■ 再審請求に関する救済お願い書 (4) もどる

判決文における争点:(2)保険の経緯について

右につきましては、確かに一時期友人のK氏より、再三ならず勧誘を受けていたという事情がありましたことから、実は、と、IYと重**信との債権保全について相談を致しましたところ「それは大変ですね、是非共早急に加入して貰った方が良いですよ」とのことでしたので、両名の者にも話をして、3人でわざわざ水戸のT生命水戸支社まで同行の上、近くの指定病院で身体検査を行いました結果、2人共どこも悪いところはありませんと太鼓判を押されましたことから、その場で夫々満期金200万、災害時においては3倍保障の仮契約を結び、後日いったんは私が立て替えて半年分の保険料を払い込んだのであります。

然しその後本社の査察部の方から「債権保全のためと云っても、親族に全く利益がないというのでは、一部定款に抵触する」とのクレームがついたとの連絡がありましたので、折りしも彼らの周囲の諸事情に余り芳しからぬ感触を受けておりました私は、生来余り気の長い方でもありませんでしたこともあり、下手をすると、立て替えた保険料まで焦がせて泥棒に追い銭にもなりかねないと思っていたこともありまして、渡りに舟というわけでもありませんが、水戸支社に電話を入れまして「そういうことでしたら、こちらにも一寸した事情がありますので、このまま解約の手続きをして下さい」と解約を申し入れておいたのであります。

そういうことで、私はすっかりこの時点での解約は成立していたものとばかり思い込んでいたわけです。然しそれは単なる私の独り合点にしか過ぎなかったことが、事件発生後において判明した次第です。と申しますのは、私が水戸支社へ電話を入れた際、社の幹部らしい男性の声で「はい承知致しました。Kは只今他出致しておりますので、帰社致しましたら必ずその旨申し伝えておきますから」との返事でしたので、そのKからも何の回答もありませんでしたことから、てっきりその時点で解約は成立したものとばかり思い込んでいたのですが、実はこの時電話を受けた社の幹部達が「この夏枯れ時に折角の業績をふいにしてしまうのは如何にも惜しい。この際急いで抵触事項をクリアして成立させてしまえば良いのではなかろうか。冨山さんの方へは『実はお電話を頂いた時点ではもう本社で決済されてしまっていたのです』と言い訳をすれば済むのではないか」と言ったようなことから、私不在のままで何回か本社との間で調整が計られた結果、受取人を私と彼らの妻2人とすることで決着がついたとのことでした。

然し以上のことにつきましては、その途中、何回か「何かおかしいな」と思わされたこともないではなかったのです。それはその後、保険料の返還が中々ありませんことと、日時は余りはっきりと覚えておりませんけれども、その年の多分、4、5月頃だったかと存じますが、突然Kさんからの電話があり「冨山さん、つかぬことをお伺い致しますが、IYさんとSさんの奥さんのお名前をご存知ありませんか」とたずねられましたので「何だよ今ごろになって、どうしてそんなものが必要なのかよ。それより解約の方はどうなっているんですか」と聞き返したところ「ええ今色々とやっているんですが・・・」と一寸口ごもるような感じで「そうした関係かどうか本社の方からの問い合わせがありましたものですから」とのことでしたので、何か割り切れぬものを感じながらそれを教えたことがあったのであります。

実はこの時点で、薄々ながら私の知らない舞台裏で何やらやっているなとの感触がなかったと申し上げましたら嘘になるかと存じます。然しその後の或る日、Kさんが奥さんと2人でクルマで来訪したことがございますが、この時でさえ「いやあ評判は聞いておりましたが、是非一度本物の銚子大橋を見学させて頂こうかと思いまして」とのことだけ、事件後判明致しましたように、I(Y)のところへ契約の御礼のために来たことなど「オクビ」にも出ませんでしたので、私がそれを知ったのは、IYの死後4、5日してからIYのもとにT生命の本社から契約証書が郵送されて来たのを、人伝てに聞いた時が初めてであるのは全くの真実でありますので、その保険契約証書さえ見たこともないのに、どうして「保険金詐欺を目的として云々」などと決めつけられなければならないのか、全く心外にたえない次第です。


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