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12.望月青果店 13.心の森 14.空中都市15.お菓子の本の旅 16.美しい心臓 17.ラブ・オールウェイズ 18.素足の季節 19.あんずの木の下で 20.テルアビブの犬 |
【作家歴】、それでも元気な私、欲しいのはあなただけ、エンキョリレンアイ、サンカクカンケイ、レンアイケッコン、好きだからこそ、ルウとリンデン−旅とおるすばん、別れのあと、時を刻む砂の最後のひとつぶ |
ぶどう畑で見る夢は、炎の来歴、瞳のなかの幸福、ごはん食べにおいでよ、未来地図 |
●「ラブ・ストーリーを探しに」● ★★ |
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小手鞠さんが現在居住する、米国の小さな町ウッドストック。 米国人男性と離婚して以来ウッドストックに一人で暮らす日本人女性作家自身の恋物語の他、彼女が聞き知るラブ・ストーリーのことが各篇に書き綴られていきます。 ウッドストックの町と四季に触れながら、ささやかに語られるラブ・ストーリーに耳を傾ける。そんな楽しさを味わえる一冊。 花を愛した男/苦い涙の極上の甘さ/遠い楽園/フローズン・マルガリータ/十年後/ひとり旅/秋のエアメール/冬仕度/酒と薔薇の日々/ガールズ・ナイト/学生街の喫茶店/サンクチュアリ |
●「望月青果店」● ★☆ |
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現在は夫と米国でB&Bというスタイルの宿屋を営んでいる鈴子の元に、母親の具合が悪いという連絡が入ります。 父と娘あるいは息子という関係でもいがみ合うことはあると思いますが、母娘となるとまた特別なものがあるのでしょうか。 なお、表題の「望月青果店」は鈴子の実家が営む青果店の名。 |
13. | |
●「心の森」● ★★ |
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2012/06/17 |
小学校高学年向け課題図書だそうです。 母親が亡くなって父親と2人暮らしの少年=響(ひびき)。父親が米国に転勤になったことに伴い、響も米国へ。 表題の「心の森」とは、文字通り胸の中にある森のことです。 |
●「空中都市 Machu Picchu」● ★☆ |
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NYへ観光旅行に出かけていた可南子と晴海の母娘。 娘は未来へ向かっての恋、それと対照的に母親は過去の恋を辿るという、母娘それぞれの青春物語。 なお、私は読んでいないので気づきませんでしたが、本作品は「ガラスの森」「ワイングラスの海」に続く“森海空の青春三部作”の完結編なのだそうです。 |
15. | |
●「お菓子の本の旅」● ★★ |
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とても楽しいお話。 主人公となるのは2人の中学生です。 「お菓子の本の旅」、楽しげな題名ですが、本ストーリィの鍵として登場するこの本、本当に世界を旅して回るのです。それって・・・・?というのは、本書を読んでからのお楽しみ。 遥の物語1-魔の階段とおかしな本/遥の物語2-涙エッセンス入りフルーツケーキ/遥の物語3-感想文が書けない!/淳の物語1-まいごのプリンとたずね人/淳の物語2-にこにこ入りひつじ雲スコーン/淳の物語3-ラブレターが届いた!/遥の旅-とびらの向こうがわ/遥の旅-とびらのこちらがわ/お菓子の本の旅 |
16. | |
「美しい心臓 a nameless couple in heaven and hell」 ★★ |
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2016年02月
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小手鞠さんらしい、狂おしいまでの恋情を描いた長編小説。 主人公は30歳間近の女性。その彼女が迸る想いを抑えきれない程好きなってしまった相手は、40代半ばの中年男性。 相手を求めて止まない、狂おしい恋情。だからこそ今だけ、相手以外の一切が目に入らないというような状況は、所詮いつまでも続くものではないのでしょう。それは、世俗離れしていられる間だけ抱ける想いだから、という気がします。 恋愛小説がお好きな方に、こんな作品も如何?とお薦めしたくなるような一作です。 |
17. | |
「ラブ・オールウェイズ Love Always」 ★☆ |
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小手鞠るいさんの恋愛小説はだいぶ読んできたので暫くはもういいかなと思っていたのですが、書簡体小説というと、それだけでつい惹かれてしまいます。 前半はもうひとつ乗らなかったのですが、2人が別れを告げた後からいつしか心惹かれるようになっていました。 現代ですからやがて2人のやり取りには電子メール、携帯電話が登場しますが、比較してみるとやはり手紙のもつ濃さに両者は敵いません。手紙には書く人の想いが籠る、それは安易な通信手段である電子メールには生まれにくいのではないか、と感じさせられます。 なお、本作品について特筆すべきことは、急逝した絵本作家=伊藤正道さんの挿絵がふんだんに挿入されていること。最初こそ簡単に見過ごしていましたが、挿絵と各章の内容が調和していることに気付いた後は、挿絵の魅力が心に沁みるようでした。 |
18. | |
「素足の季節」 ★★ |
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高校に入学しても孤立していた杉本香織(カオ)に声を掛けてきたのは、美人で学業も優秀、しかし不良少女風ということで行内の有名人だった間宮優美(マミ)。 そこから6人の少女たちの、ひたむきに情熱をぶつけた女子高校生版演劇ストーリィが繰り広げられます。 濃密な女子高校生版青春&恋愛ストーリィ。 |
「あんずの木の下で−体の不自由な子どもたちの太平洋戦争−」 ★★ |
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1932年に日本で初めて越率された、体の不自由な子どもたちのための公立学校「東京都立公明特別支援学校」の、戦時中、疎開等々の苦労を語ったノンフィクション。 何故戦後70周年の今、特別支援学校のことについて語る必要があるかといえば、太平洋戦争中、ごくつぶし、足手まといとして蔑まれるということが、実際にあったからだそうです。 本書を読んで今更ながらに思うことは、あれは間違った戦争であった、ということです。 一般国民を犠牲にし、中でも弱い者を平気で足蹴にしてきたような戦争は一体誰のための戦争だったのか、と言えば、戦争をしたかった軍人たちが勝手に始め、勝手に一億玉砕などと唱えた戦争だったと言わざるを得ません。 その中でも特に辛い目にあった、声なき人たちの一部が、本書で語られる子供たちだった、ということなのでしょう。 そして小手鞠さんは最後に、過去のものである戦争だけでなく、現在進行中の“いじめ”問題についても語ります。 本書は、戦争のない平和な世界、“いじめ”のない社会を作るためには皆の努力が必要なのだというメッセージを伝える一冊。 東京から届いた一通のメール/1.運命を乗せた列車/2.学童疎開と光明学校/3.ふたつの疎開/4.悲しい別れ/5.あんずの木の下で/6.鳴りひびく空襲警報/7.終わらなかった疎開生活/なぜ、戦争はなくならないのか。 |
「テルアビブの犬」 ★☆ | |
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小手鞠るいさんが恩師という故やなせたかしさんに捧げる、故やなせたかしさんとの約束を果たすために書かれた「フランダースの犬」の日本版、オマージュ作品。 「フランダースの犬」は子供の頃に一度読んだきりですが、ストーリィは忘れようもない名作。題名からしてオマージュとはすぐ判りますが、何故「テルアビブ」なのか?というのが誰しも抱く疑問でしょう。 祖父と孫の極貧生活という大前提から、時代は太平洋戦争敗戦後の多くの人が貧しかった時代に設定されています。 ストーリィは今更言うまでもなく、またオマージュ作と判っていても、お互いに深く愛し合う少年ツヨシと老犬ソラの物語には感動せずにはいられません。 原作「フランダースの犬」と異なるのはその結末。 結末が異なるのかどうかは終盤に至って大いに気になった点ですが、意外と言えば余りに意外な結末。 掲げた理想が思いもしなかった結果に歪められていく現実社会の壁の厚さは、余りに重い。 それでも理想を全うした人たちもいる訳ですから、そこにおいては心の強さも必要、と深く感じた次第です。 1.涙と雨/2.あなたは美しい/3.心を奪われて/4.あふれる言葉たち/5.叫ぶ/6.危険/7.輝く星のひとつを/8.さようなら、愛しい者/9.連れて帰る |
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