砂書帖 ・ 月例パッチ ▼ マイクロソフトの月例パッチ(セキュリティ修正プログラム)をあてた。 予告では7件と云うことだったが、Microsoft Updateを実行すると3件だった。 1つは悪意のあるソフトウエアの削除ツールだからパッチはMedia Playerに関するものが2件と云うことになる。 リモートでコードが実行されると云う脆弱性で、深刻度は「緊急」だそうだ。 ▼ 悪意のあるソフトウエアの削除ツールは、はじめの頃は何だかよく判らなかった。 ツールと云うからアイコンをクリックして実行するものと思ったが、そんなアイコンは何処にもない。 後で判ったのは、インストールのときに一回だけ実行されて、 「悪意のあるソフトウエア」が発見されなければウンともスンとも云わないこと。 その結果はディレクトリ「\WINNT\Debug」のmrt.logと云うファイルに記録される。 このツール、一度も手柄を立てたことが無い。 役に立っているのかどうだか依然として判らない。 |
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御馳走帖 ・ おろし 今が旬のもののひとつに大根がある。 青首大根は葉っぱの近いところに甘みがある。 天麩羅(てんぷら)はうまいとは思わないけれど、天つゆに大根おろしをたっぷりと掛けて食べる天麩羅は美味しい。 尤も、こう云う贅沢は家でしか味わえない様である。 蕎麦屋で天ざるをたのんだら、お盆で持って来た。 海老(えび)天が二尾、それから茄子(なす)、南瓜(かぼちゃ)に大葉と海苔(のり)の天麩羅が皿の上に盛りつけられている。 その縁の所には、大根おろしがほんの気持ちばかり、一寸のっている。 山葵(わさび)よりも少ない。 あんまり少ないので天つゆに落とさずに、箸でつまんで海老の天麩羅の上につけて食べた。 高価な山葵を申し分なく摺りおろして小山を築いてくれるのは、 蕎麦屋の沽券(こけん)に関わるのかどうだかは知らないけれど、 その気前のよさを大根の方にも回してくれればどんなに美味しくなるだろうと思った。 西洋山葵のホース・ラディッシュは大根の一種だと思うけれど、その正体をよく知らない。 広辞苑には「山葵大根」とあるから、矢張りおろしたものに違いない。 近ごろでは、チューブに入って売ってあるので手に入りやすくなった。 ビーフ・ステーキは、ポン酢にホース・ラディッシュを添えて食べるとうまい。 |
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珈琲 朝起きると一杯のコーヒーを飲む。 コーヒーで目が覚めることもあれば、目が覚めたからコーヒーを飲むと云うときもある。 飲むのは一杯だけで、後はお茶ばかり飲んでいる。 昼間にコーヒーを飲むこともあるけれど、付き合いの上でそうするのであって、自分から飲もうとは滅多に思わない。 だから、コーヒーは一日に一杯だけ飲んでいることになる。 むかしはコーヒーと胃がんとの関連が云われたときもあったそうで、その後無関係と云うことになった様である。 最近ではそう云うことも聞かなくなった。 寧(むし)ろ面目躍如で、一日一杯飲むのは良いことのように書いている新聞記事を見ることがある。 きょうもコーヒーの効用についての記事が載っていた。 コーヒーの一杯が、生活習慣病の予防に効果があると云うはなしである(日経)。 いわく。 自律神経の働きを高めて肥満を防ぐ。 血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防する。 善玉コレステロールを増やして動脈硬化を防ぐ。 抗酸化物質のクロロゲン酸ががんを予防する、等々。 欲張り過ぎじゃないか知らん。 更に、コーヒー摂取量と肝臓がんの発病率との関連をグラフで示している。 コーヒーを一日五杯以上飲む人は、殆ど飲まない人より、発病率が四分の一に低下すると云う。 一日に五杯以上飲む人は、まったく飲まない人と比べて、食べ物の習慣からしてまったく違っているように思える。 コーヒーだけを目印にして健康を調べることが妥当なのかと考えてみたけれど、よくわからない。 |
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文豪が通った理髪店 明治四年(1871年)の断髪令は文明開化の法令で、チョンマゲを切り落とした。 髪結いは理髪師になった。 この年、東京・本郷の加賀藩前田邸の正門前に、西洋理髪店の「喜多床(きたどこ)」は創業した。 洋館三階建ての当時としては珍しい店構えだった。 旗本出身の創業者、中邨喜太郎は維新後、前田公の髪結い方を務め、そのまま理髪師になった。 西洋風の散髪技術は前田家の軍事顧問として出入りしていた外国人から学んだと云う。 屋号の喜多床は前田公の命名によるもの。 以上は、日経新聞の文化面に載っていた、喜多床五代目店主である船越千代さんの文章「文豪も通った理髪店」にもとづく。 もう少し引用を続ける。 明治十七年に前田邸が帝国大学(現在の東京大学)になると、<喜多床は一階では十銭、二階では二十銭 と料金を分け、学生さんも多く取り込んでいく。 二階は大学の先生や文士ら知識人の集まるサロンになった。> 得意客のひとりに、夏目漱石がいた。 漱石の小説にもたびたび店の名が登場する。 内田百閒も随筆に喜多床のことを記している。 と、云うようなことが綴られていておもしろく読んだ。 二代目店主による漱石先生の思い出ばなしが残っている。 <「先生よいお天気です」というと、 先生は一言、「大きなお世話だ」。 頭を刈られながら気持ちよさそうに寝ていたため、終わって起こすのが悪い気がしてそのままにしておいたら、 「終わったのか。遅いぞ」と叱られたそうだ。> |
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つわぶきの花 内田百閒の『私の「漱石」と「龍之介」』(ちくま文庫)を読み返してみた。 漱石と芥川に関して書かれた文章を蒐(あつ)めたもので、 その中に「『つはぶきの花』より」と云う十篇からなる随筆がある。 編纂後記によると、『つはぶきの花』の初版は昭和三十六年(1961)とある。 百閒には、『大貧帖』ものと云う高利貸しの金を借りる奥義を綴った随筆があって、 実におもしろいのだが、 ここにはそれより前のお金の話が出て来る。 百閒が大学生ぐらいの頃じゃないかと思うが、お金に困り、思い切って漱石に訴えた。 すると漱石は、「ふん」と云って五円札を一枚くれた。 <先生の黒檀の机の左の隅にお札の束が積み重ねてあつた。 その方へ目をやつて、「春陽堂が持ってきたのだよ」と云つた。 印税を届けて来たのだらう。…(中略)… 先生はその前に坐り込んでにがり切つてゐる、 その様子をいまでも思い出す。 きつと奥さんがお留守で、片附けられなかつたのだらう。> で、せっかく貰(もら)ったお金を使うのが勿体(もったい)ない。 そこで困っている用に充(あ)てる前に、先ずほかのことから使い始めようと思い立ち、 原稿用紙を買って仕舞う。 どこにも寄稿する宛があるわけではないのにである。 このあたり、のちに錬金術(借金)の大家となる片鱗がうかがわれる。 それから質屋の味を覚えるようになる。 何か持って行けば手軽にお金を貸してくれる。 便利で有り難い。 いい気になり、色んな物を持ち出しては当座の融通をつけた。 期限が来て、質草が流されそうになり慌てた。 当惑して煩悶(はんもん)して、思い余って漱石先生に訴えた。 <「馬鹿だね、君は」と先生が云つた。 「利上げをすれば流しはしないよ。知らないのか」 利子は受け出す時に払ふものとばかり思つてゐた。 「利子の計算をして来なさい。払つて上げるから」 安心してさうして非常に難有かつた。> その後、質草がなくなり、手許の融通が利かなくなった頃、非常に困ったことが起こった。 早くから家を構えて子供もある上に、郷里から母と祖母を迎えて一緒にいたので、 肩の荷は重かった。 随分苦慮したが工面がつかない。 煩悶の末、湯河原温泉に療養中の漱石を訪ねた。 <私は恐縮して小さくなりながら、お願ひの筋を述べた。 先生はいいよと云つて、すぐに引き受けて下ださつた。 しかしここにはないから、東京へ帰つて、僕がさう云つたと云つて、家内から貰ひなさい。 非常に簡単に済んで手持ち不沙汰の様であつた。 こんな所までやつて来て、君は馬鹿だ、とも云はれなかつた。 或は私がひどく思ひ詰めた様な顔をしてゐたのかも知れない。 晩飯がまだなのだらう、と先生が聞いた。 さう云はれればさうなのだが、今の今まで腹加減の事なぞ考へてゐなかつた。 あつちの部屋へ用意させるから、御飯を食べて寝なさい、と云つて先生は女中を呼んだ。 お膳で麦酒(ビール)を戴いてもいいかと尋ねた。 いいよ、と先生が云つた。> 漱石の崇拝者だった百閒は、漱石を批評するなぞと云うことは思いもよらなかった。 只、こんなことを書いている。 或る木曜日の晩に、数人で漱石を取り巻いている席に女中が来て、 初めての方がお目に掛かりたいと云っていると告げた。 漱石は紹介状をお持ちですかと聞いて見ろ、持っていなければお目に掛かれないと云って断れと命じた。 暫くしてから女中が来て、わざわざ田舎から上京したのだから、一寸でも会わせてくれと頼んで帰らないと云った。 紹介状がなければ会わない。と怒る様にして云う漱石。 <みんなが黙つてゐる中で、私は漱石先生を憎らしいおやぢだと思つた>(「紹介状」より)。 |
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マエストロ 新聞にオペラの広告が載っていた。 フィレンツェ歌劇場が日本で公演すると云う。 指揮はズービン・メータで、 正面に構えたからだを少し捻(ひね)りタクトを水平にして差し出した写真が載っている。 思わず久闊を叙する気分がした。 もう長いこと聴かないが、音楽評論家じゃないから一言で済む、メータは格好いい。 ことしで古希になるそうだが、じじいぽくない。 いまでも格好いい。 はじめて聴いたのは子どもの時分で、映画のサントラ盤だった。 映画のテーマ曲「ラプソディー・イン・ブルー」に、ガーシュウィンの小品のメドレーが続いた。 その後テレビでみたのだろう、イスラエル・フィルを指揮するメータが格好良かったのを覚えている。 交響曲も色々聴いたけれど、いまでは何を聴いたのか忘れて仕舞った。 現在、イスラエル・フィルの終身音楽監督で、バイエルン国立音楽歌劇場音楽監督(ことし夏で退任)、 ミュンヘン・フィルからも名誉指揮者の称号が贈られたと云う。 そしてフィレンツェ歌劇場の首席指揮者として来日すると云うのだが、 伊歌劇に暗いので書いてて覚束なくなって困ったな。 オペラ指揮者としてのメータを知らないけれど、 演目はヴェルディの「ファルスタッフ」とプッチーニの「トゥーランドット」だそうだが、これらも知らない。 ヴェルディの歌劇「椿姫」なら少し知っている。 「アイーダ」の凱旋の大行進曲なら誰もが聴いている筈で、 プッチーニなら「蝶々夫人」のある晴れた日に、だね。 |
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立春は寒波 きょうは節分だから、あすは二十四節気の立春である。 とは云っても、春はまだまだ遠い。 また寒波がやって来るらしい。 「早春賦(そうしゅんふ)」は春の訪れを待ち詫びる心情をうたった有名な唱歌である。 吉丸一昌(よしまる・かずまさ)の作詞、中田章(なかだ・あきら)の作曲。 たしか、大正2年の2月につくられたもので、吉丸は安曇野を訪れたときに、この詞を書いたと云う。 春は名のみの風の寒さや。 谷の鶯(うぐいす) 歌は思えど 時にあらずと 声も立てず。 時にあらずと 声も立てず。 氷解け去り葦(あし)は角(つの)ぐむ。 さては時ぞと 思うあやにく 今日もきのうも 雪の空。 今日もきのうも 雪の空。 春と聞かねば知らでありしを。 聞けば急(せ)かるる 胸の思いを いかにせよとの この頃か。 いかにせよとの この頃か。 ソプラノの唐澤まゆこさんに、アルバム『なつかしい未来~日本のうた』(ユニバーサル)がある。 中に、「早春賦」がおさめてあって、これは秀逸である。 |
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危険日数 ブラウザFirefoxの修正版がリリースされた。 起動時に数分間応答しないことがある不具合などを修正したもので、 バージョンは1.5.0.1。 以前の1.5の不具合を修正しただけだと云う。 それでアップデートした。 また、開発を終了したMozillaが名前を変えて新たにリリースされた。 SeaMonkeyと云うそうだ。 海猿か。 以前はMozillaの方を使っていた。 Firefoxが現れたとき、試してみるとMozillaの方がよかった。 ところが、Mozillaの開発が打ち切られる前に乗り換えたのである。 使ってみるとFirefoxも悪くはない。前には戻る気はしない。 Firefoxのアップデートは、お行儀よく、前のをアンインストールしてから、 新しいのをインストールした。 が、自動更新機能があるのを思い出した。 普段は無効にしているのだけど手動で更新を確認する事が出来るので、 こっちを使えばよかったな。 それはどうでもいいとして、IT Proの記事にこんなのがある。 「Crypto-Gram Newsletter」と云う記事の邦訳なのだけど、 主語が曖昧な変な日本語の文章である。 ある研究グループが1年間、Internet Explorer(IE)、Firefox、 Operaの3種類のWebブラウザを追跡調査して、 遠隔地から悪用される可能性のあるセキュリティ・ホールが公表されたにもかかわらず、 修正パッチが提供されていない状態の日数を数えた。 2004年のこと。 すると、IEは98%が危険日だった。パッチ未提供の公開済みセキュリティ・ホールが存在しなかったのは、 1年を通してわずか7日だったと云う。 対するFirefoxの危険日数は15%、Operaは17%だったと。 どうもこの人IEが嫌いとみえる。 ちょっとおもしろいと思ったのは、IEの危険日数が98%と云うのは少ないと宣(のたま)っている。 もっと多い筈だと云っている。 「悪人だけが知っていて公表はされていないセキュリティ・ホール」を加えるともっと増えると。 アハハ。 私は普段はIEを使わないから、IEは危険なソフトだと云われても寛大なのだ。 Mozilla Japan http://www.mozilla-japan.org/ 日経BP社、IT Pro http://itpro.nikkeibp.co.jp/index.html |
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怪しいサイト 最近はすっかりスパム(迷惑メール)が来ない。 本当は毎日来ているのだけれど、プロバイダのメールサーバの手前で受信を拒否しているのである。 これはプロバイダの手柄ではなく、私が一々ブロックする条件を追加した成果だろう。 拒否したスパムは、一週間は保管されていて、覗くことが出来る。 たいがいはリンクを張ってサイトへ誘導しようとするもので、本文はばかばかしい。 たまに外国から英文のスパムが来る。 プロバイダがスパムと判断する条件をすり抜けて来るのだが、以前は薬売りがよく来た。 網に掛からなかったのは、例えば「スパム」と云うことばを判定条件にしているのに、「ス★パ★ム」と云う具合に書いている。 よく猿知恵の働くものだと関心しないけれど、 頻繁に来るわけではないので、条件を加える労をとらずに、その儘にしている。 きょう、そんなスパムがすり抜けて来た。 英語の文面を見ると確かに物売りに違いないスパムである。 こんどは時計を売りに来た。 薬売りと違って、スペルの間を記号で埋めるような姑息なことはしない。 ただしサイトへ誘導するのに、「C-lick hereeee」、てな具合。 こう云うときはメールソフトの出番である。 秀丸メールのスパムを判定する機能は役に立つ。 スパムと判断した理由を表示してくれるからだ。 それを参考にプロバイダのスパムをブロックする条件に追加していた。 で、これをスパムと判断したキーワードは「watch」だった。 送信元のIPアドレスをUNIXのコマンドで調べると国はCL。 チリである。 尤も、アドレスは詐称されているのかも知れないが珍しい国から来たものだ。 南米大陸のペルーの南にある、太平洋に沿って細長く続く国である。 先日の日経BP社、IT Proの記事を思い出した。 米国のセキュリティ・ベンダーが悪質なサイトがどの国にどの程度置かれているのかを示すページを公開したと云う。 同ページは、フィッシング目的の偽サイトや、クライムウエア(犯罪目的のプログラム) をダウンロードさせようとするサイト、 ユーザーの情報を盗むと云った、悪質なサイトの分布を国別にして、世界地図で色分けて表示している。 見れば、米国が一番多くて、真っ赤かである。 それに中国も真っ赤かだ。 日本はまだ安全な方かも知れない。 チリは、まったく安全な国で真っ白である。 Phishing and Crimeware Map(米Websense) www.websensesecuritylabs.com/charts/threatmap.php |
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