●堀宗凡は京都下鴨で自ら営む茶室・玄路庵の主人である。茶人であり、
花守であり、また数奇もののファッションセンスにあふれた風流人であ
るが、中でも際立っているのが、画説(えとき)師としての彼の才覚で
ある。
●画説き(あるいは絵解き)は、日本古来の「浦島太郎」や「桃太郎」な
どのお伽草子が絵入り物語であるように、物語を絵に描きだし、それを
口頭で説明することが本来の姿である。しかし、堀宗凡は、昔話や神話
などの背後にある哲理までを読み解き、独自の表現でパワーあふれる〈
宗凡宇宙〉を構築している。
●能の元旦の代表的演目に「翁」があるが、そこで翁は玉手箱を持って現
れ神歌を謡(うた)う。――とうとうたらり・・・と。この祝言は猿楽
唱歌「千里也多楽里多楽里有楽云々」から出たとも、またチベットの祝
言の陀羅尼歌がその由来であるともいわれている。これを堀宗凡は〈見
通しは客観鶴(白) 一目は主観亀(紅) 鶴亀の舞 紅白の水引結び
金銀の日月結び〉と説き、「浦島太郎」の玉手箱をあけるシーンを浦鏡
原理として展開する。
●さて、この堀宗凡のパワーに触れ、神秘のエネルギーをえるとき、私ど
もの脳裏にどのような想念が玉手箱の白煙のように浮かびあがってくる
のか・・・まずはお楽しみに。
INDEX GALLERY 代表 岩野正英
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