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1.芥川症 2.いつか、あなたも 3.院長選挙 |
「芥川症」 ★☆ | |
2017年01月
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題名、表紙絵を見て直ぐに気付かれることでしょう。本書が芥川龍之介作品のもじりであることを。 |
「いつか、あなたも」 ★★ | |
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必然的に末期患者を行うことの多い在宅医療、その専門クリニック「あすなろクリニック」に所属する2人の医師と看護婦、そして末期患者とその家族の姿を描いた医療小説、6篇。 しかし、上記篇などはほんの序の口。その後の篇、まさに現実は作り話より遥かに重いものを備えていると思わざるを得ませんでした。 本書を読み終えた時、「いつか、あなたも」という本書題名が、突き刺さすように胸に迫ってくるのが感じられます。 |
3. | |
「院長選挙」 ★★ |
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2019年08月
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国立大学病院の最高峰である天都大学医学部付属病院で、病院長の宇津々覚が急死。しかし、不整脈による突然死という発表の一方で、自殺、事故死、もしかすると謀殺?という噂がささやかれていた。 そんな中、次の病院長の椅子をめぐって、4人の副院長が争うことになります。つまりは“院長選挙”をめぐる争い。 その4人の副院長とは、心臓至上主義で外科嫌いの循環器内科教授=徳富恭一、手術の腕は抜群だが内科嫌いの消化器外科教授=大小路篤郎、患者を多く集め手術収益で病院への貢献大という眼科教授=百目鬼洋右、そして改革派を標榜する整形外科教授=鴨下徹、という面々。 折しも女性フリーライターの吉沢アスカが“医療崩壊”をテーマにしたノンフィクションをものにしようと、天都大学に取材に入り込みます。 そのアスカの視点を以て描かれる、抱腹絶倒というより、呆れる上にも呆れ果てるばかりの、高名医師たちによる群像劇。 アスカが一人ずつ取材に回る限りでは、自分の自慢・他科の悪口を吹きまくっているというだけのことなのですが、その4人が集まるや、いやはや・・・・。言い争いがどんどんエスカレートして罵り合い、挙げ句の果てには掴み合い、アスカや出版社部長という第三者がその場にいるというのに見境なし。 それは部下の晴れの舞台でも繰り広げられるのですから、何ともはや・・・。 珍しく4人が意気投合しているかと思えば、それは患者やその家族に対する悪口を吹きまくっている時というのですからねぇ。 しかし、コメディとばかり言っていられないのは、誇張過ぎる処はともかくとして、実際そんな場面、傾向はあるのだろう、と思われることです。 とにかく、「先生」と呼ばれる人たちは、人に頭を下げるということを知りませんからねぇ。 口をあんぐり開けてしまう程にまで呆れ返るストーリィを読んでみたいという方に、お薦め。 1.伝説の教授室/2.手術部風呂/3.犬猿の仲/4.アンフェア・プレー/5.謝罪会見/6.コメディカル/7.面白い巨塔 |