新井英一/物語(ワーナー・パイオニア K-24)

ギター1本で 聞いてくれる人がいれば、全国津々浦々で今も歌い続けている。
音楽の原点は 本人が何を伝えたたいかであり また生き様であり テクニックはそれを補うものである。
彼の音楽は シンプルな演奏の中からも聴衆を魅了する力を持っている。
数年前、レコード大賞の特別賞(?)を受賞した。在日朝鮮人である彼は常にそうした自分の存在と自問自答しながら生きているような姿がある。
「物語」は デビュー曲であるが、今の昔も詞の世界は普遍的な奥深さで歌われており、その重さがズッシリと伝わってくる。同時発売、「馬耳東風」というアルバムの「南人情博多節」という曲の絶品である。

(1980年)


大友裕子/傷心(東芝EMI ETP−10525)

私は シャガレ声のシンガーが好きだ。大友裕子はヤマハのコッキー・ポップから出てきて、なかなかソウルフルな唄い方をするシンガーだった。ヤマハからデビューしたその背景から、デビュー当時はテレビ等の露出が多かったが、その後余り見る機会はなくなった。
ELTの持田香織ちゃんもいいいけれど、 最近は本当にソウルを歌える歌手は少なくなった。UAとCHARAだけか?!





西崎みどり/旅愁 (徳間音楽工業 KA-512)

後ろ向きの演歌は好きではない。でも演歌もいい。
私にとっての好きな演歌の原点が この曲「旅愁」にあるような気がする。
テレサ・テン、桂 銀淑は好きだ。都はるみは 演歌というジャンルを超越しているようにも思う。クール・ファイブ........ロックに通じる演歌もある。

(1974年)





内藤やす子/やさしさ尋ね人 (ラジオ・シティ・レコード RD-1015)

「弟よ」で 演歌の歌手としてデビューした内藤やす子であるが、彼女の持っているフィーリング自体演歌を越えるものがあった。彼女自身は 本当はジミ・ヘンだったりとか、ハードロックが好きだったりとか、実際 自分で唄っている世界と好きな音楽とは別物だと聞いたことがある。
ラジオ・シティー・レコ−ドに移籍した第1弾のシングルは、阿木耀子作詞、宇崎龍童作曲で 彼女の演歌的な部分と ロック的フィーリングをブレンドした内藤やす子の良さを引き出す作品だ。

(1979年)




吉田あつ子/悲しみは近道で (ワーナー・パイオニア L-1273)

吉田あつ子...1曲だけシングルを出したが、まったく売れなかったアーチストである。
売れる売れないは メーカーの力の入れ方、プロダクションの力、タイミング等いろいろな要素がある。この曲は 阿木耀子/宇崎龍童コンビの作った作品であるが、彼らのコンビで作った作品では売れたか売れないという部分で山口百恵「横須賀ストーリー」のまったく対極に位置する作品だ。
吉田あつ子のアンニュイな感じ、阿木/宇崎のブルージーな詞・曲、陽の目を浴びまかった隠れたる名曲だ。

(1975年)