伊坂幸太郎作品のページ No.5



41.クジラアタマの王様

42.逆ソクラテス

43.ペッパーズ・ゴースト

44.マイクロスパイ・アンサンブル


【作家歴】、オーデュポンの祈り、ラッシュライフ、陽気なギャングが地球を回す、重力ピエロ、アヒルと鴨のコインロッカー、チルドレン、グラスホッパー、死神の精度、魔王、砂漠

 → 伊坂幸太郎作品のページ No.1


終末のフール、陽気なギャングの日常と襲撃、フィッシュストーリー、絆のはなし、ゴールデンスランバー、モダンタイムス、あるキング、SOSの猿、オー!ファーザー、バイバイブラックバード

 → 伊坂幸太郎作品のページ No.2


マリアビートル
、3652、仙台ぐらし、PK、夜の国のクーパー、残り全部バケーション、ガソリン生活、死神の浮力、首折り男のための協奏曲、アイネクライネナハトムジーク

 → 伊坂幸太郎作品のページ No.3


キャプテンサンダーボルト、火星に住むつもりかい?、ジャイロスコープ、陽気なギャングは三つ数えろ、サブマリン、AX、ホワイトラビット、クリスマスを探偵と、フーガはユーガ、シーソーモンスター

 → 伊坂幸太郎作品のページ No.4

   


                  

41.

「クジラアタマの王様 ★★


クジラアタマの王様

2019年07月
NHK出版

(1500円+税)



2019/08/02



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久々に味わう、如何にも伊坂幸太郎さんらしい、ちょっと不可思議なところあるエンターテインメント。
ふと思い出すのは、
オーデュポンの祈り」「ゴールデンスランバーといった作品。

本作で、ある事態に対して奮闘するのは、主人公である大手菓子会社広報部勤務の会社員=
、主人公と不思議な縁に結ばれた都議会議員=池野内征爾、人気ダンスチームのメンバーである人気芸能人=小沢ヒジリ
3人の縁も縁、しかし、その3人の奮闘ぶりというのが・・・これ如何に。

その3人以外の登場人物も含め、登場人物たちの絡み合いが楽しい。そして思いも寄らぬ、夢と現実が輻輳する展開。
そしていったい、題名となっている“クジラ頭の王様”という異名をもつ珍鳥
ハシビロコウは、本ストーリィの中でどういう位置を占めているのか。
このユニークな面白さ、やはり伊坂さんならではの面白さなのですよねぇ。

本作で興味惹かれるのは、川口澄子さんによる数多い挿入画。
最初はどういう意味を持つのかまるで分らなかったのですが、どうぞ安心してください、中盤に至るまでには分かります。
そして、何度も最初から画を繰り返し眺めてみると、伊坂ストーリィが立体的に感じられ、これはあるべくして挿入された画と感じるようになります。お楽しみに。


1.マシュマロとハリネズミ/2.政治家と雷/3.炎とサイコロ/4.マイクロチップと鳥

        

42.

「逆ソクラテス ★★         柴田錬三郎賞


逆ソクラテス

2020年04月
集英社

(1400円+税)



2020/05/08



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デビュー20年目の短編集、5篇収録。

本書の特徴は、小学生たちが主役であること。
と言ってもそこは伊坂作品ですから、児童向け小説とか成長ストーリィという風にはなりません。
ワクワクするように楽しくなってくるのは、彼らが繰り広げる発想、論理です。
「敵は、先入観。」等々。

柔軟な発想ができない大人たちからすると、小憎たらしい子供たち、ということになるんだろうなぁ。
でも、私は大好きです。ケストナーではありませんけど、子供だって子供たちなりに自由に考えたって良いのですから。

「逆ソクラテス」:自分は全て分かっていると、何でも決めつけてしまう担任教師に、自分も間違えることがあると悟らせるために計画を練る同級生たち。ソクラテスは自分は何も知らないと自覚していた人物だから、その逆という訳。
 
「スロウではない」:クラスの女子ボスはイジメでも中心人物。その女子ボスに転校生が伝えようとしたことは・・・。
「非オプティマス」:題名のオプティマス、SF映画トランスフォーマーに登場するオートボットのリーダーのことかぁ。
小五クラスのボスに、目立たない生徒たちが反撃?
「アンスポーツマンライク」:小学校時代のミニバスケ仲間である5人が主役。小六生時、5年後の高校生時、さらに6年後の社会人時と、いつもチームらしさを発揮する5人が羨ましい。
 
「逆ワシントン」:正直に謝れば、人は許してくれるものだろうか? 主人公たちがその通り実践して必ずしもそうではないと学ぶところが愉快。あれは大人の発想、と私も思うな。

逆ソクラテス/スロウではない/非オプティマス/アンスポーツマンライク/逆ワシントン

           

43.

「ペッパーズ・ゴースト Pepper's Ghost ★★   


ペッパーズ・ゴースト

2021年10月
朝日新聞出版

(1700円+税)



2021/10/25



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伊坂さんらしさ満載のエンターテインメント長編。

3人による第一人称で語られる構成。
その中心人物が中学の国語教師である
壇千郷・35歳
平凡な人物ですが、代々受け継いだ特殊能力あり。人から飛沫を浴びると、その人物がこの先(未来)に見るであろう印象的な光景をフラッシュのように見えてしまう、というもの。千郷の父親曰く
“先行上映”と。
そのお陰で壇、過去に起きたテロ事件の被害者たちが企んだ計画に巻き込まれます。

一方、受け持ち生徒である布藤鞠子が執筆中の小説を壇は読ませてもらっている処。
ネコジゴハンターの2人組が、猫虐待に関わった人間たちを懲らしめていくというのがストーリィ内容。

ストーリィの中盤、壇たちのストーリィと、ネコジゴハンター2人組のストーリィがどう絡むのか。
この場面が、えっ!と思わされる面白さ。
また、そのネコジゴハンター2人、悲観的な性格の
ロシアンブルと楽観的な性格のアメショーの会話は、伊坂さんらしい楽しさです。

平凡な人物が何故こんな事件に巻き込まれるのか、という点では
本作、「ゴールデンスランバーを思い出させられる処があります。
カンフー映画好きでカンフーアクションを披露する女子がいたりと、一つ一つのパーツが面白く、その集合体である本作品自体の展開もスリリングなのにユニークな処があちこち笑える、という具合。
伊坂さんらしさを満喫できる一冊です。ファンならお薦め。

      

44.

「マイクロスパイ・アンサンブル Micro Spy Ensemble ★★   


マイクロスパイ・アンサンブル

2022年04月
幻冬舎

(1300円+税)



2022/05/20



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2015年、猪苗代湖を会場として開催された音楽とアートのイベント“オハラ☆ブレイク”。
開催にあたり、短い小説の執筆依頼が伊坂さんに寄せられたそうです。その小説を小冊子にし会場で配布するという計画。
2015年夏に始まり21年秋まで、それを単行本化したのが本書とのこと。

就活中の最中彼女から見限られ、その傷を負ったまま社会人になった青年(松嶋)。
いじめっ子から逃走中、スパイ(エージェント・ハルト)に助けられ、自分もスパイとなった元いじめられっ子の少年。
彼らのそれから6年余りを、一年毎に描いていくという構成。

ちょっと変わっている。でも、だからこそ楽しめる、という処は伊坂作品ならではの面白さ。
松嶋、少年、共に猪苗代湖が重要なポイントになっています。

でも、猪苗代湖周辺に敵の基地? スパイ同士の攻防? というのは似つかわしくないと思ったのですが、そうかぁ、そういう仕掛けですか。
思わず笑いたくなるような、ストーリィ運びでした。

相変わらず伊坂さん、読み手を楽しませてくれます。


昔話をする女/一年目/二年目/三年目/四年目/五年目/六年目/七年目/おまけ−七年目から半年後

       

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