●ロラン・ジュベールは、西欧の紋章をはじめとする様々なシンボルの断片を歴史
の記録としてとらえ、そこに隠された真実を自ら受託し再構成した上で、さらに
私たちを未来に投企させる課題を秘めた作品をつくりつづけている。
●紋章などのシンボルがもともと「割り符」であり、特別なグループ・結社のマー
クであることを逆手にとり、ロラン・ジュベールは彼の作品の中のシンボルを本
来のイメージから逸脱させ、さらに他のイメージと対峙する実証的方法論をとる
ことにより、シンボルの背後に葬り去られてきた歴史の闇の中から真の価値体系
を見い出そうとしている。
●教条主義や封建主義・帝国主義、そして近代の資本主義さらに構造主義や共産主
義など、歴史上登場したあらゆるイデオロギーが価値ある4つの体系〈人〉、
〈場所〉、〈もの〉、〈金=時間〉の並び方の違いにすぎないことをロラン・ジュ
ベールは知っているはずである。
●そして彼の仕事をうけて、全てを人から発想する〈人→場所→もの→金=時間〉
という真の価値体系からなる新しいイデオロギーを確立することが、私たちに与
えられている歴史的課題なのである。
シンボルは密告(秘密を告げるもの)であり
そしてシンボルの重合は
新しきイデオロギーを生み出すための
再構築のはじまりなのである。
INDEX GALLERY 代表 岩野正英
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