梶尾真治作品のページ No.3



21.つばき、時跳び

22.悲しき人形つかい

23.ムーンライト・ラブコール

24.あねのねちゃん

25.アイスマン。ゆれる

26.穂足のチカラ

27.メモリー・ラボへようこそ

28.ボクハ・ココニ・イマス

29.壱里島奇譚

30.クロノスの少女たち


【作家歴】、地球はプレイン・ヨーグルト、ヤマナベ・ポリスのミイラ男、サラマンダー殲滅、ドグマ・マ=グロ、スカーレット・スターの耀奈、OKAGE、黄泉がえり、黄泉びと知らず、美亜へ贈る真珠、もう一人のチャーリー・ゴードン、フランケンシュタインの方程式

梶尾真治作品のページ No.1


タイムトラベル・ロマンス、インナーネットの香保里、未来のおもいで、新編クロノス・ジョウンターの伝説、波に座る男たち、精霊探偵、この胸いっぱいの愛を、時の"風"に吹かれて、きみがいた時間ぼくのいく時間

 → 梶尾真治作品のページ No.2


おもいでエマノン、さすらいエマノン、まろうどエマノン、ゆきずりエマノン、ダブルトーン、アラミタマ綺譚、うたかたエマノン、怨讐星域1〜3

 → 梶尾真治作品のページ No.4


猫の惑星、杏奈は春待岬に、たゆたいエマノン、デイ・トリッパー、黄泉がえり again、彼女は弊社の泥酔ヒロイン、おもいでマシン、クロノス・ジョウンターの黎明

 → 梶尾真治作品のページ No.5

   


    

21.

●「つばき、時跳び」● ★★

 
つばき、時跳び画像
  
2006年10月
平凡社

(1500円+税)

2018年01月
徳間文庫



2006/11/06



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いつものタイムトラベル・ストーリィ。
「いつも」であろうと少しも飽きるという気持ちがしないのは、タイムトラベルの仕組みに毎回異なる工夫が凝らされているからです。
そしてもうひとつの理由は、ロマンスの香りが濃いこと。
タイムトラベル・ストーリィではあっても、主眼はタイムトラベルそのものにあるのでなく、時空を超えて結ばれるロマンスにこそある。それが私にとっては好ましい魅力です。
それがあるからこそ、梶尾作品が新たに刊行される度、読まずにはいられないという訳です。

今回は、熊本で曽祖父の代から一家が住んできた古い屋敷「百椿庵」が舞台となります。
そこに駆け出し作家である主人公・井納惇が、両親の依頼で留守番代わりに住み始めたところから始まります。その百椿庵には、女にしか見えない幽霊が棲みついているという話があった。
その幽霊というのは、実は幕末時代にこの家に暮らしていた、つばきという名の美しい女性。
過去からつばきが現代へ、そして次には主人公が現代から幕末の時代へと、各々時を超えて出会い、再会することになります。そして2人の間には、時を軽々と超えて恋が結ばれるというラブ・ロマンス。
特にどうということない作品かもしれませんが、私は好きなんですよ、この清らかな雰囲気が。
そして梶尾さんの描くヒロインは、こんな女性がいたら良いよなぁと思う女性なのです、いつも。

いつもの時空を超えるラブ・ロマンスに、今回は石川英輔“大江戸神仙伝”シリーズの如く各々の時代で2人が連れ立って見物して回るという観光要素がプラスされていて楽しい。
過去へ遡る恋、ちょうど未来へ架けた恋を描いた未来へのおもいでの姉妹編といえるような作品です。

  

22.

●「悲しき人形つかい」● 

 
悲しき人形つかい画像
  
2007年02月
光文社

(1600円+税)

2009年07月
光文社文庫



2007/03/13



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カジシン風、SFロボット的“(荒野の)用心棒”といいたいストーリィ。

科学オタクの機敷野風天(フーテン)とその欠落している常識部分を補佐する中西祐介とは、高校以来の共生関係で今や24歳。
2人が作業場に適していると引っ越してきた先の横嶋町は、北村組藤野会というヤクザが全面抗争の真っ最中。おかげで普通の住民は皆逃げ出した後という。
そんな2人が藤野会から因縁をつけられていたところを高校時代の同級生、今は北村組のパシリとなっているヒロに救われたことから、2人は2組の暴力団の抗争に巻き込まれてしまう、というストーリィ。
フーテンはちょうど脳波で操作する、介護用補助装置(BF)の試作機を作り上げたところ。そこに北村組の組長が突然死するという事態が起きます。泡を食ったヒロが組幹部にフーテンの装置について口を滑らしたから堪らない。2人は死んだ組長をBFを使って生きているように見せかけろと命じられます。
ここに至って、漸く本書題名の意味が理解できます。
2人は、そして同様に難題に引っ張り込まれた宮内こゆみを合わせて3人は、この窮地から如何にして逃れるのか。かつまた、黒澤明監督の「用心棒」の如く2組のヤクザを激突させ、一気に町を救うなんていうことができるのか。

梶尾さんらしい突拍子もないアイデアを基にしたストーリィですけれど、残念ながらタイムトラベルのような夢も、ロマンスの香りもなし。
海岸で飼い犬に操り人形が引きずられる場面は笑ってしまいますが、ヤクザ同士の抗争がメインとなっていることから、どことなく暗い雰囲気があります。そこが不本意ながらマイナス点。
なお、梶尾さんならではの発想をどうストーリィに取り込むかという点では従来どおりの面白さがあります。
故にカジシン・ファン向けの一冊と言えるでしょう。

    

23.

●「ムーンライト・ラブコール」● 

 
ムーンライト・ラブコール画像
  
2007年04月
光文社文庫

(552円+税)



2007/05/03



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梶尾さんならではの、ロマンス風味付き宇宙もの、タイム・トラベル等の時間もの、SFファンタジー等々を集めた短篇集。
いずれも小品ですが、梶尾さんらしい味わいのある作品ばかりですので、ファンとしては楽しめる一冊です。

「ムーンライト・ラブコール」は宇宙空間をまたがるプロボーズという壮大なラブ・ロマンスなのですが、その手法が何とも古典的であるのが楽しく、笑ってしまいます。
「アニヴァーサリィ」はサンタもの。老夫婦にも夢は必要です。良いじゃないですか。
「ヴェールマンの末裔たち」は、本書中で主人公達が一番汗かくストーリィに違いない。好きですねぇ、こんな作品。子供の頃怪獣ものファンだった人には受けること間違いなし。

「ファース・オブ・フローズン・ピクルス」、宇宙時代になっても見合いは必要なのかも。
「ローラ・スコイネルの怪物」には、有川浩「空の中を連想させられました。本作品の方がもっと可愛らしいですけど。
「一九六七空間」は、学生だった1967年へのタイムトラベル・ストーリィ。誰だってきっとあの頃に戻ってもう一度やり直したいと思ったことはある筈。さてさてその結果は・・・。

ムーンライト・ラブコール/アニヴァーサリィ/ヴェールマンの末裔たち/夢の閃光・刹那の夏/ファース・オブ・フローズン・ピクルス/メモリアル・スター/ローラ・スコイネルの怪物−B級怪物映画ファンたちへ/一九六七空間

   

24.

●「あねのねちゃん」● ★★

 
あねのねちゃん画像
  
2007年12月
新潮社

(1500円+税)

2010年06月
新潮文庫



2008/01/08



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孤独な状況に置かれた幼児が、それを補填するために作り上げた想像上の友人=“イマジナリー・コンパニオン”
本書はそれをテーマにしたファンタジーな物語。

人見知りな性格の玲香は幼稚園でも他の子と仲良くなれず、いつもひとりぼっち。そんな玲香を救って励ましてくれたのは、玲香にしか姿が見えない女の子=あねのねちゃんでした。玲香にも次第に友達ができるようになると、いつしかあねのねちゃんの姿は消えていた。
大人になって今はOLの玲香、つきあっていた相手から突然別れを告げられ、さらに会社でも散々に罵倒され、すっかり落ち込んでしまう。そんな玲香の前に、なんと昔の姿そのままのあねのねちゃんが姿を現します。
今の玲香は、あのねのちゃんが想像上の友人であると判っています。それでも、どこかであのねのちゃんを頼りにしてしまう。
その一方、あのねのちゃんの行動が実は玲香自身がしたいと思っていることであると知りつつ、それを恐れる気持ちがあることを否定できない。

そんな玲香とあのねのちゃんの微妙な心理のかけひきが、微笑ましく、楽しい。そしてそんな2人の心持ちが愛おしく感じられます。
あぁ、それなのに、何でホラーみたいな展開になってしまうのかなぁ〜。植物園でのんびりしていたら、いつの間にか絶叫マシンだらけの遊園地にいた。という気分です。
これもまた、単なるファンタジーで終わらせるものか、読み手をあっと言わせようというカジシンさんの悪戯心のなせる業でしょうか。でもそのおかげで、このファンタジーかつおとぎ話のような物語がさらに楽しく、ユーモラスに、そして心温まるストーリィになっています。

読了後は、ぽぉっと心が温まるような、嬉しく楽しい気分が残ります。こういうストーリィ、私は大好きです。
ユーモラスなファンタジー物語がお好きな方、お薦めです!

 

25.

●「アイスマン。ゆれる」● ★★

 
アイスマン。ゆれる画像
  
2008年03月
光文社

(1600円+税)

2010年10月
光文社文庫



2008/04/07



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「アイスマン」、まるで氷河期に関わるSFストーリィのような題名ですが、月下氷人(仲人)のこと。
知乃が高校時代に自宅で見つけた文箱。その中には、男女を結びつける呪い(まじない)の方法が記されていた。
友人2人から唆されて悪戯半分に試したところ、何と実現してしまう。それと知った鮎美が知乃を称して曰く「アイスマン」。
それから年月が過ぎ、知乃も、友人の鮎美も和衣も今や30代、そして未だ独身。
そんな今になって、後輩のため、そして自分の為にと、知乃は和衣から2度に亘り再び呪いの依頼を受けることになります。しかし、その呪いは、知乃自身の身体にも重い負担をかけずには済まさない。
そんな折、高校時代に知乃がほのかな想いを抱いていた相手、東村が熊本に戻ってきて、知乃と鮎美は東村と飲み会を重ねるようになります。そしてついに・・・。

友情、恋、そして自分の生命の危険、その板ばさみの中で最終的に知乃は何をどう選択をするのか。
本ストーリィはハッピーエンドに終わるのか、それとも悲劇に終わるのか。
切なさとハラハラドキドキする気持ちがどんどん高まっていき、胸が締め付けられる思い。
最終的には収まるべきところへ収まるのですが、その収め方がまた上手い! それこそがカジシン的ラブ・ファンタジーの魅力。

なお、異色の人物として知乃の大叔母=玻瑠子が登場。まるで魔女そっくりという彼女の存在がスパイスのように効いています。
また、いつもながら熊本が舞台、というのも好いなぁ。

     

26.

●「穂足(ホタル)のチカラ A MAZING HOTARU」● ★★

 
穂足のチカラ画像
  
2008年09月
新潮社

(2000円+税)

2012年01月
新潮文庫



2008/10/04



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題名にある“穂足(ホタル)”とは、海野家の娘=七星が高校生の頃に産んだ子供の名前。
一家の主であるは営業成績の全く上がらないダメ社員、その妻であり一家の主婦である月代はパチンコに入れ揚げた挙句悪徳金融からの借金を抱え込んでいる、七星は高校中退してブティックでバイト店員、高校生の太郎は不登校中、そして老いた十三郎は認知症。
自分の名前が悪い(ウンノツキヨ)と月代が嘆くくらい、どん底の海野家、それでもバラバラにならず家族としての紐帯を未だ維持しているのは、誰に対しても愛らしい4歳児の穂足、という次第。

その穂足が事故に遭い、何と意識が戻らない。穂足の身を案じて集まった家族がその身体に触れたその瞬間から、海野一家には奇跡が訪れます。そしてその奇跡は、海野一家に留まらず、次々と広がっていく・・・・。
果たして穂足とは如何なる子供なのか? そして、穂足の秘めたるチカラとは何か?

同じ熊本を舞台にした黄泉がえりに通じるストーリィ。温かさとユーモア、そして愛情に満ちたファンタジーです。
海野家の一人一人、じれったくなるくらい不器用で、損な性格。それでも彼らが穂足に寄せる愛情は、母親の七星を初め、紛れもないものです。それが嬉しい。
穂足自身も好きですけれど、他の家族のことも皆好きになってしまう、そこが本作品の魅力。
最後は思いもかけないスケールの大きな展開に加え、ハラハラドキドキの対決場面もあり、それが本作品をより一層魅力的なものにしてくれています。

私好みの、夢も愛情もユーモアもいっぱい詰まった梶尾さんらしいファンタジー。
明るく温かいファンタジー好きな方、お薦めです。

   

27.

●「メモリー・ラボへようこそ」● ★☆

 
メモリー・ラボへようこそ画像
  
2010年01月
平凡社

(1300円+税)



2010/02/25



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結婚することもなく仕事一途に生きてきた主人公。定年退職して初めて、何の思い出もなく無味乾燥な人生だったと思う。
そこにふと差し出されたのが「メモリー・ラボ」という店のチラシ。今の生活にプラスとなるような良い思い出を人工的に移植してくれるのだという。

タイムトラベル・ストーリィの多い梶尾さん、黄泉がえりもその変形だと思うのですが、今度の作品ではこう来たか、というのが第一印象。
施術を受けた後、主人公の脳裏には徐々に一人の女性の面影が浮かび上がってきます。
その思い出が濃くなっていくにつれ、主人公の生活には張り合いが生まれ、そして主人公は半ば必然的に、その女性との思い出を追って九州の熊本へ向かう、というストーリィ。
最後は予想もしなかった逆転劇。でも、それこそ梶尾さんらしい結末なのです。甘酸っぱい読後感が胸一杯に広がった感じ。
こうした味わいがあるからこそ、梶尾作品が好きなんだなァ。

「思い出が融ける前」には、“メモリー・ラボ”ものの第2ストーリィ。
ただ、前の篇に比べると意外性が少ない分、キレ味弱く、印象も薄いです。
本書は、現代社会の片隅に生まれた、ファンタジーな物語。

メモリー・ラボへようこそ/おもいでが融ける前に

   

28.

●「ボクハ・ココニ・イマス 消失刑 」● ★☆

 
ボクhガ・ココニ・イマス画像
  
2010年02月
光文社

(1700円+税)

2023年07月
光文社文庫



2010/03/10



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魔性の女とその元恋人の争いに巻き込まれた浅見克則は、思いがけず相手にひどい怪我を負わせてしまい、過失傷害の罪に問われてしまう。刑確定後に浅見が迫られたのは、懲役刑1年と、実験中の“消失刑”8ヶ月と、どちらを選ぶかということ。
ある程度の自由が認められるからと、詳しい説明もされないままに消失刑を選んだこの主人公は、後になってからその苛酷さを知ることになります。
まず、首にリングをかけられる。そのリングの効能により、主人公の姿は他の人から一切見えなくなり、声も出せなくなるというだけでなく、人に近づく、あるいは誰かと何らかのコミュニケーションを取ろうとするような行動をとると、孫悟空の頭の輪のようにリングが首を締め付け、悶え苦しむことになる。

前半は、現代社会ならではのホラー的SF。消失刑によってどんな状況に主人公が置かれるのか、という興味がミソ。
それにしても梶尾さん、よくまぁいろいろなシチュエーションを考え付くものだと、感心するばかり。
しかし、刑期が短く済むとはいえリスクが高そうな消失刑、私だったら選ぶかなぁと思っていたら、何とそのリスクが現実化してしまいます。
絶望に駆られる主人公を救ったのは、突然に聞こえた高塚菜都美と名乗る女性の声。後半は、ほのかにロマンスの香り漂うSF的サスペンス。この辺り、梶尾さんらしい展開です。

いずれにせよ、“消失刑”というアイデアが全て、というストーリィ。
でも、それとは別に最後の締めがいいなぁ。この一部分だけでも十分魅せられます。
実より香りの方がいい、ということもあるのです。

   

29.

●「壱里島奇譚」● ★★

 
壱里島綺譚画像
  
2010年09月
祥伝社

(1600円+税)

2013年09月
祥伝社文庫

2022年01月
徳間文庫


2010/10/04


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黄泉がえりを思い出させる、温かな地域ファンタジー。

仕事にも生活にも居場所が見つからない気分でいる商社マン・宮口翔一が主人公。
熊本出身だからと、突然常務から翔一に下った特命は、天草諸島のひとつ壱里島の特産品らしい“おもしろたわし”のことを至急調べて来いというもの。
すぐさま東京から壱里島に向かった翔一は、壱里島の居心地良さと共に、不思議な存在を目にします。それは、島の守り神が姿を変えたものなのか。

熊本が舞台というストーリィはもはや梶尾作品の定番ですが、本作品は熊本からさらに先の壱里島。
若い者は皆島を出て行ってしまい、住んでいるのは老人ばかりという島ですが、島民たちは皆善良で、そのうえ食べ物は廉く美味しいという具合で、翔一はすっかりこの島が好きになってしまいます。
しかし、そんな壱里島にも、ある政治問題が・・・。
何故翔一がこの島に来たのか、何者が翔一を招き寄せたのか、そしてそれは何故?

本作品に描かれているのは、島民も、人を超える存在も、皆がこの壱里島を愛しているというその優しい心根です。
そして翔一もその温かさに囲まれる内、島を愛し大事にしたいという気持ちは島民に引けをとらなくなります。
一種のユートピアだなぁ、この壱里島は。
あくせく働くのが何やらアホらしくなってきます。(苦笑)

          

30.

●「クロノスの少女たち」● ★★

 
クロノスの少女たち画像
  
2011年08月
朝日新聞出版

(940円+税)



2011/09/21



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「朝日中学生ウィークリー」に連載されていた2篇。
中学生向けにどんな物語を書けばいいかと迷いに迷った揚げ句、自分の好きな時間テーマがいい、ということになったのだそうです。

「彩芽(わたし)を救え!」
同級生2人と交差点で信号待ちをしていた
彩芽に、自転車がふらついた老人を避けようとしたトラックが衝突、彩芽は即死。
と思ったら彩芽、自分がその事故現場を第三者の視点から眺めていることに気付きます。
何とまぁ。そして、あれよあれよという展開。いかにも中学生向きという作品ですが、ストーリィの仕掛けといい、ユーモア+スリリングといい、大人が読んでも面白さ充分。
彩芽の陥った状況は一種のタイムトラベルと解説され、確かにそうした部分もありますが、+ファンタジーなんでしょうねぇ。
奇天烈な経験をした彩芽、その結果として家族・同級生がみな彩芽のことを大事に思ってくれていたことを知るという内容で、その味わいの良さ、まさに梶尾さんらしい作品です。
彩芽がどんな冒険をしたのか? それは読んでのお楽しみです。

「水紀がジャンプ!」
今度は本当にタイムマシンらしいタイムマシン(?)の話。
古生代に跳んだものの機械の故障で現代に戻れなくなった伯父を、中学生の
水紀がもう一台のクロノス・ジャンパーに乗って助けに向かう、というストーリィ。
ところがそこにトラブルが生じ、水木は紀元50年のアラブ社会へ一旦跳んでしまい、
アラジンと魔法のランプもどきの展開が始まるのですから、この篇こそまさにファンタジー?。

いずれにせよ、2篇とも女子中学生2人が時空を超えて元気に飛び回るというストーリィ。理屈抜きに楽しめます。

彩芽(わたし)を救え!/水紀がジャンプ!

     

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