ピエール・ルメートル作品のページ


Pierre Lemaitre  1951年フランス・パリ生。教職を経て2006年“カミーユ・ヴェルーヴェン警部”シリーズ第一作で作家デビュー、同作でコニャック・ミステリ大賞ほか4つのミステリ賞を受賞。「その女アレックス」は同シリーズ第2作で、イギリス推理作家協会インターナショナル・ダガー賞、13年初めて発表した文学作品“Au revoir la-haut”にてフランスを代表する文学賞であるゴンクール賞を受賞。

 


                

「その女アレックス」 ★★
 
原題:"ALEX"    訳:橘明美


その女アレックス画像

2011年発表

2014年09月
文春文庫

(860円+税)

 


2015/01/04

 


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私は余り読まないジャンルの作品なのですが、かなり評判が高いらしいので、気分転換にという意味もあって休日を利用して一気読みました。

非常勤の看護師で30歳とまだ若く、しかもかなりの美人という
アレックス、帰宅途中突然男に襲われて気を失います。気が付くとそこは廃工場のような場所。そして男は彼女に全裸になるよう命令し、背も立たぬ小さな檻の中に彼女を監禁します。
「淫売がくたばるところをみてやる」というのが、拉致犯人がアレックスに突きつけた言葉。
何故アレックスはそんな目に遭わされるに至ったのか。その前にアレックスは生きて脱出できるのか。そして警察の捜査はアレックスの限界に間に合うのか、というスリリングなストーリィ。

本ストーリィは三部構成。
第一部は上記のような内容なのですが、第二部、第三部はストーリィが驚く程一転し、まるで連作風の3作品を読むかのようです。
第一部がアレックスの危機なら、第二部はその前後のアレックスの行動、そして第三部ではアレックスがとった行動の理由が明らかにされます。
なお、本
作品はカミーユ・ヴェルーヴェン警部”シリーズ第2作であり、アレックスを主人公とする部分とカミーユを主人公とする部分を交互に絡み合わせての展開。

意外性と驚愕の真実というのが、本ストーリィに対する平均的な評価だと思いますが、事前に幾つか書評を読んでいた所為か、ストーリィ展開にそれ程の驚きは覚えず。
むしろ、私にとっては
ダーク・ピットばりの第一部が一番面白く、第二部、第三部と面白さは次第に減じていった、という感想です。

なお、本書に似たストーリィとして思い出されたのは、
コーネル・ウールリッチ「黒衣の花嫁
同作が詩情に富んだ名作であったのに対し、本作品においてはその残虐さから
やりきれない思いが残ります。

第一部/第二部/第三部

          


      

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