648円+税)

 
2013/02/03

 
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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第42巻。
そして“天明の関前騒動”三部作の最終巻にして収束話。

したがって、ストーリィとしては大きな動きはありません。関前騒動を収束し、田沼意次・意知父子との本格的な闘いに再び戻るまで、の繋ぎの巻と言えそうです。
・関前藩主=
福坂実高が養子にとり世継ぎとした俊次を伴って出府。幕府から正式に継嗣として認められ、ひと段落。その俊次、さっそく坂崎道場に入門し、毎日稽古に通うようになります。
・磐音の父母である
坂崎正睦照埜夫婦がいよいよ関前に戻ることが決まり、旅立ちます。
・今後に引き継ぐ要素としては、武左衛門の嫡男=
修太郎の不行跡、山形の前田屋奈緒が再び困難な状況に置かれたこと。

全篇を通しては、田沼派の意向を受けた起倒流=鈴木清兵衛に連なる剣客たちが様々なやり方で磐音の周辺に悪行を仕掛けてきます。さて磐音、どうその始末をつけるのか。

若武者/照埜の墓参り/旅立ちの朝/俄の宵/短刀の謎

                  

44.

居眠り磐音江戸双紙43. 徒然ノ冬(つれづれのふゆ) ★☆


徒然ノ冬画像

2013年06月
双葉文庫刊
(648円+税)

  

2013/07/07

  

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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第43巻。

前巻の最後で敵の放った毒矢に倒れ、生命は取り留めたものの未だ意識の戻らぬ霧子重富利次郎が背負い、磐音ほか皆で治療を受けていた若狭小浜藩江戸屋敷から坂崎道場のある小梅村まで連れ帰るところから本巻はスタートします。
小梅村に戻したのは、霧子の回復を祈る皆の声、稽古の音が、霧子の意識を取り戻すのに役立つのではないかという思いから。

時節は暮れから正月にかけて。
霧子に関わる部分の他は、各々これからの道のりをどう心に描くか、ここでちょっと足を止めて考えてみよう、という風な巻になっています。
まずは腰の定まらない
竹村武左衛門の嫡男=修太郎、そして山形でまたもや苦境に陥っている奈緒に磐音とおこんが思いを馳せます。松平辰平が想いを通わせている福岡の豪商=箱崎屋のお杏とのこともそろそろ動きが生じるようです。
もちろん磐音自身も、新しい年を迎え次の段階へとステップアップするようです。
その鍵を握るのは、神保小路の尚武館佐々木道場の跡地から掘り出された短刀。それがどんな短刀かは、読んでのお楽しみです。

修太郎の迷い/万来見舞客/師走奔走/大つごもり/極意披露

      

45.

居眠り磐音江戸双紙44. 湯島ノ罠 ★☆


湯島ノ罠画像

2013年12月
双葉文庫刊
(648円+税)

2013/12/31

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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第44巻。

前巻の最後で漸く意識を取り戻した霧子が、回復のため鍛錬を始め、その延長で諜報活動も再会。
一方、小梅村の坂崎道場を田沼父子と対立する白河藩主=
松平定信が訪れ、磐音と師弟関係を交わします。
そして
重富利次郎と霧子の今後に道が開けてきた一方、福岡から出てくる箱崎屋のお杏を待ち兼ねる松平辰平の身に思いがけない危難が振りかかります。
また上記展開の傍ら、前田屋内蔵助の奇禍により3人の幼い子を抱えて苦境に立つ
奈緒の身を皆が気遣います。

苦難続きだった磐音を中心とする一同の身にも少しずつ展望が開けてきた一方、いよいよ田沼父子と磐音らとの決戦の時が近づいていることを告げる巻。
本書はまだまだその前哨戦。今後の展開が楽しみです。

霧子の復活/闇読売/五十次の始末/辰平失踪/女牢の髷

         

46.

居眠り磐音江戸双紙45. 空蝉ノ念 ★☆


空蝉ノ念画像

2014年01月
双葉文庫刊
(648円+税)

   

2014/01/05

  

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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第45巻。

本シリーズにおいて現在の中心ストーリィとなっている田沼意次・意知父子との対決については、本巻では小休止〜微速前進。
代わって本巻の主ストーリィとなっているのは、
松平辰平の身の振り方です。
前巻で重富利次郎と霧子の身の振り方がようやく決まったことでさて松平辰平は?というところ。
その辰平の元に待ち兼ねていた
箱崎屋次郎平が、辰平と恋仲の末娘=お杏を連れて福岡黒田藩からついに江戸到着。遠距離恋愛を育んできた二人の4年ぶり再会となります。
そうしたところで辰平とお杏の身の振り方をどうするのかが、磐音夫婦、お杏の父親である箱崎屋次郎平、辰平の両親である
松平喜内と稲夫婦の課題となります。

一方、かつて佐々木玲圓と同門で栄えた直新影流道場で一番の使い手だったという「肱砕き新三」と異名をとった老武者=川股新三郎が坂崎道場を訪れ、磐音に勝負を挑みます。

※本書あとがきでは、本シリーズ主人公の「イワネ」の名前の由来等、そして本シリーズ大団円まであと5巻かな、とのこと。

肱砕き新三/三つのお守り札/お稲とお杏/小梅村の宴/老武者の妄念/あとがき−イワネの真実

          

47.

居眠り磐音江戸双紙46. 弓張ノ月 ★☆


弓張ノ月画像

2014年07月
双葉文庫刊
(648円+税)

2014/07/12

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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第46巻。

番士=佐野善左衛門が城中で若年寄=田沼意知に対し刃傷に至ったという事件を取り扱った巻。
それ自体は歴史的事実ですが、その事件の背景を本シリーズならではのフィクションとして描き、事件の波及による混乱を抑えるために磐音らが奔走する、というストーリィ。

この事件により権勢を誇った田沼意次の勢いにも陰りが生じていく訳ですが、それは本作品においても坂崎磐音の転換期となります。即ち、田沼意次・意知父子との戦いを優先事項としてきた姿勢から“人を生かす”道への転換。

本シリーズも残す処あと僅かの筈で先が見えてきたという観があるのですが、その中でどう緊張感を維持していくのか。そこが見処になるのかもしれません。

行動の刻/お杏の覚悟/五人の若年寄/斬奸状/無為の策

       

48.

居眠り磐音江戸双紙47. 失意ノ方 


失意ノ方画像

2014年12月
双葉文庫刊
(648円+税)

 


2014/12/20

 


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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第47巻。

磐音らの宿敵である老中=田沼意次の嫡男で若年寄の職にあった田沼意知、佐野善左衛門が城中で殺害するに至ったという事件の後を描く巻。表題の「失意ノ方」とは勿論田沼意次のこと。
そのため、特にこれといった大きな動きはなく、終焉までの道ならしといった印象の巻です。

そのためか、流派の後継者となるべき孫娘の婿選びのため弟子7人と勝負させろと坂崎道場に乗り込んできた鹿島神陰流卜部派・
卜部沐太郎忠道と名乗る老剣客とその妖しげな姿態を見せる孫娘ひなという連中が、江戸市中の剣術道場を騒がせ、最後は磐音との勝負に至るというのが「婿選び」「玄妙妖術ひな」の章。

一方、苦境に陥り行方が分らなくなっている
奈緒とその子3人を磐音に代わって救い出すべく、独断で弥助が山形に向かい、その後を磐音の許可を得た霧子が向かうというのが最終章での出来事のひとつ。

なお、ヤクザに追われて命からがら坂崎道場に居候に押しかけてきた絵師の
北尾重政が、ふと着想を得て描き出したのが「尚武館夏景色女五態」(早苗・霧子・おこん・○○・お杏)というシリーズもの錦絵。それに磐音と土子順桂吉成が対峙する場面を追加して「夏景色六態」蔦屋重三郎も大乗り気で売り出しを決めた部分は本巻デザート、読者向けサービスでしょう。

弥助の出自/神保小路の屋敷/婿選び/玄妙妖術ひな/失意ノ方

        

49.

居眠り磐音江戸双紙48. 白鶴ノ紅 ★☆


白鶴ノ紅画像

2015年01月
双葉文庫刊
(648円+税)

 


2015/01/10

 


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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第48巻。

前巻からいきなり2年後へと飛び、その間様々な変化があったことがまず冒頭で語られます。
奈緒一家が山形から江戸に到着、坂崎道場の師範代格だった松平辰平箱崎屋お杏と祝言を上げて今は共に黒田藩国許の福岡へ。一方、重富利次郎霧子と祝言を上げ関前藩の長屋へ引越済。

もうここまで来ると、ゴールはもう目の先。
そのため本物語における登場人物の幾人かについて、順々にその方向が定まって行くという流れがあります。
「輝信の迷い」は、辰平・利次郎が去った後住み込み門弟の一番手になった田丸輝信の迷いと、ようやくその心が定まる過程を描いた篇。
「八朔の雪」は、奈緒が浅草寺門前近くに紅を扱う“最上紅前田屋”を開業、オリジナル商品“白鶴ノ紅”が評判になる経緯。
「秋世の奉公」は、竹村家の次女=秋世の奉公もいよいよ定まるという経緯。
「老中罷免」「お代の還俗」は、家治の死去により田沼意次が老中を罷免される一方、磐音が関前藩主=福坂実高の意を受けて、お代の方を還俗させるべく鎌倉の東慶寺へ迎えに出向く経緯。

未だ粘り腰をみせる
田沼意次と、松平定信を先鋒とする反田沼派の政争、磐音はそれに巻き込まれまいと、一歩引いた姿勢を守ろうとしています。

長い物語の幕がついに下り始めた、そんな印象です。

輝信の迷い/八朔の雪/秋世の奉公/老中罷免/お代の還俗

  

50.
居眠り磐音江戸双紙49. 意次ノ妄 ★☆


意次ノ妄

2015年07月
双葉文庫刊
(648円+税)

 


2015/07/18

 


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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第49巻。

冒頭、尚武館道場を訪ねてきた速水左近から磐音に、田沼意次の死が伝えられます。長きに亘る意次との戦いにようやく終止符が打たれたかと、関係者の思いはひとしお。
しかし、そう簡単に戦いは終わりません。息子の意知が殺されたのは
松平定信の使嗾があった故と恨みを抱く意次が簡単に諦め、屈服する筈がない、きっと何か最後の抵抗となる仕掛けをしている筈。松浦弥助はそう磐音に言い、一人田沼家の遠州相良藩へとそれを探りに江戸を離れます。
その弥助から後日、
霧子の手を経て磐音にもたらされたのは、寸又峡という秘境で現在修練を積んでいる柳生新陰流裏大和派の剣士7人が、いずれ意次の遺命を受け、松平定信暗殺と坂崎磐音打倒を果たす為動き出す筈、ということ。
という訳で、本書は死去した田沼意次の残滓と、尚武館坂崎道場の面々との戦いを描く巻。

その中で、重富利次郎と一段と逞しくなった姿、田丸輝信速水右近の成長した姿と共に、磐音の嫡子=空也の成長を遂げつつある姿が描かれます。
また、一方では、黒田藩の福岡城下に住む
辰平と、内藤新宿の旅籠屋でずっと働いてきた輝信の次兄=次助からの吉報も届きます。
加えて、新しく尚武館の仲間となった「
小梅」の登場も楽しいところ。

※長く続く本シリーズ、あと2巻で完結、来春正月に2巻同時刊行とのことです。

寛政の改革/仔犬の小梅/寸又峡の七人衆/弥助、戻る/初陣空也

            

51.
居眠り磐音江戸双紙50. 竹屋ノ渡 ★☆


竹屋ノ渡

2016年01月
双葉文庫刊
(648円+税)



2016/01/09



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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第50巻。
ついにシリーズの最後を締める2巻、同時発売です。

若かった坂崎磐音も既に48歳、嫡男の空也も早や14歳です。
田沼意次が失脚、死去し、長いシリーズの後半も実質終了したと言える状況。その意味で本書はもう、主人公たちのその後を語る“エピローグ”段階と言えます。
そうとなれば、2巻同時発売は至極当然のこと、第50巻はエピローグ前編と言える内容なのですから。

御側御用取次に復職した速水左近の念願ということもあり、その仲介により磐音、空也父子が11代将軍の家斉に召し出されます。そしてその拝謁の場で、磐音が家斉から神保小路での直心影流尚武館道場の再興を命じられ、空也もその後継を命じられます。
ついに神保小路での尚武館道場復活成る! それが本巻での中心ストーリィ。
そして、その他の主なところでは、
・14年ぶりに
向田源兵衛高利が磐音の元を訪れ、坂崎道場の新たな仲間として加わります。
・速水左近の次男である
右近の行く道が本書で定まります。
・天真正伝神道流・
土子(ひじこ)順桂吉成と磐音との対決がついに成ります。
・深川六間堀以来の馴染だった
幸吉、おそめ、どてらの金兵衛さんの身にも変化が生じます。

その一方、豊後関前藩の中居半蔵からは磐音の父で未だ国家老の職にある坂崎正睦の体調不良と、その間隙を突くような不穏な空気のあることが知らされ、完結編である51巻へと繋がっていきます。

父と子/殴られ屋侍、戻る/右近の決断/尚武館再興/十一年目の誓い

       

52.
居眠り磐音江戸双紙51. 旅立ノ朝 ★★


旅立ノ朝

2016年01月
双葉文庫刊
(648円+税)



2016/01/10



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“居眠り磐音江戸双紙”シリーズの第51巻、最終巻。

エピローグ後編は、前編竹屋ノ渡からさらに2年後、舞台は豊後関前です。
父・
坂崎正睦の容態が悪化、余命僅かと知らされた坂崎磐音はおこん・空也・睦月の家族を伴い、藩の新造船に同乗して一家で故郷に戻ります。
単なる見舞いで済まないのは、再び内紛が起こりかねない状況にそこにあるから。
正睦が取り立て中老にまで立身した
伊鶴儀登左衛門が成り上がり者の本性を現し、正睦の病気悪化の隙をついて中老派を形成し不正に手を染めるばかりか、さらには国家老の地位まで虎視眈々と狙っているというのがその状況。
そうした豊後関前藩再度の危機に、先に関前に送り込んだ
重富利次郎・霧子夫婦の助けを借りながら、小林奈緒一家を守り、さらに国家老として最後の務めを果たそうとする正睦を助け、磐音・空也父子が活躍するというのが中心ストーリィ。

本巻の良さは、最終巻だからといって終わりのストーリィに留まることなく新たな始まりのストーリィとして構成されていること。
本書題名である
「旅立」の主役は誰かと言うと、それはもはや磐音ではなく、16歳になった嫡子・坂崎空也。
豊後関前の、あの陽炎立つ御番の辻の戦いから始まったこの長い物語も、再び豊後関前に戻って物語を終えます。
そしてそれに代わるようにして、新たに坂崎空也の物語が刻まれていく筈ですが、それはもう書かれない物語でしょう。
こうした長い物語の終わりとして、読了後の気分はすこぶる良い、爽快という言葉に尽きます。


見舞い/思い出めぐり/関前の紅花畑/寛政の戦い/最後の戦い/あとがき

      

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