畠中 恵
(はたけなか・めぐみ)作品のページ No.2



11.つくもがみ貸します−「つくもがみ」シリーズNo.1−

12.しゃばけ読本−「しゃばけ」シリーズ副読本−

13.こころげそう

14.いっちばん−「しゃばけ」シリーズNo.7

15.アイスクリン強し

16.こいしり−「まんまこと」シリーズNo.2−

17.ころころろ−「しゃばけ」シリーズNo.8

18.ゆんでめて−「しゃばけ」シリーズNo.9

19.若様組まいる

20.ちょちょら


【作家歴】、しゃばけ、ぬしさまへ、百万の手、ねこのばば、アコギなのかリッパなのか、うそうそ、みぃつけた、まんまこと、ちんぷんかん

 → 畠中恵作品のページ No.1


やなりいなり、こいわすれ、ひなこまち、さくら聖・咲く、けさくしゃ、つくもがみ遊ぼうよ、ときぐすり、たぶんねこ、明治・妖モダン、すえずえ

 → 畠中恵作品のページ No.3


えどさがし 、まったなし、なりたい、うずら大名、明治・金色キタン、若様とロマン 、おおあたり、まことの華姫、ひとめぼれ 、とるとだす

 → 畠中恵作品のページ No.4


むすびつき、新・しゃばけ読本、つくもがみ笑います、かわたれどき、てんげんつう、わが殿、猫君、あしたの華姫、いちねんかん、いわいごと

 → 畠中恵作品のページ No.5


もういちど、御坊日々

 → 畠中恵作品のページ No.6

  
 → しゃばけ倶楽部〜バーチャル長崎屋〜

 


 

11.

●「つくもがみ貸します 


つくもがみ貸します画像

2007年09月
角川書店刊

(1400円+税)

2010年06月
角川文庫化



2007/10/08



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しゃばけ”“まんまことシリーズに続く新シリーズ?と思って期待して読み始めたのですが、余り楽しめなかったなぁ・・。

深川にある古道具屋兼損料屋の出雲屋お紅(こう)清次という姉弟がやっている小さな店ですが、この店が貸し出す古道具にはちょっと難がある。
器物も生まれて百年を経ると、中には付喪神(つくもがみ)といって“妖”に変化するものがある。出雲屋にある古道具には、何故かその付喪神になったものが多い。

清次とお紅が関わることになる事件、すると2人は付喪神になった古道具をその店に貸し出し(場合によっては無料で)、店に戻ってきた古道具らから相手先で見聞きしたことを聞き出す、という次第。
付喪神たちが直接2人に話しかけることはないし、2人に問われても返事することはない。ただ付喪神たち同士のお喋りを、なぜかその声が聞こえる2人が聞き取って事実を探り当てる、という設定。
これまでの畠中作品はどこかノホホンとしたところに魅力があったのですが、お紅・清次にそんな雰囲気は得られない。そして、付喪神たちが貸し出された先でただ聞き、帰ってきてただしゃべるという展開も、箍が嵌められた様で膨らみようがなく、楽しさが盛り上がっていかない。

短篇ものと思っていましたが、「蘇芳」という名をもつ香炉、そして男のことをずっとお紅が気にし、かつそのことを清次が苦々しく思っているという背景が常にあり、その点では長篇と言った方が良いのかもしれません。
姉弟といいつつ、血の繋がりはないというお紅、清次の2人の関係も重要なストーリィ要素になっていますから。ただし、それも面白さを盛り上げるまでには至らず。

序/利休鼠/裏葉柳/秘色/似せ紫/蘇芳

   

12.

●「しゃばけ読本(柴田ゆう・共著、バーチャル長崎屋奉公人編)● ★★


しゃばけ読本画像

2007年11月
新潮社刊

(1200円+税)

2010年12月
新潮文庫化



2007/12/05



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“しゃばけ”シリーズのファンにとっては嬉しい副読本にして、ガイドブック。
これ一冊を傍らに読めば、シリーズ各本はさらに楽しめることでしょう。

本書中とくに楽しく読めるのは、次のトーク部分。
北森鴻さんとの対談、長崎屋女中のおこぐによる新潮社内“チーム長崎屋”各メンバーへのインタビュー(泥試合気味)、そして畠中恵&柴田ゆう&あゆぞう3人での母校=名古屋造形芸術大学でのトークセッション。
ガイドブックであるが故に柴田さんの絵がふんだんに楽しめるところも本書の楽しさですが、これまで絵と名前ばかりの柴田さんの実物がようやく「トークセッション」に登場するところが嬉しい。
柴田さんデビューまでの苦労話が聞けるのも、このトークセッションならでは。しかも、そこで畠中さんと柴田さんの間に思いがけない縁があったことが判明!したとのこと。奇縁というのはあるもんですねぇ。それこそ妖の仕業か。

しゃばけロケ現場潜入ルポ!/対談:手越祐也×畠中恵
/物語紹介/登場人物解説/畠中さんにロングインタビュー/根付制作現場を見に行こう!/対談:北森鴻×畠中恵/リアルおこぐの奉公日記/蔵出しあやかしギャラリー/バーチャル長崎屋で働く奉公人インタビュー/「あじゃれ」よみうり/母校で夢のトークセッション/しゃばけ登場人物たちに、おこぐが直撃インタビュー
/特別付録:長崎屋間取り図・時代用語解説・たのしいぬりえ

※新潮社内の長崎屋チームの面々は、
小説新潮:久助→あゆぞう、単行本:おゆか→おこぐ、文庫:おゆみ→博吉、装丁:おあい、営業:和造、HP管理:裕造

 
【柴田ゆう−略歴】
1973年愛知県生、愛知県立芸術大学デザイン科卒。当初グラフィックデザイナーを志したが採用されず、パレットクラブ・スクールに通いながらイラストレーターを目指す。米村圭伍「風流冷飯伝]にてデビュー。主な仕事は時代小説の装画や挿絵。畠中恵「しゃばけ」シリーズ、米村圭伍「風見藩」シリーズ、酒見賢一「泣き虫弱虫諸葛孔明・第2部」等にて装画・挿絵を担当。

  

13.

●「こころげそう−男女九人 お江戸の恋ものがたり− ★☆


こころげそう画像

2008年01月
光文社刊

(1500円+税)

2010年08月
光文社文庫化



2008/02/07



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本書題名、てっきり「転げる」をもじったものと思っていたのですが、「心化粧」と書いて「口には言わないが、内心恋こがれること」という意味だそうです。

幼馴染で仲の好かった9人(男4人+女5人)ですが、その内の2人、大和屋の千之助於ふじの兄妹が川にはまって死んだことを冒頭で告げられます。
主人公で下っ引の宇多は、於ふじに自分の想いを打ち明けられないままとなった悔いを未だに抱えています。
ところが、今や店を畳んで長屋の大家となっている2人の父親=由紀兵衛を訪ねると、何とそこに於ふじの姿が! 於ふじは幽霊となって父親の元を足繁く通っていたらしい。
幼い頃は仲の良かった9人といっても、年頃になると各々の想いが微妙にすれ違い、どうもうまくいきません。
そんな9人の恋模様に事件が絡み、今や幽霊となった於ふじや妹のような存在のお絹らの助力を得ながら、宇多が幼友達の身の上に振りかかった事件を解決しようと奮闘するストーリィ。

男女恋物語を江戸の市井に持ち込み、畠中さん的ファンタジー風味を加えた、連作短篇・時代小説。
なんとなく楽しいのですが、もう一つ切れ味を欠いているのは、主人公である宇多がもうひとつピリッとしないから。
何たって、下っ引のくせして幼友達同士の恋模様、その機微に一番疎いのですから。
その頼りない宇多を両脇で支えるのが、片や幽霊ながらおきゃんな性格そのままの於ふじと、宇多の妹も同然というお転婆で男勝りのお絹という娘2人。
軽く楽しめる、大江戸恋模様+ファンタジー+謎解きもの。

※なお、6篇の内「八卦置き」に注目したい。
恋する男との別れを敢えて選んだ女の切なさを描いた篇で、畠中さんが新境地に一歩足を踏み込れたことを示す作品と思います。

恋はしがち/乞目(こいめ)/八卦置き/力味/こわる/幼なじみ

   

14.

●「いっちばん ★☆


いっちばん画像

2008年07月
新潮社刊

(1400円+税)

2010年12月
新潮文庫化



2008/08/25



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大人気のしゃばけ」シリーズ、No.7。
登場人物+妖、ストーリィ内容、毎度お馴染みのものですから、今更紹介するまでもないこと。
ただ、前書ちんぷんかんが“別れ”という色彩が多かったため、畠中さん曰く、それに替わって本書では“前向きな話”が多くなったとのことです。

いつもながら安心して楽しく読めるのがこのシリーズの魅力。
冒頭の2篇は主ストーリィが人間界のことなので、余り面白いと思いませんでしたが、大天狗が一太郎を誘拐したところに狛犬、神使の狐たちが加わって大騒動となる「天狗の使い魔」は、妖たちが大勢登場して「しゃばけ」らしい楽しさを盛り上げてくれ、楽しくなってきます。
後の2篇は、一太郎の幼馴染である三春屋の栄吉紅白粉問屋一色屋のお雛が、苦難を乗り込えて一歩成長する姿を見せてくれる篇。
若だんな=一太郎も含め、彼らの成長していく姿を見れるところが、嬉しくもあり、少し寂しくもあり。

「いっちばん」:若だんなを元気づけるには何がいいかと、妖たちが3手に分かれて競争+日限の親分の探索に協力。
「いっぷく」:何者かが妖たちを探しているという噂が広まる。その正体は? 前書で初登場した人物が再登場します。
「天狗の使い魔」:一太郎が誘拐されて大騒動。
「餡子は甘いか」:修業に出た栄吉の苦闘話。
「ひなのちよがみ」:“塗り壁妖怪の孫”と悪口言われていたお雛が、素顔で可愛くなって登場。そのために騒動が。

いっちばん/いっぷく/天狗の使い魔/餡子は甘いか/ひなのちよがみ

    

15.

●「アイスクリン強し ★☆


アイスクリン強し画像

2008年10月
講談社刊

(1500円+税)

2011年12月
講談社文庫化



2008/11/15



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文明開化なったばかりの明治の世を舞台にした、若者たちの青春グラフティ+事件or謎解き譚という趣向の連作短篇集。
しゃばけ”シリーズに続く新シリーズに育って欲しいと、期待するところ大です。

主人公は、通詞だった父親が死んだ後築地の居留地で外国人の下働きや世話になりながら育った青年、通称「ミナ」こと皆川真次郎。明治23年の今、習い覚えた菓子作りの技能を活かして西洋菓子店を成功させようと、築地近くに“風琴屋”を開いたばかりのところ。
その真次郎の周りに集うのは、親友の長瀬を初めとして明治政府に巡査として雇われた元旗本の若様たち(自称「若様組」)、こちらも同じく幼馴染である明治の女学生=小泉沙羅

街中等で真次郎が巻き込まれたり、長瀬が風琴屋に持ち込んできたりした事件を、真次郎や若様組(時に沙羅も加わり)ら若者達が奔走して解決していく様子が、新時代を颯爽と駆け抜けんとする若者らしさに溢れていて楽しい。
同じ時代を描きながら松井今朝子「銀座開化事件帖は、困惑と悲哀という彩りが強かったのですが、本書では主人公が若者である故に時代を前向きに受け留めているところが清々しい。
なお、沙羅の父親であり成金の貿易商=小泉琢麿がそんな時代の中に危うい兆しを感じ取っている点が見逃せませんが、それは我々が歴史を既に知っているからこそ言えることでしょう。

なお、各章での事件解決に、真次郎の作る西洋菓子がそれなりに寄与しているという点が本ストーリィの楽しい味わい。
そして、西洋料理に西洋菓子が欠かせないように、青春物語にはヒロインの存在が欠かせません。本物語における小泉沙羅、主人公に優るとも劣らない魅力ある存在です。

チヨコレイト甘し/シユウクリーム危うし/アイスクリン強し/ゼリケーキ儚し/ワッフルス熱し

  

16.

●「こいしり」● ★☆


こいしり画像

2009年03月
文芸春秋刊

(1400円+税)

2011年11月
文春文庫化


2009/04/12


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町名主のお気楽な息子=麻之助が、幼馴染の清十郎吉五郎らと共に町内の厄介毎ごと等々を解決するために活躍する、まんまことシリーズ第2弾。

まずは、麻之助が武家娘の野崎寿ずとついに婚礼を挙げるところから始まります。
“しゃばけ”シリーズとも共通する、何処かのほほんとした楽しさを覚える雰囲気が、畠中作品の魅力。
この第2巻でも、お気楽、気合の入った遊び人と揶揄されながらも、案外したたかに、遊びで鍛えた人脈、機転、機知を駆使して活躍する麻之助の颯爽とユーモラスな活躍が描かれます。
本書6篇中、麻之助が最も鮮やかなお手並みを見せるのは、「清十郎の問い」
一方、「みけとらふに」は、三匹の仔猫が可愛らしい。

ただ残念だったところは、麻之助と良いペアになって活躍するであろうと期待していた寿ずの存在感が、余りないこと。
何とか存在感を示すのは、冒頭の「こいしり」と最後の「せなかあわせ」において寿ずが麻之助に向かって投げかけるドキッとする言葉くらいで、帳尻合わせという気がする。

次の巻は、寿ずの新妻らしい活躍を期待したいところです。

こいしり/みけとらふに/百物語の後/清十郎の問い/今日の先/せなかあわせ

 

17.

●「ころころろ」● 


ころころろ画像

2009年07月
新潮社刊

(1400円+税)

2011年12月
新潮文庫化



2009/08/25



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大人気のしゃばけ」シリーズ、No.8。
今回は、若旦那の一太郎が何と眼の光を失う(つまり失明)という大変な危機に襲われます。その原因は何か? 2人の兄やが若旦那の眼の光を取り戻そうと必死で駆けずり回ります。
毎度の連作短篇集ですが、長篇要素の強い巻。

ただ逆に、眼が見えないということで若旦那の行動が制限され、また目の神様である“生目神(いきめがみ)”を追うストーリィとなったことから、いつものようなファンタジーな広がりが少なくなって、面白さが減じた印象。
その一方、仁吉(白沢)、佐助(犬神)を主人公とする2篇があり、若旦那が主人公となる篇とはまた違った面白さが味わえます。

「はじめての」おたつ、眼の病を治すため生目社再建に必要な七宝を集めたものに、娘の沙衣を嫁にやると、とんでもないことを言い出す。
「ほねむすびと」:長崎屋に大難題。さる藩から頼まれて持船で運んだ献上品が駕籠の中から紛失。さてその謎は?
「ころころろ」:生目神を追う仁吉、その途中出会った多くの妖から頼られ、縋られ、頭を悩ませることしきり。
「けじあり」:あの佐助に女房が? 流石の佐助も困惑する不可思議な事態の正体は?
「物語のつづき」:罠をつかってついに生目神を生け捕る。その生目神が若旦那に挑んだ勝負は、昔話のつづきを当てること。

はじめての/ほねぬすびと/ころころろ/けじあり/物語のつづき

  

18.

●「ゆんでめて」● 


ゆんでめて画像

2010年07月
新潮社刊

(1400円+税)

2012年12月
新潮文庫化



2010/08/13



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しゃばけ」シリーズ、No.9。

本巻の特色は、各章毎のストーリィが4年前、3年前、2年前、1年前と時間を遡っていくこと。
何故そうなるのかという理由は、冒頭で若だんなが左と右、どちらの道に進んだか、にかかっていたらしい。
 ※弓手(ゆんで=左)+馬手(めて=右)=本書題名。

その時間を遡って展開されるストーリィ、それが面白いかというと、余り面白くなかった、というのが私の感想。
早や9冊目と長く続いている本シリーズ、その一部分で時間を遡るストーリィ構成を持ち込むとどうなるか? その部分だけがシリーズ全体を通したストーリィの流れから浮き上がってしまう、という印象です。
畠中さん、遊びのつもりで仕掛けたのでしょうけれど、うまくいったとはとても思えません。

5篇の中で面白く、また後に繋がるのかどうか気になったのは、「こいやこい」
若だんなと親しい友人となった唐物問屋・小乃屋の若旦那=七之助。上方から許婚者である千里が江戸にやってくるのですが、自分を見分けることが夫婦となる条件。困った七之助、若だんなに相談を持ちかけるのですが、江戸に着いた千里は5人?(もちろん本物は一人)。若だんなも一緒にその騒動に巻き込まれます。

もう1篇は「雨の日の客」
自分がどこの誰だか判らないものの、男相手の喧嘩は滅法強い、そんなおねという女性との出会いを描いた篇。

ゆんでめて/こいやこい/花の下にて合戦したる/雨の日の客/始まりの日

               

19.

●「若様組まいる」● ★★


若様組まいる画像

2010年11月
講談社刊
(1500円+税)

2013年07月
講談社文庫化



2010/11/27



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アイスクリン強しの第2弾。
当然「アイスクリン」の続編ストーリィと思ったら、それより前に遡るお話。
前作品にて元旗本の若様=現明治政府に仕える巡査として登場した
長瀬健吾たちが、いつまでもフリーターではいられない、定職に就かなければと決意したのが、巡査採用試験への応募。若様組8人がそろって筆記試験に合格し、2ヵ月間にわたる巡査教習所入りします。そこでの苦労、騒動を描くストーリィ。

旗本の元若様たちといっても、明治維新後20年も経ち、それなりに苦労も重ね、学問・武芸もそれなりに身をつけている上に、身の回りのことも一人でてきぱきとできる、というのが元若様たちの人物設定。
ところが思いがけず苦労したのは、教習所に入所した同期に、若様たち(
若様組)を元朝敵側と敵視する薩摩出身者(薩摩組)をはじめ、徳川宗家について静岡へ移った旧幕臣の子弟(静岡組)、平民出身者(平民組)らもいて、最初から一触即発の気配をはらんでいること。さらに教習所No.2の幹事から、やたら若様組ばかりが厳しく当たられるという具合。
そこに、世間を騒がすピストル強盗事件が絡みます
さて若様組の面々、無事に教習所を卒業して巡査になれることやら。

明治初頭、新しい時代に踏み込んでいこうとする若様たちの青春グラフティ−学校篇。
明治初期というその時代設定が、現代から見るとむしろ清新に感じられます。最初はいがみ合ってもそこは同じ釜の飯を食う同世代の若者たち。そのいがみ合いもむしろ楽しい、という風。
また、互いをよく知り、互いの長所を認め合っている上に成り立つ若様組のチームワークの良さ、長瀬や
福田、園山たちの個性が本書の魅力です。
なお、
皆川真次郎、小泉沙羅の出番が少ないのはちと残念。

         

20.

●「ちょちょら」● ★★


ちょちょら画像

2011年03月
新潮社刊
(1600円+税)

2013年09月
新潮文庫化



2011/04/16



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読み始めたその瞬間から楽しい。それも、ホッとする楽しさ。
何だろう、この安心感は。
主人公の新之介が自分と等身大の人物、と感じられるかもしれませんし、そこに漂う、畠中さんらしい温かでユーモラスな雰囲気の所為かもしれません。

間野新之介、小藩=多々良木藩の新任留守居役。
部屋住みの次男で誰からも期待などかけられなかった人間だったのに、留守居役を務めていた兄が突然自害したために、訳の分からぬままいきなり留守居役という大任を仰せつかります。
この“
留守居役”という職務、いわば幕府と折衝する外交官にして、情報収集係という難しい役柄。
何も知らず、指導してくれる人物もいず、見も知らぬ大海にたった一人で恐る恐る乗り出した、というのが新之介の状況。
そんな新之介をさっそく手厳しく迎えたのは、同じ留守居役組合に属する、先輩格の他藩留守居役の面々。
さて新之介、どうする?

いわば新入社員の新之介、先輩たちの手荒な指導を受けながら、留守居役グループの一員として様々な難局に立ち向かう、というストーリィ。畠中さん初の武家もの時代小説です。
武家ものといってもそこは畠中さんらしく、
しゃばけ」「まんまことと同様、温かでユーモラスな雰囲気は変わるところありません。
新之介という主人公も、間が抜けていると先輩たちからは酷評されますが、どこか呑気で、飄々、とぼけているようで素直な正直者、という愛すべきキャラクターです。

※「ちょちょら」とは、弁別の立つお調子者、という意味だそうです。
なお、留守居役について詳しく知りたいと思ったら、
山本博文「江戸お留守居役の日記がお薦め。

     

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畠中恵作品のページ No.4    畠中恵作品のページ No.5

畠中恵作品のページ No.6

 


  

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