日常茶飯

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#26 
目次

古武術

 春眠暁を覚えず。 いやそうではなくて、朝だけでなく夜も眠い。 眠くて眠くて堪(たま)らない。 内田百閒は、「さあ忙しくなつたから早く寝よう」と書いている。 「惰眠の標本のように思われるかも知れないが、 私は忙しくて忙しくて堪らないから寝てゐるのである」と。 この矛盾する感情はわからなくもない。
 ゆうべは眠いので早く寝ようとしたら、11時過ぎの番組「課外授業ようこそ先輩」に古武術家の甲野善紀(こうのよしのり) さんが出ていたので思わず見てしまい、その後も暫く起きていた。 だから今朝も眠くて堪らなかった。
 甲野さんをテレビで見るのは初めてだったが、 確か巨人軍の桑田真澄投手が甲野さんの指導を受けて、 捻(ねじ)らない・うねらない・タメないと云う投法にフォームを変えて復活を遂げたことで話題になって、 よく雑誌などで見かけるようになった。 日本古来の動き方、ナンバ歩きやナンバ走りは体を捻らず無駄のないエネルギー効率が良い動きと云うから、 何年か前に甲野さんの本を読んで見よう見まねで真似してみたが、 どうも上手く行かなかった。 歩くときに手を振らない、あるいは手と足を一緒に同方向に動かすだけはないようで、 もっと体全体の動きの要素を持った難しいものらしい。
 前に読んだ甲野さんの『古武術の発見』の中で身体技法について、こう云うのがあった。 斬りかかってくる相手の刀を躱(かわ)すためには、床を蹴って身体を移動しようとする。 早く移動すればするほど、床を強く蹴らなければならない。 そして、強く蹴ると云うことは、足がその場を離れるまでその蹴った場に強く拘束されることになる。
 つまり、早くその場を離れなければいけないのに、その場に居続けなければならない、と云うジレンマが生じる。 この状態を脱するには、地面や床などを蹴らずに、立っていることをやめて倒れる力を使うしかありません、と。
'05年04月14日

動画ニュース

 日経新聞のホームページにある日経ブロードバンドニュースは、一日を3分に纏(まと)めた動画ニュースである。 以前はよく見ていた。 それが去年のいつ頃からか、ブラウザを Netscape から Mozilla に変えて見ることが出来なくなった。 動画配信にマイクロソフトの ActiveXコントロールを使っていた為で、 これは物騒なものを仕組めるので、Mozilla はこのプラグインをサポートしていない。 尤(もっと)も Internet Explorer(IE)で見ることは出来るが、 わざわざ起動するのが億劫(おっくう)で段々と見なくなった。
 ところが、たぶんこの4月からだろうが 日経ブロードバンドニュースが Mozilla でも見ることが出来るようになっている。 漸(ようや)く日経も一部のシステムにしか対応しない ActiveX を止めたのだ。 替わって動画の再生に使っているのがFLASHプレイヤーである。 これで、IE を使うのはWindows Update のときだけになった。
 お話変わって、マイクロソフトの今月のセキュリティ修正プログラム(パッチ)が13日に公開される。 IT Pro の8日の記事によると全部で8件あって、その半分以上が「緊急」だと云う。 また同じ記事に、Windows XP SP2を無効にするツールの期限も13日に切れるので、 同ツールを使っている環境では注意が必要だとあった。 何だか知らないけれど複雑なことをやっているなあ。
'05年04月11日

砂書帖 ・ 春陽気

 ▼ 久かたの光のどけき春の日に、どすんどすんと云う響きに目が覚めた。 ゆうべは遅かったので今朝は遅くまで寝ているつもりだったが、 近所の近くで普請中。その工事の音で目が覚めた。

 ▼ 先日来からつづいている陽気。 桜は数日前にあっという間に満開し、近所にある川の両岸の土手の桜並木は、 花がパチクリと咲き乱れていた。 今日はばかに暖かい。 電車の中は冷房が入っていたし百貨店の中も涼しかった。

 ▼ デジカメのバッテリーを充電したら、満充電したときの残量時間が以前より多く表示されていた。 暖かくなったからなのか知らないが、どうでもいい。

桜満開
'05年04月10日

味覚

 青汁はケールの葉のジュースだそうで、コマーシャルの悪役俳優がまずーうぃ、もう一杯、 と云いだして流行ったと記憶する。 不味(まず)いと云うから飲んだことはないし、 不味いが健康に良いと暗示するのが気に食わなかった。
 去年だったか忘れたが、ケールに果物と野菜をブレンドした市販のジュースを飲んでみた。 妙にクセのある味がしたので、これがケールの味かと思った。 日をおいてまた飲んでみると、 今度はクセがあると云うより味にアクセントがあって寧ろ美味しい気がする。 味覚なんで何とも怪しいものである。
 コーヒーはもともと好きだったが、この2年ほど飲んでいない。 理由があるのではなく、ただ何となく飲まなくなった。 それが最近、時々飲むようになった。 碾いた豆にお湯を注ぐ時のコーヒーの香りが新鮮で、毎日飲んでいた頃にはなかった味わいがある。 感覚とは麻痺するのかなと思ってみるが、 料理屋の味が落ちたのを目ざとく嗅ぎわけるのも同じ味覚であるのは不思議である。
'05年04月09日

対論

 戯れに、読書の秋なんてのは嘘で本当は読書の春なのだと云う屁理屈を書いた覚えがある。
 と云うわけで、本屋でジャンルの違う本ばかり難しそうなのから笑えるものまで何冊か買ってきた。 そのひとつ、ちくまプリマー新書の『世にも美しい数学入門』は、小説家の小川洋子さんが数学者の 藤原正彦さんに数学の素朴な質問を投げかける対論である。異色な組み合わせのようだが、 小川さんは小説『博士の愛した数式』のために取材した数学者が藤原さんだったと云う。
 尤も私はおふたりの読者ではなかった。 エッセイストでもある藤原正彦さんの著書は、 学生のときに新潮文庫の『若き数学者のアメリカ』を読んだことがあるが、それだけである。 アキレスと亀のパラドックスの話があったと思う。 その時分まわりに『若き数学者』の熱心な読者が何人もいたが、 数学とは無縁の英文学をやっているような人の方が多かったと記憶する。 ただし、雑誌や新聞にエッセイが載っていて読むことはあった。 このタヌキ顔の先生は何故か数学とは無縁のことばかり書いているなと思った。 一、二年前ある雑誌に載ったエッセイは、ネットの対戦将棋に家族で興じる話で、 下手な将棋指しでもネット対戦なら勝てる方法があると云うものだった。 また雑誌か新聞だったか忘れたが、国語教育についての持論は読んで面白かった。
 以前、新聞の文化欄に小川洋子さんの一文が載っていた。 小川さんの生まれ故郷は岡山市で、それは内田百閒の生家、造り酒屋の志保屋があった近くだそうだ。 その縁で小川さんは内田百閒文学賞の選考委員だそうで、 選考会の楽しみのひとつは岡山名物の大手饅頭のお土産だと云う内容だった。 『世にも美しい数学入門』のイラストは南伸坊さんで、これがいい(下の絵)。

世にも美しい数学入門
'05年04月08日

砂書帖 ・ スパイウェア

 ▼ セキュリティ対策ソフトが珍しくスパイウェアを検出したので迷わず駆除した。 後でこのスパイウェアの詳細情報をオンラインで見ると、 インターネット閲覧を監視しユーザが閲覧したWebページに関連する広告を表示するのだそうだ。 どうやら最近インストールしたソフトが仕組んだらしく、 心当たりがないでもないがそれを突き止めるのも億劫で、駆除したのだからそれでよしとした。

 ▼ それにしても、セキュリティ対策ソフトの解説は意味不明である。 「不正プログラムとは断定できないグレーゾーンのプログラム」と云ったあとで、 「不正プログラムではありませんので検出されても特に対応の必要はありません。 このソフトウェアを意識的に使用しているなどで検出させたくない場合には製品の スパイウェア検出機能をオフにするなどしてご使用ください」とある。 検出しておきながら養護して、挙げ句の果てには検出機能を切ってくれとはどう云う料簡か。 「このソフトウェアを意識的に使用」の、「この」が分らない。

 ▼ 以前はソフトをインストールする前にそのファイルのウィルスチェックをしていたが、 今後はインストールの前と後でスパイウェアの検索をすべきかな。
'05年04月07日

さくら

 今年は桜の開花が遅く、ソメイヨシノの開花は東京が3月31日で去年より13日遅かった。 大阪は4月3日で、気象庁によると1989年以降で最も遅い記録だそうだ。 桜の開花は春物衣料の売り上げに影響するそうで、お店の人たちはやきもきしていたと云う。
桜(その一)
 唱歌「さくら」にあるように、矢張り桜は3月に咲いてくれないと調子が悪い。

   さくら さくら
   弥生(やよい)の空は 見渡すかぎり
   霞か雲か 匂(にお)いぞ出(い)ずる
   いざや いざや 見にゆかん

 この作詞者未詳の唱歌はもともと箏曲(そうきょく)だったもので、 プッチーニの「蝶々夫人」の第一幕にも使われている。 きょうは久々の写真付きなのだ。

桜(その二)
'05年04月05日

砂書帖 ・ PDFファイル

 ▼ Adobe Acrobat/Adobe Reader に2種類のセキュリティ・ホールが見つかり、 そのパッチ(修正プログラム)が公開された。 なんだか知らないけれどパッチを当てた。
 以前はソフトのバージョンアップは、1年に一回決めた時期に一度きに纏めてやっていた。 去年あたりから修正プログラムと云えばセキュリティ・ホールに関するものばかりなので、 その都度パッチを当てるようになった。 去年からはブロードバンドなので時間は掛からない。 パッチを公開しましたと云うから、 そうかい、 とダウンロードしてパッチを当てるが、なんにも嬉しくないのである。

 ▼ Adobe Acrobat/Adobe Reader のPDFファイルは良くできたソフトである。 ところが Webページの代用みたいに利用するのは困る。 官庁などに多く、リンクは全てPDFファイルだらけと云うのは珍しくない。
 HTMLファイルでページを作ればいいものをサボって代用するから、 うっかりリンクをクリックして Adobe Reader が起動するのは嫌なものである。 だから今では環境設定で、項目「PDFをブラウザに表示」のチェックを外している。
'05年04月04日

氷川清話

 家のなかの古い雑誌などを整理処分していたら、 ずいぶん前に読んだ本なども一緒に出て来た。 F.L.アレンの『オンリー・イエスタデイ』(ちくま文庫)なんてのが出て来たりする。 1920年代アメリカのクロニクルで、この年代アメリカで世界最初の大衆消費社会が登場した。 大量生産されたT型フォードの登場でクルマは金持ちの玩具から大衆のもになり、 映画はサイレントからトーキーに切り替わってハリウッドの全盛期が始まった。 「ジャズ・エイジ」とも「激動の20年代」とも呼ばれた黄金の10年間 。 そして1929年の暗黒の木曜日を迎える。 世界大恐慌の始まりであった。
 おっと、こっちの方へ進む気はないので話を戻して、出て来た本にこんなのもあった。 『氷川清話』(ひかわせいわ)。 晩年の勝海舟の語録で、明治30年から31年に赤坂氷川町、氷川神社の傍らの勝邸において、 弟子やファンともいうべき人びとが、勝海舟の回顧談を筆録したものだとされている。 幕末生まれの江戸っ子の話しぶり、自慢話が随所に現れて面白かった。
 勝海舟といえば小学校の社会科の教科書に載っていた、 江戸城の無血開城のときに勝と西郷隆盛が対座している挿絵を思い出す。 子供の時分の不思議に、江戸城を明け渡した勝を裏切り者と憎んだ者は徳川方に多くいただろうに、 よく明治維新後まで無事でいたなと云う疑問であった。 勝海舟が没したのは明治32年(享年76)。 その疑問は『氷川清話』で氷解したような気がした。
 長州征伐だったか、長州兵は紙屑(くず)拾いの格好でやって来た、と云った表現をしたり (いま繰ってみるとそのヵ所を見つけることが出来なかった)、 古今の人物評や文芸批評など色々と喋っている。 ライバルだった小栗上野介については、もうその必要はないせいか、余り悪くは云っていない。
 明け渡した後の江戸を西郷に「何もかも勝さんがご承知だから、宜しくお願い申す」 と頼まれその気になる。 「しょうがないからどうかこうか手をつけかけたところが、大村益次郎などという男がおれを憎んで、 兵隊なんか差し向けてひどくいじめるので、あまりばかばかしいから家へ引っ込んで、 それなり打っちゃっておいた。 すると大久保利通がきて、ぜひぜひとねんごろに頼むものだから、それではとて、 おれもいよいよ本気に肩を入れるようになったのだ」。
'05年04月03日

用心棒日月抄

 NHKの金曜時代劇「柳生十兵衛七番勝負」は久々のチャンバラ劇で、その一回目を見た。 演出はけっこう渋くて、殺陣(たて)もよかった。 なかなか面白かった。 主演の村上弘明、以前は大河ドラマで将軍綱吉の側用人(そばようにん)柳沢吉保を演(や)っていたが、 ああ云う権謀術数よりも、矢っ張り斬り合いが似合っている。 10年ぐらい前だったか「腕におぼえあり」では本当にカッコよかった。
 原作の津本陽さん自身は居合いの名人で、剣豪小説は面白いのだけど、 せっかく津本さん原作なら柳生十兵衛よりも柳生兵庫助の方が良いんだが、 チャンバラ劇となると十兵衛になってしまうのだろう。 宗矩と十兵衛が一般には知名度は上だろうが、偉いのは兵庫助なんだけどなあ。
 以前の村上弘明主演、金曜時代劇「腕におぼえあり」の原作は、 藤沢周平の『用心棒日月抄』から始まる用心棒シリーズである。 実は藤沢周平の小説をはじめて読んだのが『用心棒日月抄』(新潮文庫)だった。 この作家の小説は何か暗い感じがして、近づくのがこわい印象があった。 ところが、用心棒を読むと実に面白い。 それからシリーズの『孤剣』、『刺客』、『凶刃』を一気に読んだ。 これが藤沢ファンになる切っ掛けだった。 藤沢周平の魅力は、まず物語上手の物語作家であること、言葉のみずみずしさ その文体の端正さにある。
 藤沢周平の初期の作品は本当に暗かったそうだ。 その作風ががらりと変わったのは『用心棒日月抄』で、 それは歴然としたものだったと云う。 藤沢周平の小説との出会いは幸運だったと思う。 今も初期の小説は近づきがたい。
'05年04月01日

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