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1.D列車でいこう 2.インバウンド 3.終電の神様 |
●「D列車でいこう」● ★★ |
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2010年07月
2012/08/29
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当サイト内で“村(町)おこし”作品をとりまとめているのですが、本ストーリィは村おこしならぬ、“赤字ローカル鉄道おこし”というところでしょうか。 頼まれて村おこし、町おこしというのは最近よくある話なのですが、先方から依頼された訳でもないのに東京から広島県の片田舎まで押し掛けて再建に奮闘する、コンサル契約も無く無償奉仕に近い、というところは相当に風変わり。 |
●「インバウンド」● ★★ |
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2012/08/17
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沖縄を舞台にしたお仕事小説。さてそのお仕事とは、コールセンター業務。題名の「インバウンド」とは、電話を受ける仕事のことだそうです。 コールセンターの会社が沖縄に多いことはよく知られた事実ではないかと思います。 あっさりとしたストーリィ。 |
3. | |
「終電の神様」 ★☆ |
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終電間近、満員状態の通勤電車が人身事故によって一時停止。 そこで足止めを食った乗客たちを主人公、事故がきっかけになってふと起きた出来事を描いた短篇集。 人身事故が起きてしまうと少なくとも40分位は電車が止まってしまいますから、それは迷惑なもの。ましてや終電間近の電車ともなれば苛々すること、焦ること多かりしと思うのですが、本短篇集では余りそうした印象は受けません。 むしろ、それがきっかけとなり、各篇の主人公たちにとっては良い方向へ転じる、という風です。 7篇の中で特に私が好きなのは、冒頭の「化粧ポーチ」と最後の「ホームドア」。共にちょっと驚かされる展開に温かさとユーモアが感じられて微笑ましい。 一方、登場人物の個性が際立つ「高架下のタツ子」と「赤い絵の具」の篇にも惹かれます。 困ったなぁという出来事も、ちょっと見方を切り替えてみれば、むしろ良かったなぁと思うに至ることがあるかもしれません。 そんな気持ちで読んでみるのが相応しい短篇集。 1.化粧ポーチ/2.ブレークポイント/3.スポーツばか/4.閉じない鋏/5.高架下のタツ子/6.赤い絵の具/7.ホームドア |