はやみね かおる作品のページ No.4

  

31.都会のトム&ソーヤ4

32.ハワイ幽霊城の謎

33.赤い夢の迷宮(勇嶺薫名義)

34.卒業

35.恐竜がくれた夏休み

36.虹北恭助の冒険−フランス陽炎村事件−

37.モナミは世界を終わらせる?

 
【作家歴】、怪盗道化師、バイバイスクール、オタカラウォーズ、そして五人がいなくなる、亡霊は夜歩く、消える総生島、魔女の隠れ里、踊る夜光怪人、機巧館のかぞえ唄

 → はやみねかおる作品のページ No.1


ギヤマン壺の謎、徳利長屋の怪、虹北恭助の冒険、いつも心に好奇心!(怪盗クイーンからの予告状)、人形は笑わない、怪盗クイーンはサーカスがお好き、「ミステリーの館」へようこそ、虹北恭助の新冒険、虹北恭助の新・新冒険、怪盗クイーンの優雅な休暇、あやかし修学旅行

 → はやみねかおる作品のページ No.2

 
虹北恭助の冒険−高校編−、都会のトム&ソーヤ1、ぼくと未来屋の夏、僕と先輩のマジカル・ライフ、怪盗クイーンと魔窟王の対決、都会のトム&ソーヤ2、虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー、笛吹き男とサクセス塾の秘密、都会のトム&ソーヤ3、オリエント急行のパンドラの匣

 → はやみねかおる作品のページ No.3


                  

31.

●「都会のトム&ソーヤ4−四重奏−」● 

  
都会のトム&ソーヤ4画像
   
2006年04

講談社刊

(950円+税)

 

2006/07/27

このシリーズもあれよあれよという間にもう第4巻目。あっという間ですね。
シリーズの最初から疑問に思っていたことがひとつ。竜王創也“ソーヤ”なのは判るけれど、内藤内人が何故“トム”?ということ。
それが本書の冒頭で明らかにされます。「ないと」=「と」が無い、つまり「ト」が無 → 「トム」なのだそうです。
「おー!」というより、いささか呆れた方に近いです。

前半は中学校の体育授業が舞台。映画好き同級生のコンテスト応募のため、校外マラソンの最中に内人と創也が抜け出し、ゴールまでに戻ってこようという学園もの。
単純ですけれど、中学生である以上学校を舞台にする方が自然ですし、楽しい。本巻への期待度がアップしました。
ところが、残念ながら後半で失速。後半は堀越ディレクター発案の、中学生によるお化け屋敷探検というヤラセ・ドキュメンタリーに2人がバイトで強力するというストーリィ。
内人のサバイバル技術の駆使は例によってあるものの、ストーリィとしてはそれ程楽しからず。“頭脳集団”との対決にこだわらず、中学を舞台に活躍させた方が面白いのではないかと思うのですが。
なお、創也のボディガード・二階堂卓也「保育士への道」、ことに保育士拳は笑える。

OPENING/大脱走/番外編:栗井栄太は夢をみる。/深窓の令嬢の真相/おまけ:保育士への道/ENDING

        

32.

●「ハワイ幽霊城の謎−名探偵夢水清志郎事件ノート−」● 

  
ハワイ幽霊城の謎画像
   
2006年09

青い鳥文庫刊

(720円+税)

2006/12/03

 

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“名探偵夢水清志郎事件ノート”シリーズの第11作目。

今回は趣向を増して、舞台は初の海外(ハワイ)へ。それに加えて 130年前の事件と現在の事件をめぐるストーリィを同時並行して進めるという、2重の面白さ付き。
とはいえ、かなりマンネリ化してきたと言わざるを得ません。

 130年前にパリと間違えてハワイに上陸したのは、超古流剣術・天真流の名人である芸人の中村巧之介と、“名探偵”を自称するものの常識ゼロ+食い意地のみ張っているというまさに清志郎そっくりの夢水清志郎左衛門
地元民や日系移民にも呆れられる清志郎左衛門でしたが、難問を次々と解決し皆に笑顔を取り戻す活躍を見せることとなり、いつしか困った時には「なぜ、ユメミズにたのまなかったのか?」という言葉が伝えられるようになったという。
そんな訳で、ハワイの大富豪・山田コンツェルンのアロハ右京アロハタロウの山田父子に頼まれ、幽霊に攫われて失踪したという兄・右京(45年前)と父・京太郎(7年前)の事件を解決すべく、清志郎(教授)がハワイに招かれるというストーリィ。お供は勿論いつもの面々。
もはや、本シリーズの面白さは教授の推理より、教授の意地汚さと対照的な名探偵ぶりという落差を楽しむことにあるのかもしれません。
本作品の冒頭は、カッスラー“ダーク・ピット”シリーズの如しであり、真相が明かされる前からルパン”シリーズを連想していたので二番煎じという印象がつきまといますが、あくまで本書は児童向け、ですから。

       

33.

●「赤い夢の迷宮(勇嶺薫名義) 

  
赤い夢の迷宮画像
   
2007年05月
講談社刊
NOVELS
(900円+税)

2010年05月
講談社文庫化

 2007/06/20

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はやみねさん初の大人向けミステリということで、筆名も「勇嶺薫」にて刊行された作品。題名にある「赤い夢」は、はやみねさんいつもの決まり文句です。

ストーリィは、小学生の頃7人の仲間で出かけたOG(大柳爺さん)のお化け屋敷での出来事を発端として、その25年後再びそのお化け屋敷に集められた彼らの間で起きる連続殺人、というもの。
その屋敷自体、皆が睡眠薬で眠らされている間にヘリで運ばれた山中にあるもので、まさに孤島ともいうべき場所。さながら、アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」に類するストーリィです。
しかし、面白さという点では率直に言って期待外れ。
各登場人物の人物造形はおざなりと感じますし、屋敷内での連続殺人にしてもまるでファミコンゲームのように、登場人物が単なる駒の如くさっさと殺されていくだけ、という印象です。
読み応えあるミステリにするにはもっとストーリィを厚くして書き込んでいく必要があるでしょう。ノベルズのこの短さでは、筋立てがあって筋立てを追うだけで終わってしまった、とならざるを得ません。
さらに最初から伏線がはっきり書かれてしまっているので、自ずと事件の真相は知れてしまうというもの。

  

34.

●「卒 業〜開かずの教室を開けるとき〜−名探偵夢水清志郎事件ノート−」● ★☆

  
卒業画像
   
2009年03月
青い鳥文庫刊
(760円+税)

 

2009/04/19

 

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“名探偵夢水清志郎事件ノート”シリーズの第12作目。
1994年に始まったこのシリーズ、15年をかけてついに最終巻とのことです。
何故最終巻かといえば、岩崎亜衣・真衣・美衣の三姉妹+レーチ(中井麗一)らが虹北学園の卒業を迎えるから。

謝恩会実行委員長、先生たちに一番迷惑をかけたのは・・・ということから圧倒的な他薦によりレーチが任命されます。
そのレーチ、謝恩会の会場を探して、間もなく壊される予定の旧校舎を選んだのはいいが、伝説の“開かずの教室”の封印を40年ぶりに破ってしまい、生徒たちの夢(入試合格も含め)を喰うといわれる“夢喰い”を放ってしまう。さてその結果は・・・。

ミステリというよりホラー・サスペンスと言ってよい出だしですが、解き明かされてみればやはり密室ミステリ。
一応それがストーリィの主ネタにはなっていますが、実のところ亜衣たちの卒業かつ最終巻とあって、これまでの登場人物がそれほど必要もないのに次々と登場するという、まさにフィナーレ。
そしてそこははやみねさんらしく、夢を持とう、大切にしよう、というメッセージが卒業生たちに向かって温かく送られます。

さて、亜衣とレーチは同じ高校へ進学できるのか、そして珍獣=夢水清志郎は? という関心点は読んでのお楽しみです。
卒業・・・やっぱり目出度いですね。皆、おめでとう。

      

35.

●「恐竜がくれた夏休み」● ★★

  
恐竜がくれた夏休み画像
   
2009年05月
講談社刊

(1200円+税)

 

2010/07/03

 

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バイバイスクール」「オタカラウォーズから15年空いてしまいましたが、上記2作に続く“夏休み三部作”の3作目だそうです。

小学校6年の夏休み、美亜・ヒデヨシ・仁・ヒメの4人が遭遇したのは、何と太古に生存して絶滅した筈の恐竜。
始まりは、美亜、そして仁が、5日間続けて学校のプールで気持ち好さそうに泳ぐ急流の夢を見たことから。
ヒデヨシが聞いたところ、低学年の子程多くそんな夢を見ているらしい。
そして仁を先頭に4人が分け行ったのは、入ってはいけない場所と教えられている“斗祈穏(ときおぬ)の森”という大きな森。

4人が出会ったロロは、恐竜が絶滅した六千五百年前“フィーネの時”からタイムスリップしてきた恐竜。
時空石(ときいし)は何のためにロロを現代にタイムスリップさせたのか。そして、ロロは人類にどんなメッセージを伝えようと言うのか。

太古に栄えて絶滅したとはいえ、恐竜が栄えた期間は一億六千万年。人類の五百万年に比べるととんでもない長さです。
人類はこれからも繁栄を続けることができるのでしょうか。
はやみねさんらしい、楽しく、大切なメッセージを子供たちに伝える、夏休み冒険ファンタジー物語。
本書は、今年の夏休みの課題図書、だそうです。

  

36.

●「少年名探偵 虹北恭助の冒険 フランス陽炎村事件」● 

  
紅北恭助の冒険画像
   
2009年08月
講談社NOVELS
(1100円+税)

 

2009/09/19

 

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“虹北商店街”シリーズ最終巻。
ただし、ストーリィとしては、第4作目「虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー」の前、第4作に登場する日本びいきのフランス人、真衛門美絵留ミリリットル家兄妹と恭助が関わり合うことになった経緯を描くストーリィになっています。

「探し物があるんだ」と旅に出た虹北恭助、盆と正月には帰ってくると言っていたのに帰って来ず。
それならばと、大人しく待っていられない
野村響子は、虹北商店街の福引で特等賞品のフランス旅行券を見事に引き当て、恭助の滞在しているフランスの片田舎、陽炎村へと向かう。
しかしそこで響子を待っていたのは、村に伝わる恐ろしい領主
ムスティックの伝説。そのムスティックが亡霊として蘇ったのではないかと思われる事件が次々と起こります。
村人たちから疑われる恭助と響子、それなのに恭助は謎解きを嫌がっている様子。さて事態はどうなるのか・・・。

一応ミステリ作品なのですが、謎が解けてみれば、夢水清志郎的真相+ドタバタ喜劇というストーリィ。
本格的推理から足を踏み外している、と言いたくなるところですが、響子の陽炎村行き自体に実は謎があった。ストーリィの最初から最後まで全てに謎がある・・・それこそ“虹北商店街”シリーズの真骨頂というべき魅力。
もちろん、恭助&響子という幼馴染コンビも重要な魅力のひとつです。

「あとがき」で、フランス陽炎村と夢水清志郎、怪盗クイーンとの関わりが解説されています。ファンなら見逃せない部分。

               

37.

●「モナミは世界を終わらせる?」● 

  
モナミは世界を終わらせる?画像
   
2011年09月
角川書店刊

(1400円+税)

 
2011/11/14

  
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はやみねさんの作家生活20周年記念作品だそうです。そして、はやみねさんにとって初となる冒険ファンタジー。
子どもから大人まで、全ての読者に物語(ファンタジー)の喜びを伝えようという“カドカワ銀のさじシリーズ中の一作としての刊行です。

登場人物の突拍子もないキャラクターでストーリィを引っ張っていくところは、いつものはやみね作品に共通するところ。
主人公となるのは、高校一年生、極めつけのドジッ娘である
真野萌奈美(モナミ)
高校で萌奈美の周辺に起きるドタバタが、何故かそのまま世界情勢の危機とシンクロしている、という設定が本作品の鍵。
つまり、萌奈美の行動如何によっては、地球すなわち世界が終ってしまうかもしれない、という危機。
その萌奈美の命を狙う者がいるらしく、萌奈美の監視かつボディガードを名乗る、
丸井丸男という転校生も登場。
ファンタジーというかSFと言うべきか、奇抜なストーリィではあるものの、因果関係がトンと判らず付いていけない、というところがあり。
結局何が何だかよく判らないストーリィだったなぁという印象です。
主人公の萌奈美も、余りのドジッ娘ぶりは滑稽ではありますが、愛嬌有りというまでには至らず。

         

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