日常茶飯

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#86 
目次

もみじ

 すっかり秋めいてきた。 何しろ気温も湿度も低くて、すごしやすい。 空気もすっかりちがう。
 せんじつ、歩いてふとみつけた紅葉(もみじ)が、色づきはじめている。

  神殿の御格子(みこうし)おろす栬(もみじ)哉     子規

紅葉
'07年10月15日

割引

 郵便局が民営化して、郵便配達の制服もかわったらしい。 これまでは如何にも官らしく詰め襟に似た制服だったが、それでも慣れていたせいか違和感はなかった。 それがどうだろう、赤いバイクにまたがる郵便配達のズボンに一本線が入っている。 おいおい、仮面ライダーか。 せっかく民になったのに、ちっともあか抜けしない制服だな。

 きょうは日曜日、近くの郵便局は閉まっている。 小包をゆうパックで送りに本局まで出掛けた。 民営化した郵便局は、<局>とは云わなくなって<支店>と云うようになった。 その支店に出向いてみると、時間外窓口だけがあいていた。 たしか以前はもっと大きくあいていたのに。 狭い時間外窓口には、ふたりの<社員>が平行して受けつけている。 五人ずつの行列が出来ている。 はじめ混んでいるなぁ、と思ったら、なあんだ手際(てぎわ)が悪いだけである。 近所の郵便局の窓口とは丸で違う。

 この人だーあーれ。狭い窓口で、ひとりは真新しい端末を操(あやつ)り、 もうひとりは窓口から一旦うしろに消えてスタンプを押したりしている。 明らかに仕事になれていないから、どうしたの。 まあ、そんなことはどうでもいい。 さて、ゆうパックには<同一あて先割引>がある。 日本郵便ホームページによれば、 <差出日前1年以内に差し出されたゆうパックで同一のあて先が記載されているゆうパックラベルの控えを添えて差し出すと、 1個につき50円割引を致します>とあるのですね。 この同一宛先。 これには、住所と受取人のふたつがある。 普通は住所と受取人は繋がって何も困らない筈だが。 でも、<同一宛先>とはどう云うことだろう。 同じ住所でも、家族の別の人に送る場合は受取人が違うし、 相手が引っ越しすれば住所が変わる。

 今回は後者の場合である。 引越し前の依頼主控えを添えて出したら、受け取って何処かに消えた。 スタンプ社員である。 暫(しばら)く待たされて、住所が違うんですがと云うから、 受取人は同じだからと云うから納得した。 で、大丈夫かなと思った。
'07年10月14日

車中の文庫

 この2か月ほど色々といそがしくて、本屋にも行けないありさま。 それが漸(ようや)く峠を越えた。 で、寄り道して大型書店に這入り、新刊の文庫本を何冊か買って帰った。 出久根達郎、『セピア色の言葉辞典』(文春文庫)、 丸谷才一、『ゴシップ的日本語論』(文春文庫)、 京須偕充、『圓生の録音室』(ちくま文庫)。 丸谷さんのは3年前単行本を買って読んでいるのだけれど、 文庫でまた読むと雰囲気も変わるし、新しい発見もあるだろうと思ってのことである。 それに、どう云う訳か文庫のほうが好きなのだ。 電車のなかではいつも文庫を読んでいるからかも知れない。

 京須さんのは、ソニーのプロデューサーとして三遊亭圓朝の人情噺『圓生百席』を手掛けたはなしで、 私はそのCD(当時レコード)を聞いたことはないが、よく通っていたCDショップにあったので覚えている。 その店もいまでは潰れて、無関係な別の店か入っている。 その後、古今亭志ん朝、桂文珍、柳家子三治の噺を録音した。

 最近では電車のなかで携帯電話で話をする人は減ったんじゃないのかな。 とは云うもの、読書に忙しいものだから気づいてないのかも知れない。 滅多にないが、私は降りる駅を乗り過ごすことがある。 一度だけだが、乗り過ごして次の駅で降りて乗り換えて(つまり逆行きに乗り直し)、 あと一駅なのに続きを読んでいるうちに、また乗り過ごしたことがある。 まあ、二度乗り過ごしは一回だけだけど、一度は何度かあるが、しょっちゆうじゃない。 立っているときは読まない。 坐っているとそんなことになる。

 ケータイでメールをする人はよく見かける。 それを目障りがる人もいる。 いつだったか特急電車のケータイ禁止車両のなかで、メールを使っている若者を咎(とが)める初老の男がいた。 少しヒステリックに切るように何度も注意するのである。 それが年端(としは)のゆかぬ小娘にたいして敬語で注意するものだから無駄な抵抗である。

 私はあまり目障りとは感じない。 車中では本を読んでいる。 音読するわけではない。してみれば、 ケータイでメールするのと似たようなもの。 第一、眼中にないのだ。
'07年10月12日

手拭い

 夏の暑いときは手拭(てぬぐ)いは手放せない。 吸水性に優れ、肌触りもいいから汗を拭くのに丁度いい。 タオルと違って、小さく折り畳めて持ちやすい。 濡れても搾って干せば乾きやすい。 両端が切りっぱなしになっているのが手拭いで、乾きがはやく清潔だという理屈である。 そう云うわけで、私は手拭いを重宝している。 京都の何某と云う職人が染めたものだそうで、洗う度に色合い、風合いがよくなってきた。

 その手拭いをなくしてしまった。 どうやら、空港へ向かうリムジンバスのなかで気持ちよさそうに船をこいでいるうち落としたのだろう。 空港で搭乗手続きのときに気づいたが手遅れで、残念だな。

 手荷物検査のゲートを潜るといつもどおり。 いつもポケットのなかには、小銭や鍵の束をジャラジャラさせているけれど、 金属探知機にかかったことはない。 一方で、何度も引っ掛かる人がいる。 身につけた金属の何が金属探知機の機嫌を損ねて仕舞うのか、何度もやり直すけれどよく分からない。 そう云う人は天賦の才があるのだろうか。 その程度に思っていたが、このたび本人は無事に通過できたが、荷物の検査で問題が起きた。 荷物のなかを透視する検査官が、私の鞄のなかに不審物があると怪しんだのである。 これは初めてだから、おもしろくなってきた。

 「飛行機の時間はありますか」
 「あるよ」
 「鞄のなかの電子機器、金属など全部出してください」
 「いいよ」

 長旅のときはノートパソコンを持っていく。 でも、今回は使わずじまい。 パソコンを出して検査を受けたのはいつものとおり。 不審の容疑を受けたのはその残り。 ACアダプタ、コード、マウス、デジカメ、時計ぐらいである。 全部出して、検査すれば何も問題なし。 おいおい、待ちに待った天賦の才だよ。 聞いてみれば、電子機器が重なって映ると危険物と怪しむと云うのだけれど、 これまでも色々重ねて詰め込んでいた。 それが問題なかったのに。 ただ今回、違うのは仔細あってテレビのケーブルを入れていた。 これまで電子機器なんてぞんざいに重なっていただろう。 それでも何事もなかったから、じゃあテレビのケーブルのせいかと思うだけ。 なくした手拭い惜しいな。
'07年10月08日

10.1

 当面は直接関わりなさそうに思うのだけど、きょうから郵政が民営化された。 新聞の見出しは、<資産335兆円の巨大金融>である。 郵便局の看板はJPになって、ジャパン・ポストか。 郵便局の中に3つの会社が同居して、窓口のあいだを仕切って、3つの会社員が制服着て鎮座しているそうだが。 これまでなら、ひとりで2つや3つの会社の分の仕事をこなしていただろうに、それを分業して果たして効率が良くなるのだろうか。 <郵政三事業の民営化>で、さんざん大騒ぎしたが、それが実現すると何とも心許ない。

 もうひとつ、気象庁は「緊急地震速報」の運用をはじめた。 その知らせを受ける立場にいないので、これも関わりないことだけどよく分からないことがある。 地震が起きたとき、あと何秒で来るのかを知らせるシステムだが、 震源地の近くでは間に合わないし、遠くでは慌てて何をするか分かったものじゃない。 これでは迷惑するしかない。

 テレビのニュースで「緊急地震速報」のシミュレーションをやっていた。 家庭での場合である。 その何秒のあいだに、机やテーブルの下に避難する様子を撮している。 テレビはあろうことか、地震の雰囲気を出したかったのだろう実際に起きた被害の映像を挿入した。 全壊した家屋、倒壊したビル。 そう、何にも分かっていないのだ。

 この「緊急地震速報」は大地震(おおじしん)を想定したものだろう。 なのにテレビは、家が倒壊した映像のあとに、机やテーブルの下に避難する訓練を映すものだから気は確かだろうか。 家が倒壊すれば、机の下にいても押しつぶされるに決まっている。 そのときは、急いで家の外に出ること、玄関を目指すのが当たり前。 考えろよ。

 マスコミを悪く云ってもせんないことかも知れない。 気象庁だって悪いだろう。 「緊急地震速報」はあらかじめ周知できる。 震度いくらならこの様にしなさい。 そんなことをしているのか知らないが、周知するがいい。 その辺が怪しいのが気象庁らしい。

 きょうは福田総理の初めての演説。 何を云ったか知らないが、民主党の鳩山サン「華(はな)がない」と云うのは笑った。 政治家でコトバの怪しい人にしては言い得て妙。 で、きょうは華のある話芸を確立した噺家、古今亭志ん朝の七周忌である。
'07年10月01日

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