青羽 悠
(あおば・ゆう)作品のページ


2000年愛知県生。16年「星に願いを、そして手を。」にて第29回小説すばる新人賞を史上最年少で受賞し作家デビュー。

  


       

「凪に溺れる ★☆


凪に溺れる

2020年07月
PHP研究所

(1600円+税)



2020/10/03



amazon.co.jp

一人の音楽家、その生み出した音楽「th noise of tide」、その曲「凪に溺れる」と出会い、魅せられて、自らの人生に向かって踏み出した人物、諦めという決断をした人物等々を、連作風に綴った青春ストーリィ。

ブロローグの主人公は河崎遥、派遣社員の受付嬢。You Tubeで聴いた『the noise of tide 「凪に溺れる」』の曲が忘れられなくなる・・・。
第1章大宮夏佳、中三。父親の仕事の関係で転校を繰り返す夏佳がその学校で出会ったのは、夏佳と同様に同級生たちから浮いている霧野十太。お互いの存在がそれぞれの力になる。
第2章は、生きる道を見失っている小崎聖来、高三。十太との出会いが、その冷たさが聖来を救ってくれる。
第3章は、大学生時代に十太とバンドを立ち上げた石田正博。しかし、いつか夢を捨て現実に向かい合わなければならない時がやってくる・・・。
第4章、音楽ディレクターの北沢。the noise of tide の曲、霧野十太の名前を聞いて思い出したものは・・・。
第5章は、十太の音楽との出会いがフリーライターの道に踏み出すきっかけとなった相場光莉。ある人物との出会いによって、十太と足跡を追いかけ始めます。
そしてエピローグは、十太のことを忘れられない人物たちの出会い。そこから、それぞれの道をまた歩み始めます。

一人の人物との出会いが、それぞれの主人公の青春、人生を変えるというストーリィ構成は、
遠田潤子「雨の中の涙のようにと似ています。
比べてしまう所為か、本作について不足を感じてしまうのは、肝心の霧野十太を描き出す部分が少なかったこと。
また、それぞれの青春&人生が描かれているものの、描かれたことを知るにとどまり、その奥にあるものを感じ取れなかった点。

そうした結果なのでしょうか、霧野十太と同士であった大宮夏佳の姿は、その高校時代が瑞々しかったのと対照的に、最後の登場時はすっかり枯れてしまったという印象を受け、ちょっと残念。


プロローグ.眠れぬ夜−2019年 遥/1.さよならワンダー−2006年 夏佳/2.白ゆき−2009年 聖来/3.うまれる−2015年 正博/4.blind mind−2018年 北沢/5.破顔−2019年 光莉/エピローグ.聖来

   


  

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