日常茶飯

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#106 
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まくら

 NHK番組「ためしてガッテン」は10年以上続いてるが、ときどきみている。 司会のひとり小野文惠アナウンサーの<はい、テーマです>で、番組は進行するのだけれど、この人どこか<天然>である。 ゲストの山瀬まみも独特な<味>を出すし、番組はこのふたりである種の雰囲気をつくりあげている。 そして、もうひとりの司会者、立川志の輔さんは重心を釣り合わせるように居るようである。 つまり、番組を安定させる存在であって、落語家なのにちっとも可笑しいことは云わない。

 志の輔さんの落語は、テレビで喋るような調子の高座かと云えばそうじゃない。 噺家、志の輔は別人である。それがすごい。 出囃子「梅は咲いたか」にのって現れるとき、引き締まった雰囲気がある。 また、声には凄味がある。 この人の創作落語は面白い。 店の人と客の会話が噛みあわない。 同じ日本人なのに言葉が通じない。 訳の分からない客を相手にする店員を描いた、『買い物ブギ』が典型である。 『みどりの窓口』では、非常識な客に翻弄されたJR職員が、 飲み屋へいくと店員と主人を同じ非常識ぶりで掻き回すと云う、 常識人と非常識人の<転倒>である。 そして、この<転倒>ぶりが複雑に絡まった悲喜劇が『歓喜の歌』で、 古典落語にある要素や構成に通じた、緻密に練られた噺である。

 ところで、志の輔さんの古典落語はどうだろうと、『抜け雀』(ソニーミュージック、 『志の輔らくごのごらく 4』収録)を聴いてみた。 『抜け雀』は古今亭の<家の芸>である。 この噺のサゲは、<わしは親不孝だ。衝立を見ろ、親を駕籠舁き(籠描き)にした>である。 そのため、マクラで駕籠舁(かごか)きの説明がいる。 所謂(いわゆる)、<仕込み>である。 東海道小田原の宿場が舞台だから、旅のはなしから入っていく。

 志ん朝版『抜け雀』では、<あたくしあのォ、旅がたいへん好きでして、…>と云った調子で、 旅行のはなしをゆったりと語り出す。 そうして最後のほうで、<まア昔歩いて旅をしている時分にいちばんこの、旅人に嫌がられたのはというと、 雲助(くもすけ)に護摩(ごま)の灰。 ええ、護摩の灰というのは、これァもうご承知のとおり、旅人の路銀(ろぎん)を狙う。…… もう一杯嫌がらいたのがというと雲助、駕籠舁きです。 中にはそんなんじゃないのもいたんでしょうけれども、たいがいが性質(たち)が悪かったそうですね>

 さて、志の輔版『抜け雀』。 駕籠舁きの説明をマクラでやらないのだ。 かわりに噺の中で、性質の悪い駕籠舁きを登場させる。 そうすると、マクラは噺とは関係なくて自由になる。 そのマクラが面白い。 ラスベガスへ行った話で、確かに旅の話題には違いない。 ところが、スロットマシンをした話から始まって、ゴルフ場でのプレーからタイガー・ウッズへと、 のびのびと話が続いてく。 で、噺のほうは、まァ、現代的解釈の演出となっている。
'08年08月05日

どんどん迷走する…

 首相官邸ホームページをみると、<福田総理は政権発足後、初の内閣改造を行いました>と、 閣僚記念写真が賑々(にぎにぎ)しく載っている。 わざわざみたのは、<フクダさん>は漢字で<福田サン>でいいのだと確かめる為だけなのです。

 で、テレビは相変わらず色めいて、<福田色は出るか>と騒いでいたけれど、世間では白けているだけ。 そもそも、福田サンに<色>なんてあるのか知らン。 色気はないのは当たり前だけど、何だかこの人、テレビでみると腹話術の人形がパクパクしているようにみえる。 就任したときは、<拉致問題は私が解決したい>と勇んでいたが、 恐らく、解決できればいいなぁ、と思っただけのことを口にしたのだろう。

 まあ、そんな半畳を入れても詮ないことだから止めるが、ちかごろ本屋で発見したものがある。 料理本のコーナーを偶然みると、<100円で出来る料理のレシピ>なんてのが並んでいる。 100円ショップが現れて、今度は100円で出来る家庭料理かと思いそうだが。 本の中身をみたわけではないけど、100円料理の発想は随分前からあった。 それに<一か月一万円の食費のレシピ集>と云うのもある。

 手に取ってみたのじゃないが何人の家族を想定しているのだろう。 これらムック本が幾つも並んでいるのは異様で、便乗で役に立たない本をタイトルで買わせようと云う狙いなのかは知らない。 御時世だもの、小泉サンは音楽遍歴をやるがいい。
'08年08月03日

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