石持浅海
作品のページ No.3



21.崖の上で踊る

22.不老虫

23.Rのつく月には気をつけよう−賢者のグラス

24.殺し屋、続けてます。

25.新しい世界で−座間味くんの推理No.4−

【作家歴】、月の扉、扉は閉ざされたまま、まっすぐ進め、心臓と左手、Rのつく月には気をつけよう、温かな手、君の望む死に方、ブック・ジャングル、彼女が追ってくる、玩具店の英雄、

石持浅海作品のページ No.1


フライ・バイ・ワイヤ、届け物はまだ手の中に、わたしたちが少女と呼ばれていた頃、相互確証破壊、凪の司祭、罪びとよやすらかに眠れ パレードの明暗、殺し屋やってます、鎮憎師、賛美せよと成功は言った

 → 石持浅海作品のページ No.2

  


        

21.
「崖の上で踊る Dancing on a cliff ★☆


崖の上で踊る

2018年10月
PHP研究所

(1600円+税)



2018/11/11



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新興ベンチャー企業<フウジンブレード>が販売した家庭内用効率風速発電機が及ぼした偏頭痛等の障害により、将来の夢を閉ざされる、大切な恋人・家族を喪う等々の不幸を味わった被害者たちが本ストーリィの主役。

このまま許しておく訳にはいかない、企業幹部3人に対して復讐を集まったのが10人の男女。
まずは会社の保養所に呼び寄せて開発部長だった男を殺害し、明後日の最終実行日に向けて準備を整えますが、あろうことか仲間の一人が殺害されてしまう。
疑心暗鬼に駆られた残る9人の内から、またしても犠牲者が。
犯人は、残された仲間の内の誰かなのか、そしてその狙いは何なのか・・・。

警察に通報する訳にいかないギリギリの状況、緊縮した時間の中で、連続して起きる犯行とそれに対する推理が、残された仲間うち内で繰り広げられます。

そもそも復讐なんて崖の上で踊っているようなもの。いつ足を踏み外して転落するかもしれない。でも止めない、踊り切るまで、というのが本書表題の意味らしい。

一つのミステリであることに相違ありませんが、犯行方法より、誰が? どんな狙いで? というのが興味どころ。
その答えは最後に明らかになりますが、思わず絶句。
流石は
凪の司祭のような作品を書いた石持さんらしい、容赦ないえぐさだと、仰け反るような思いです。
でも・・・私は好きだな。
何しろこれから復讐計画を実行しようというストーリィなのですから。


序章.崖の上で踊る/1.作戦開始/2.フウジンブレード/3.キーパーソンの死/4.犯行の目的/5.連続殺人/6.証拠探し/7.対立/8.真の顔/9.裏切り者/10.敵と味方/終章.崖の上で踊る

  

22.

「不老虫 Eternal Youth Worm ★☆


不老虫

2019年04月
光文社

(1700円+税)



2020/08/30



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農林水産省で防疫部署に所属する酒井恭平は、上司から突然“サトゥルヌス・リーチ”という未知の寄生虫が日本に入ってくるかもしれないと聞かされます。
ついては、米国からその専門家である人物が招聘されたので、その案内役兼通訳を務めるよう命じられます。
翌日成田空港に出迎えに行った恭平の前に現れたその専門家=
ジャカランダ・マクアダムスとは、何と若いアジア系美人、しかも学者ではなくスタンフォード大学の学生だという。
フィッシングキャット「ビオ」を連れたジャカランダは、専門家というより<ハンター>だという。

一方、女性の子宮に寄生するというそのサトゥルヌス・リーチを日本に持ち込もうとしているのは、磯子商事営業部第十三営業課の
前川課長と部下の葉山哲久と、城東製薬東京研究所の研究員である中里貴志
サトゥルヌス・リーチ
=不老虫は、その体内に「不老石」という脳を活性化する物質を作り、それは認知症の治療に役立つ、というのが中里の目的。

認知症治療、その事業化のためなら未知の寄生虫を日本に持ち込む危険を考えない商社マンと製薬会社の研究者。それに対し、日本で繁殖させたらとんでもないことになると、絶対阻止に懸命となるジャカランダと恭平の二人。
その両者がせめぎ合う、時間を争う闘いを描く長編ストーリィ。

感染症とか寄生虫の怖さは、新型コロナで嫌という程思い知らされましたから、この寄生虫の不気味さは本当に怖い。

本作では、ジャカランダという若い美女のキャラクターが飛び抜けています。また、最後の一文、何と受け留めればいいのか?


序章/1.木曜日/2.金曜日/3.土曜日/4.日曜日/5.月曜日/終章

     

23.

「Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス ★★


Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス

2019年08月
祥伝社

(1400円+税)



2019/09/29



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酒と食事と語らいの中での連作日常ミステリ。
2007年刊行
Rのつく月にはきをつけようの続編。

大学時代からの飲み仲間だった
長江高明、熊井渚、湯浅夏美という3人。
前作の最後で高明と渚、夏美と
冬木健太の結婚が決まったのですが、本作はそれから〇年後。
結婚後、米国の大学に職を得ていた長江が一家で帰国したことから、飲み会が復活。
今度はそれぞれの子供たちも連れたうえで、お互いの家で代わる代わるに飲み会という次第。
なお、長江家の娘は
咲、小2。冬木家の息子は大、小4。親たちが飲み語らう傍らで、子供もたちもお互いに仲良くなります。

会話の中でふと誰かが身近で起きた出来事を思い出して語ると、最後にさらっと長江が、思わぬ一言を洩らす。
すると渚が、気に入らない時に使う呼び名で
「揚子江、どういうこと?」と投げかけ、それを受けて長江が真相を語り出す、というパターン。語り手は前作どおり夏美です。

読み手も4人の語らいに入り込んだような楽しさ。そして、軽く楽しめる日常ミステリ。
こんな連作もの、時に楽しみたいですよね。
なお、前作「Rのつく月にはきをつけよう」は、私が初めて読んだ石持浅海作品。その意味で、感慨深いものがあります。

最後の篇は、意表を突かれて驚かされますが、でもそれが楽しく、幸せな気分にしてくれる点で、これもまた前作通り。

ふたつ目の山/一日ずれる/いったん別れて、またくっつく/いつの間にかできている/適度という言葉の意味を知らない/タコが入っていないたこ焼き/一石二鳥

      

24.

「殺し屋、続けてます。 ★★


殺し屋、続けてます。

2019年10月
文芸春秋

(1400円+税)

2021年11月
文春文庫



2019/11/20



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請け負った殺人仕事の過程で気になった日常的な謎を殺し屋が解き明かす、という趣向の連作短編もの殺し屋、やってます。に続くシリーズ第2弾。

殺害相手に関する謎、依頼人に関する謎、いくら殺し屋とはいえ気になるものは気になる、だから調べ、推理もします。
その結果、殺人依頼が非道、あるいは不当ということも明らかになりますが、それでも主人公である殺し屋=
富澤充がそれを理由に仕事を断ったり、取り止めたりすることはない。
何故ってそれは、殺人請負というビジネスなのですから。

各殺人依頼はそんな事情かァ、でも殺しやっちゃうの? と毎度思わせられるのですが、そんなブラックさが石持さんならではの独特な面白さ。
ですから、本作を楽しめるかどうかは、読み手の好み次第と思うのです。あくまでフィクションですから、私としては好きですけど。

なお、本作では、富澤充の女性版とでも言うべき、通信販売事業を営む娘持ち中年女性の殺し屋=
鴻池知栄が登場します。
富澤と鴻池が本作から以降、どう絡んでいくのか楽しみです。

「まちぼうけ」:標的は美人の女子大生。彼女は何故、3日間にわたり駅前で3時間の立ち続けていたのか。
「わがままな依頼人」:殺害場所指定というオプション、断ると今度は殺害方法指定というオプション。依頼人は何故オプションに固執するのか。
「双子は入れ替わる」:富澤充の恋人であるマンガ家=岩井雪奈がファミレスで目にした謎。何故?
「銀の指輪」:鴻池知栄が請け負った殺人の背景は?
「死者を殺せ」:次々と殺害相手が指定される。いったい依頼人の目的は?
「猪狩り」:殺人依頼者の側を描く篇。
「靴と手袋」:標的の女性2人、何故ビルに入る前に、パンプスからサンダルに履き替え、または手袋を嵌めるのか。

まちぼうけ/わがままな依頼人/双子は入れ替わる/銀の指輪/死者を殺せ/猪狩り/靴と手袋

     

25.

「新しい世界で−座間味くんの推理− ★★   
 In the New World 〜The Reasoning of Mr.Zamami〜


新しい世界で

2021年12月
光文社

(1600円+税)



2022/01/14



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“座間味くん”シリーズ5作目にして、“座間味くんの推理”としてはパレードの明暗に続く第4弾。

この“推理”シリーズ、大好きです。
3人の飲み会におけるミステリですが、対象となる出来事は既に起きてしまったことですし、語られたその出来事の真相はこうだったのではないかと座間味くんが指摘し、それに他の2人は唖然とするというパターンですから、単純にミステリだけを楽しめます。

さて大迫警視長と座間味くんの飲み会に加わる、今回の3人目(本巻主人公)は、何と第1作
月の扉でまだ赤ん坊だった玉城聖子。その聖子が20歳となった誕生日祝いに誘われたのがきっかけとなります。
各篇でその聖子が成長していく姿を知ることができるのも、嬉しいこと。

「新しい世界で」:浮気されて離婚した横谷玲奈、すんなり離婚したその理由は・・・。
「救出」:酒を飲んでは妻と娘に暴力を振るっていた父親から逃れるため、聖子は沖縄の中高一貫校に進学し寮生活を送った。母親を置き去りにしたことに罪悪感を抱いていたが、聖子の努力は母親を救ったのだと座間味くんは言う。その理由は・・・。
「雨中の守り神」:息子の起業を応援した父親の目論見は実ったのか・・・。
「猫と小鳥」:野良猫が縁となって結婚した中年男女。その女性が不幸にならないことを祈るという座間味くんの言葉の理由は・・・。
「場違いな客」:スーツ姿でキャンプしていたという女性の事情は・・・。
「安住の地」:母校の教師となって頑張る女性教師に危うさを感じた座間味くんの懸念は・・・。
 
「お揃いのカップ」:まんまとしてやられました、作者に。
まぁ読者に対する引っ掛けなのですが、終わりよければすべてよし、喜べればすべてよし、というところでしょう。
最後の最後まで、楽しめます。(笑)

新しい世界で/救出/雨中の守り神/猫と小鳥/場違いな客/安住の地/お揃いのカップ

       

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