スパイウエア対策(承前) 先日、スパイウエア対策のフリーソフトSpybot S&Dのことを書いた。 これと一緒に使えるフリーソフトに、SpywareBlasterと云うのがある。 Spybot S&Dがスパイウエアを検出/削除するのに対し、 SpywareBlasterはスパイウエアの侵入を遮断する。 ブラウザのInternet Explorer(IE)とFirefoxに対応している。 SpywareBlasterの使い方も簡単で、定期的に起動してアップデートをチェックする。 新しい定義ファイルが見つかると、自動的にダウンロードされる。 その後、「Enable All Protection」を実行するだけである(つまりこちらは日本語化されていない)。 尚、自動アップデート機能もあるが、これは有料。 併せて、Spybot S&Dの左メニューにある「免疫」をクリックして免疫化を実行するといい。 これもスパイウエアに対する予防措置を行う。 IEの使用時に悪意のあるアドレスも遮断してくれる。 さて、この様なソフトが有効に働いているのかどうだかは知らない。 この1年ほど、スパイウエアが見つかったと云うことはないので、 少しは役に立っているのかも知れないとも思える。 尤も、怪しいサイトを訪れると云うことはしないので、こんな対策ソフトを入れても入れなくても違いはないのかも知れない。 SpywareBlaster http://www.javacoolsoftware.com/spywareblaster.html |
|
御馳走帖 ・ 山椒 夏の暑いころには、うなぎの蒲焼きを何度か食べたけれど、 うなぎが好きと云うよりも、蒲焼きにふってかける山椒(さんしょう)の風味がうまい。 古今亭志ん朝はうなぎが好物だった。 ところが噺家になった19のときに、うなぎを絶った。 なぜと云うに、志ん朝の守り本尊が虚空蔵(こくぞう)菩薩で、 谷中に虚空蔵様を奉った小さなお寺があって、ことあるごとに「芸が上達するように」と熱心にお参りしていたと云う。 で、その虚空蔵様の使いがうなぎだったそうで、だからうなぎを四十何年間も食べなかったと云う。 『三人噺』から。 段々と肌寒くなる晩秋には、蕎麦(そば)は鴨南蛮がうまい。 鴨肉には長葱(ねぎ)が相性いい。 太めの葱には焼き目が一筋ついていて、汁の表面には鴨のあぶらが薄らと浮いてこれが汁にこくを出す。 薬味に葱の刻みと柚子(ゆず)の皮を刻んで落とす。 そして山椒の粉をちょっとふる。 ところでなぜ鴨南蛮というのだろう。 手元の学研現代新国語辞典を引くと、南蛮煮から来ているらしい。 葱と魚、鳥などの肉を煮た料理のことだと云う。 |
|
スパイウエア対策 スパイウエア対策に、「Spybot Search & Destroy」と云うのを入れている。 パソコン内に潜んだスパイウエアを検出/削除するフリーソフトで、 もう何年も前から使っていると思うが、今年の初めにバージョンが1.4になったのだけど、 それを知ったのはつい最近である。 定期的にアップデータを検索して、新しい定義ファイルが見つかると、チェックを付けてダウンロードして検索を開始する。 スパイウエアが発見されたら問題箇所を修正/削除する。 と云うだけの操作は簡単。 もっと高度なことも出来るけど「意味が理解できない状態での操作は危険です」と云う警告が出る。 はじめてSpybot S&Dを使ったときは幾つも見つかるのでちょっと呆れた。 マイクロソフトのもあったから、はじめから潜んでいたのもあったのだろう。 見つかったスパイウエアはレジストリに関するもので、ソフトウエアではなかった。 インターネットのアクセス履歴やユーザ追跡など、卑しいマーケッティングでもやっていたのだろう。 この1年間ほどは、スパイウエアは全く見つからない。 このSpybot S&Dを開発したのは、Patrick M. Kollaと云う人で、 以前はドイツの大学生だったと記憶する。 今ではセキュリティソフトウェア開発会社を設立し、Spybot S&Dの開発は現在も続いているようだ。 それで、既に書いたようにフリーソフトとして提供(寄付金も募っている)されているのだけど、 一方で製品版としても販売されているから不思議である。 一昨日のINTERNET Watch の記事に、キャノンからSpybot S&D 1.4が来週発売されると云うのがあった。 「パッケージ版が5,250円、ダウンロード版が3,150円。 購入後1年間のオンラインアップデートサービスを利用できる。 次年度更新料は2,100円」、とあり決して安くはない。 開発元のサイトからはフリーソフトとしてダウンロードが出来るし、 オンラインアップデートだって出来るのに。 しかも、日本語化されている(多少怪しい日本語だけど、使う分には問題はない)。 どう違うんだろうね。 The home of Spybot - S&D! http://www.safer-networking.org/en/ |
|
三人噺 今月の文春文庫の新刊のひとつ、美濃部美津子さんの『三人噺』を読み終えた。 父・志ん生に弟・馬生と志ん朝を語った三人噺(さんにんばなし)で、一気に読んだ。 美濃部美津子さんは先週テレビで見た。 たしか木曜日。 たまたま新聞の番組表を見るとNHK教育テレビでやっていた。 以前、矢張り偶然知って見た、 『知るを楽しむ 古今亭志ん生 ~ えー、人間とォいうものは』と云う4回シリーズの最終回の再放送だった。 前に見たのは1回目で、どうもこの番組は中途半端な時間にやるもんだから、次回からは忘れてしまって見なかったんだ。 それで、美濃部さんは80歳を超えているのに実に元気なお婆さんで、話ッぷりが面白かった。 志ん生そっくりと云うか、丸で落語を聞いているみたいで、つい面白がって見ちゃった。 志ん生は83歳で亡くなっているのだけど、明治23年の生まれで、内田百閒とはひとつ違いの年下である。 71歳の時に脳出血で倒れて、それからは長女の美濃部さん、お父さんに内緒で日本酒を水で薄めて出していた。 「近ごろの酒は水っぽくなったなぁ」 「お父ちゃん、今まで特級酒飲んでたでしょ? 特級じゃ身体に悪いから、一級酒にしたのよ。 だから、ちょっと薄めなんだよ」 「ふぅん、そうかい」 志ん生が亡くなる前の晩、昭和48年9月20日のこと。 美濃部さんは毎度のごとく水で薄めようとして、ふと「もうそんなに長く生きてらんないのに、水で薄めちゃかわいそうだな」って思い、 ちゃんとしたお酒を飲ませた。 すると、「やっぱり酒はうまいなぁ」と云って眠って、二度と目を覚ますことはなかったと云う。 志ん生は羨むべき大往生と云えるけれど、馬生と志ん朝はもっと長生きしたらどんな噺家になっただろうと思う。 志ん朝のことは旧稿に書いたので控えるが、馬生は食道癌(がん)で歿した。54歳。 「声帯に影響が出るというので手術を拒否し、死後、夫人は馬生が若い時からつけていた日記を、 <本人の希望で>読まずに焼却した」(小林信彦、『名人 - 志ん生、そして志ん朝』)。 |
|
砂書帖 ・ セキュリティ ホール ▼ マイクロソフトの修正パッチ(修正プログラム)が、あす9日に公開されるそうだ。 パッチは1件で、最大深刻度は最悪の「緊急」だと云う。 併せてセキュリティには直接関係しない、優先度の高い更新プログラムも公開するそうだ。 ▼ きのうのセキュリティ・ホールが見つかったFlash Playerのバージョンの件。 日経BP社のIT Proの記事によると、米マクロメディアのサイトにはバージョン7のアップグレードを用意していると云う。 リンクを辿ってダウンロードして実行すると、インストーラが起動して、ブラウザFireFoxを正しく認識する。 バージョンは「7.0.19.0」から「7.0.61.0」になり漸(ようや)く穴が塞がった。 ▼ Flash Player 8がFireFoxに対応していないのは何故だか知らないけれど、 当分の間Flash 8でつくられたサイトを見るときはInternet Explorerを我慢して使おうっと。 Flash 8で作成されたサイトのひとつに、「Manyo -万葉-」と云うのがある。 Web上で無料で読める電子雑誌で、これがなかなか面白い。 ブロードバンド環境でないと読めないけれど、マウスでページを捲(めく)りながら、雑誌を読む感覚で楽しめる。 記事に挿入された写真がスライドしたり音楽が流れたりするし、 広告のページではテレビCMを映像で見ることも出来る。 これ、お薦め。 IT Pro http://itpro.nikkeibp.co.jp/ Manyo -万葉- http://www.man-yo.com/ |
|
Flashで草臥れた インプレス社の INTERNET Watch の記事に、 「Flash Playerに深刻な脆弱性、外部から任意のコードが実行される恐れ」と云うのが出ている。 バージョン8(8.0.22.0)、 もしくはバージョン7であっても「7.0.61.0」または「7.0.60.0」を適用することで回避できる、 とある。 マクロメディア ジャパンのページからインストールしているPlayerのバージョンを調べるとが出来て、 やってみるとバージョン「7.0.19.0」だった。 記事によると、このバージョン以前のものに脆弱性が存在すると云う。 いやぁ、困ったね。 以前、Flash Playerのバージョン8のインストーラを実行しても、うまくインストール出来なかった。 マクロメディアによるとブラウザMozilla FireFoxに対応していると云うのだが。 それで元のバージョンに戻したんだ。 で、FireFoxのプラグインのフォルダをみると、「GetFlash.exe」と云う実行ファイルがある。 ひょっとしてアップデート出来るかな、と思って実行してみると何にもおこらない。 暫(しばら)くたって、ディスプレイの右下のトレイにアイコンが現れて吹き出しのようなダイアログが、 「アイコンをクリックするとFlash Playerをアップデートします」と云う。 云われる儘(まま)にクリックすると、ダウンロードが始まって何やらが実行されて、 「システムを再起動すると、最新のFlash Playerにアップデートされます」と。 ところが、アップデートされていない。 マクロメディアのページでバージョンを調べると、元のバージョン「7.0.19.0」の儘である。 それから、あれこれとやって、やったことは忘れたけれど、 ひょんな弾みでブラウザ Internet Explorer (IE)を起動した。 IEではブラウザからFlash Playerをインストール出来るのである。 それで結局 Flash Playerのバージョンは、IEでは8で FireFoxでは7と云うことになった。 草臥(くたび)れただけ。 トホホ。 インプレス社の INTERNET Watch http://internet.watch.impress.co.jp/ マクロメディア ジャパン http://www.macromedia.com/jp/ |
|
想像の舌 11月なんだからもう少し寒くてもよさそうな気がする。 上着を着れば暑く感じるし、かといって脱げば肌寒く感じる。 あしたは立冬だそうだ。 天気予報によると来週からは寒くなるそうだが、天気予報が当たってもいっこうに構わない。 真牡蛎(まがき)のうまい時候になった。 揚げたての牡蛎フライに、すだちを搾ると、ジュッジュッと云う音を立て牡蛎とすだちの香りが広がる。 皿の端にたっぷりと盛ったタルタルソースにつけて食べる牡蛎フライは本当にうまい。 そんなことを想像しながら、百貨店の地階に行くと、色んな旬の食材が置いてある。 野菜売り場には山葵(わさび)があった。 水を張った底の浅いタライに山葵が何本も浸かっている。 その内の一本を手に取ってみると、千何百円の値札が貼ってあった。 この山葵で新蕎麦(そば)を食ったらさぞうまいだろう。 お話変わって、京橋の明治製菓本社に人を訪ねた内田百閒は、応接室の椅子に腰を下ろして待っていると、 向き合った壁際のガラス戸棚に、いろいろの缶詰が並んでいるのが目にとまった。 そこに薄い西日が射(さ)している。 応接室にひとりぽつねんと人を待っていながら、百閒先生、あれこれと食い意地をはたらかせる。 「缶詰は古くなければ意味はない。 西日が射したり翳(かげ)つたりするから、縁の下などに蔵(しま)つてある物より中身はませてゐるに違ひない。 缶切りできりきりと蓋(ふた)を切つて、普通に起(た)ててあつた缶詰なら底から開けるに限る、 さうして食つてみたら、何が這入(はい)つてゐるのか知らないが、きつとうまいだらう」 (「喰意地」、中公文庫『御馳走帖』所収)。 と考えて百閒は、想像の中で向こうの戸棚の中を物色する。 「想像の舌は長くて何処迄(どこまで)も届く」、と空想の中で食おうとする。 「おまけに思ふ仔細あつて実際には余り食べないから、ますます喰(くい)意地を研ぎ澄ます。 ついでの事に起ち上がって戸棚に近づき、一つ一つの缶の正体をつき止めようかと腰を浮かした時、 扉が開いて人の声がした」、とさ。 |
|
うがい薬 一昨日の夕方から喉がごろごろするから、風邪の菌を貰(もら)って来たらしい。 頓服を飲んで暫くすると良くなったけれど、まだほんとうではないようである。 昨日も今日も、あさ目が覚めると喉が痛かった。 その後、日中は何ともないけれど、風邪は治っていないらしい。 そろそろ、うがいを始めようと思った。 もう何年も前から冬の間は、うがいをしている。 うがいは、うがい薬のイソジンを使っていて、外から帰ったときには必ずしている。 そのせいで、冬に風邪をひいたことはなかった。 いま風邪気味なのは、うがいを始める時候を見誤ったからで、 うがいのせいではないのである。 先日の新聞に、風邪の予防にうがいの効果が世界で初めて実証された、と云う記事が載っていた。 これまで、うがいの有効性を裏付ける根拠は何もなかったそうで、 この日本独特の衛生習慣が、実際に効果があることを、 京大の研究グループが米国予防医学会誌に発表したと云う。 新聞の記事では、水でうがいすると、しない場合に比べ風邪の発症が四割減ることが分かったと云う。 また、うがい薬では、うがいしない場合と大差なかったと云う。 ついでに、イソジンの明治製菓のコメントは、喉を殺菌・消毒・洗浄する治療薬であって、 風邪予防の効果はもともとPRしていないと云う。 記事には、日に三回以上うがいしたと云うだけで、調査の詳細はなかったけれど、 私がこれまで行ったうがいの人体実験の経験では、うがい薬は効くのである。 外から帰ったときにするから効くのであり、何回すると云う問題ではない(と考える)。 外で貰った菌をうちの中に入れないことが風邪予防の要諦であると考えるから、 調査は心得違いじゃないか、と勝手に私は邪推する。 |
|
動いてるよ 古今亭志ん生の落語を幾つかCDで聴いてみると、ほんとにおもしろい。 ただ不満なのは、いつ、どこで録音されたのか音源について何も記されていなのである。 また、おもしろいだけに映像で観たいと欲張ってみたくなる。 そんな先日、志ん生の高座のライブ映像をDVDで観た。 講談社からシリーズで出ているうちの一枚で、『巌流島(がんりゅうじま)』。 この演目ひとつだけが映像で、あとは音源に写真や絵を組み合わせたものである。 『巌流島』はオープンしたばかりの旧NHKホールで収録され、 1955(昭和30)年9月18日に放送、と解説にある。 このとき志ん生は65歳。 まさに絶頂期の高座だ。 何しろ50年前のテレビ放送の映像だから、とうぜん白黒。 いまと違いカメラのレンズのせいだろうか、 高座の志ん生は上から少し押しつぶされたような姿で映っていて何とも奇妙に見えた。 客席の様子も記録されていて、半袖姿でおかっぱ頭の女性に、丸坊主の男の子と、 老若男女が客席を占めている。 それが、落語が全盛期だった時代を感じさせる。 観ていて思わず、うわあっ志ん生が動いているよ、と云って仕舞う。 ギャグ(くすぐり)が冴えている。 天衣無縫とか融通無碍と云われた志ん生だが、ほんとにおもしろい。 矢野誠一さんの解説にもあったが、動きに無駄がない。 それでいて渡し船の船頭、ふたりの武士に屑(くず)屋がそこに居るようである。 志ん生は1961(昭和36)年に脳出血で倒れる。 一年後に奇跡の復活を遂げ、弟子に抱えられて高座に上がり、右半身不随の高座を続けたと云う。 DVDには、その頃の音源も収録されていて、 手前に置いた台の上に両肘を突いての高座姿の写真が写し出される。 思うようにことばが出なくて、それと格闘している志ん生の姿が目に浮かぶようで、これが聴いてて辛(つら)い。 はなしを『巌流島』に戻して、 遥か昔の映像を観ていると、まずその名人芸に感嘆する。 「彼と時を同じゅうして生きている我々はたいへんなしあわせである」、と書いた漱石のことばが分かるような気がする。 ふと思い出したのが、志ん生の次男の志ん朝である。 4年前に亡くなった志ん朝だけれど、ソニーからCDが何枚か出ているだけで、あとは何にも遺(のこ)っていない。 「芸は消えるからいい」、と云うのは志ん朝のことばである。 |
|
Copyright(c) 2004-2005 Yamada,K All Rights Reserved