日常茶飯

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3.10

 徳川夢声の『夢声戦争日記』は<戦争の記憶>の代表としてよく引用される。 1960年に中央公論社から全五巻として出版され、 その後は全七巻で文庫化されたそうだが、いまはない。 かわりに、『夢声戦争日記 抄』全一巻が2001年にあらわれて、私はこの中公文庫をもっている。 『抄』とあるように昭和二十年八月の終戦までの何か月分を収録したもので、 <敗戦の記>と副題がついている。 およそ三百数十ページの文庫である。

 以前からこの文庫本は不親切だなと思っていた。 昭和二十年の四月からはじまるのである。 なぜ三月からにしなかったのだろう。 せいぜい60ページぐらい(これは調べて書いているのではないが)増えるだけなのだが。 63年前の三月九日、十日が抜けているのが不満であった。 十万人の民間人を殺戮した東京大空襲である。

 ゆうべTBSの番組「3月10日東京大空襲」を途中からみた。 ドラマ仕立ての構成で、 警察官の石川光陽と云う人が警視総監の特命で空襲の写真を残したと云うもの。 ドラマでは仲村トオルが好演しているが、ドキュメンタリー部分は弱い。 たいがいは知られていることである。 この周到に準備された<一般市民殺戮>を指揮した カーティス・E・ルメイ少将(この名前は記憶されるべき)とは何者だったのか、と云う思いがある。 どんなに映像を駆使しても、史実の発掘がなければ意味がない。
'08年03月11日

静かにすごしたい

 駅の改札を通りホームに出ると、決まって聞こえるのは案内のアナウンス放送である。 五月蠅(うるさ)いのだが、誰も文句を云わないし私も云わないが、 これは何の役にも立っていないのじゃないか。 何行きの電車が来ました、と云われなくても見ればわかるじゃない。 どうして、わーわー、ぱーぱーと騒ぐのだろう。 騒音でしかない。

 もしこのアナウンス放送がなければどうなるか。 ホームに立って電車を待っている。 電車はホームに入って止まり、ドアが開いて、 人が下りて人が乗ってドアは閉まり、すーっと出ていく。 何も変わらないが静かでいいじゃない。 アナウンスがないばかりに困る人はいるだろうか。 ベンチに座って待っていると居眠りして乗り損ねた人。 あんたさんの責任ですよ。 では旅行者など不案内だと云う人はどうか。 それは、そもそも駅と云うのは常連さんにしかわからないように出来ているのです。 地下鉄の出口の案内地図は常連さんでもわからないように出来ています。

 アナウンスに誰も苦情を云わないのは、たぶん我慢して、そのうち聞き慣れたせいで、 みんな聞く耳を閉ざしているのだろう。 案外これは悪いことで何か事があったときはどうするのだ。 いざ本当の危機のときは、アナウンスは進んで混乱するに決まっている。 まともなアナウンスをするかと云えば出来ない相談で、また、ぱーぱー云ってるな、ぐらいにしか聞こえないだろう。 普段から静かにしていれば、アナウンスがあれば珍しがって聞こうとするものである。

 帰りに駅を下りて、本屋に這入った。 駅の建物の中にある本屋である。 大型書店ではないが小さくもない。 規模は説明しづらいが店員さんが5人ほどいる店である。 その本屋の奥の方で棚をみていると、うしろの方で携帯の着メロが鳴った。 電話の受け手は女で、野太い声で「はい、はい、はい、はい…」と奇妙なアクセントで応じている。 あんまりの大声なので振り向いてみれば、 <傍(はた)迷惑>の標本のような顔をしたオバサンである。 呆気に取られてみていたら、年輩の女性店員が近づいて、小声でひと言ふた言云ったのだが、 何と云ったのか聞き取れなかった。 すると、どうだろう。 <傍迷惑の標本>は退散して店から出て行った。 流石(さすが)に客のあしらいが上手いと感心したが、でも何て云ったのだろう。 迷惑な客をさりげなく、ひと言で注意するンだもの。 犬を追い返すようにシィシィッと云ったとは思えない。
'08年03月08日

啓蟄

 きょうは暦では啓蟄(けいちつ)だが、冬将軍が居座っている。 けさの往来は木枯らしがびゅうびゅう吹いていて寒かった。 午(ひる)には役所に用があって外(おもて)を歩いたら、 日は照っているし風もないので、妙に暖かく感じた。 それもつかの間、北風がびゅんびゅん吹き出すと矢張り寒い。 こんな日にゃァ土の中の虫たちも這い出すことはないだろう。

 お話かわって、『相棒6』をみた。 このシリーズは以前の番組の人物を再び登場させる懐かしやシリーズらしい。 きょうの「新・Wの悲喜劇」は前のタイトルだけ踏襲しただけのもの。 こんどは、中島知子と徳井優(むかしサカイの引越のCMでみたオジサン)。 この夫婦のトラブルで、殺意をもつのは中島知子。 それが妄想ばっかりで、その動機も不明であるから、早い段階で結論はみえていた。 手を抜いては困る。

 でも、<ひまか!の課長>は珍しく活躍するし、捜査一課の三馬鹿、いやぁ失礼、<トリオ・ザ・捜一> は出番がない。 まあ笑わぬでもなし、とでも云うことか。
'08年03月05日

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