Last Up Date 2003.05.01          

日記を物語る 2003年04月INDEXホームに戻る             


04月28日(月曜日)

快晴。終日、明治大学で仕事。「国語」は先週の文学史のテストを返して、5/20以下の人は、五島美術館でのレポート、トップグループの人には出席猶予券を進呈する。「論文演習」は「自分史を書く」。情報実習室のパソコンがすべて最新鋭の機種になっていました。ホームページからのコピー+ペースト、文字修飾、背景の変更など基本操作の出来る人、全くダメな人、それぞれに応じたアドバイスを。それにしても、各実習室は固定カメラからWEB上で混み具合が確認できることになっていることを紹介すると、さすがに驚きの歓声が上がっていました。みな楽しそうに作文していたので、次回、各自のレポートを楽しみにしています。

04月29日(火曜日)

年度始めのせいか、疲労の蓄積甚だしくみどりの日なる今日の休日はありがたい。頭も敢えて使わぬことも必要か。

04月30日(水曜日) Special Thanks 124,000 Hits

NHKの「よみがえる国宝源氏物語絵巻」を見る。昨年放送されたものの続編の趣ですが、久しぶりにお元気そうな徳川先生も拝見できました。また僕にとって長い間疑問であった『長秋記』の『源氏絵』調進の記事に見える「源氏絵間紙」については「げんじえまし」と読んでいました。解説では『源氏絵』のための料紙調進として紹介されていましたが、秋山光和先生『源氏物語 紙の宴』(書肆フローラ.2002)によると「絵と絵の間の詞書」説。誰の説なんでしょう。僕は「間紙=麻紙」だと思っていたので、それでよいのですが、まだどこにも書いていないし、誰かお教え下さい。


04月01日(火曜日)

夜、何気なくテレビを見ていたら、大韓航空機爆破事件の犯人は、工作員から、僕の関係している学校の家政学科出身の日本人に偽装せよと言う指示を受けていたことを知る。若干学校名が不正確でしたが、当時の関係者はさぞ慌てふためいたことでしょう。これも有名税とは言いながら、今年のエープリル・フールも終わりました。

宮内庁の正倉院宝物がウェブ上で公開されたのでさっそくチェック。画像が貴重ですね。

04月02日(水曜日)

秋山虔・三田村雅子両氏の対談集『源氏物語を読み解く』(小学館.2003.03/\1600)をおふたりから頂戴して恐縮しました。世代的にも二十数年の隔たりを経ているおふたりから展開・開陳される『源氏物語』観、文学観を大いに勉強したいもの。何より、研究史の要諦を押さえた上での鼎談となっているため、読者自身の研究史観を是正することにも有効かと思います。萬謝。みなさんも是非御高架をお願いします。

04月03日(木曜日)

春休みもボチボチ終わり。桜が満開でドライブにでも行きたくなりますが、スポーツクラブの行き帰りに通過する、朝霞自衛隊通りと大泉公園の並木通りで気分だけ味わっておくことにしましょう。昨年、古典の会の帰りに買ってきた、鉢植えの桃の木の花が一斉に芽吹きはじめました。春ですね。

04月04日(金曜日) Special Thanks 122,000 Hits

渋谷で進路講話の春の研修会。各高校の進路担当の先生から寄せられた苦情に、「某大学の担当者は元校長らしいが、大学とどういう関係があるのか。ああいう人物を大学の代表に据えて送ってくる大学の…」という厳しい指摘もありました。この学校は僕も同時並行で話していたところでしたが、他校でも年輩の担当者とお会いして違和感を覚えたこともありました。なかには模擬講義を依頼したのに、受験シーズンを理由に職員を派遣して学校の説明に終始しただけの短大もあるらしい。。。ほんとうに高校生の関心を呼ぶ気があるのでしょうか。高校側は、大学の、出来るだけ偉い(著名な)教授に来て欲しいのだと言うことがよく分かりました。休憩を挟んで、講師ひとりひとりが、各自、講話に際しての事例を紹介しながらロールプレーイングを。僕は携帯電話が通じないところもあるので、テレフォンカードを複数枚持ちましょうと言うことと、事前に高校側進路状況の研究、情報量の少ない地方私立短大の情報収集の方法について。なかには、昨年までは大学の広報担当者からこちらに転身した先生もいたり、コンツェルン系企業の顧問の先生もいたりしましたが、制限時間を大幅に超えたりして、企画室長から厳しい批評が飛ぶこともしばしば。確かに、会議や部活の指導などの校務を控える高校の現場では、異邦人(=ヘンなオヤジ)の長い長い自己語りこそ御法度ですからね。

夕方は、慶応で『小右記』の会。長元元年六月条。たくさんのメンバーが見えて知見もまたまた増えたし、充実した会となりました。黒板先生から、永井路子先生の記念館が古河に出来るというお話。開館とともにみなで旅行なんていうのもいいですね。帰宅すると、科研の報告書「日本古典文学における偽書の研究(研究代表者・千本英史氏)」を頂戴していました。深澤徹さんの論文は『松浦宮』に関するものなので、近日、文献リストに加えます。本日これまで。

04月05日(土曜日)

所沢の松井公民館で古典に親しむ会『源氏物語』「胡蝶」巻。玉鬘と光源氏のあやしげな関係から繰り出される会話をうまく訳すのはほんとうにむつかしいもの。

04月06日(日曜日)

夕方、スポーツジムに行った他は自宅で過ごす。

04月07日(月曜日)

快晴。自宅の近くが公園として整備されつつあり、急な傾斜の壁面から水が湧き出ているのを、江戸時代には《妙音沢》と呼んできたらしい。そこに弁天様が舞い降りてきて琵琶を教えたのだそうで、『うつほ物語』や『寝覚』のバァリアントがこんな近くにもあったことになります。黒目川べりの桜並木がうつくしく、川には自転車でやってきた小学生四人が、歓声をあげながら水遊びしたりスケッチしたり。親子三代で散歩の御一行もいたりして、のどかな光景が繰り広げられていました。

04月08日(火曜日)

快晴から午後には雨模様に変わる。関越自動車道で帰省。下仁田で降りて内山峠を廻るとまだ残雪がありました。聞けば、この間降ったばかりのよう。季節の風景は約一月後戻りする感じですね。

04月09日(水曜日)

のんびりと近くの温泉へ。平日で人もまばら。眼前に拡がる大地は、春の胎動に充ちていました。帰りに寄った本屋さんには、鉄腕アトム関連の本が並んでいました。アトムと言えば、『懐風藻』の諸本研究が本来の専門である、大学の先輩・沖光正さんの、『鉄腕アトム解体新書決定版』(廣済堂出版 2003/04 \1,300)、『鉄腕アトム大事典』(光文社知恵の森文庫、2003/03 \1,238 これは晶文社版もあり)。諸本研究に傾注される学問同様、こちらの情報収集も、もちろん万全です。

04月10日(木曜日)

明日からの講義に備えて明治大学のページを更新。金曜日は前期だけで16週あります。僕が院生時代、休講・遅刻が極端に多い先生が居て、これに怒った後輩から、毎週の遅刻時間・休講日時のメモを見せられたことがあります。僕の記憶によると、平均して毎週25分遅刻、年間で15回程度の講義実施であったかと思います。今年の金曜日なら前期分だけで年間予定が消化されたということ。当然、院生にもこのサボタージュが感染しており、僕は直接「このゼミはサボタージュが蔓延している!」と直言。でもダメなので諦めました。かくして何年かおきに院生の不満が爆発していた模様ですが、いっぽう僕の指導教授と言えば、年間通じて休講は一切なく、始業と同時に出席を取り始めるという勤勉さ。青春時代に戦争を体験して、生きること、今ある時間を大切にしたいと仰っていたことを思い起こしつつ、明日からの始業に臨みます。

04月11日(金曜日)

明治大学がスタート。ただし、「論文演習」は選択必修により、一週間の履修予備期間があるため、実質は来週からということになります。散り始めた桜の舞う中庭で期末試験の時に撮った写真を頂戴しました。ありがとうこざいます。こちらも僕のは履修検討中だが、一時限というのは…というところだそうです。

04月12日(土曜日)

雨。明日はひさしぶりの琴のレッスンのため、MDを聴きながら楽譜とにらめっこ。湿気もあって絃はよい音を奏でています。

04月13日(日曜日)

上海から戻られた余明先生のスタジオ。「梅花三弄」の一節でどうしても運指が追いつかないパートが見つかると、「二十回連続してパーフェクトに出来るまで帰さないよ。唄いながら弾き続けて。。 m__(! !)n´´ 」という猛特訓。久しぶりのマゾヒステックな恍惚感に溺れそうになる(冗談)。。。先生の次回来日は五月下旬とのこと。移動して伏見靖先生の琴会へ。絹絃の柔らかい音がまだ耳裏に遺っています。先生ともお話しできて充実した琴楽三昧の一日となりました。

04月14日(月曜日)

明治大学。「国語」はまず進め方や約束事、そして自己紹介。最初は緊張していますが、リラックスしている人の話は楽しく、緊張している人の話はなんだかハラハラ。地方から出てきた人ほど緊張度が高いような感じがします。「論文演習」はこちらもとりあえず初回に参加してみて、という人も居たり、昨年からの流れで来てくれている人もいたり。何はともあれ、今年も始まりました。

04月15日(火曜日)

またまた雨の一日。新学期の書類もきちんと整理しておかないといけませんね。情報系のニックネーム・パスワードの更新書類も昨日は忘れていってしまったから。そろそろ次の締め切りも気になり出しました。執筆マニュアルは机上の目に付くところ、これは基本でしょう。

04月16日(水曜日)

快晴。本当なら逗子市内の高校に出向く予定でしたが、生徒の希望調査で短大希望のコーナーが消滅したためキャンセル。撫諒を琴で慰めつつ過ごす。すると、近所の奥さんから目の前の空き地(本来は人の土地だが、火事の出火元のため放置されている)の整備を手伝えとのお達し。ご近所とのコミュニケーションも大切。

青山学院女子短期大学のページを更新。三年ぶりに担当の古典演習、先日出かけた図書館で、履修してくれると声をかけてくれた人が居ましたが、とても楽しみになってきました。

04月17日(木曜日) Special Thanks 123,000 Hits

先週、何気なくテレビを見てからまた見ようと言う気になったのは、あなたの人生お運びします。70年代の大阪が舞台で、ファッションや流れてくる音楽が、青春時代の夢と希望を思い出させてくれるような気がするからです。

04月18日(金曜日)

快晴。明治大学青山学院女子短期大学ともにスタート。和泉も渋谷も緑のまぶしい季節となりました。青山の古典演習には二十余名の二年生が集まってくれたので、さっそく発表の順番を決めました。出席表の自己ピーアールを見ると楽しい学生生活のようで何よりでした。古典講読は一年生。早くもお香と琴に興味を示して質問責めに会う。概説の後、桐壺物語を終え、夕顔の物語のクライマックスでビデオも時間切れ。ふっと一斉にため息が漏れるほどの集中力に圧倒されました。来週も乞うご期待です。

04月19日(土曜日)

東大の駒場に初めて入り、物語研究会へ。教室には50名近くの出席者があり、超満員すし詰め状態の中、関根さんの『伊勢』と中村さんの『源氏』の報告に耳を傾ける。何より初めて見えた方が 1/3 近くを占めており、その昔、自分が来たときのことを思い起こしました。二次会では関根さんから「日本文学」四月号の、呉哲男さんとのやりとりを例に、「上原、お前は物知りだ。でも物知りだけで終わってイイのか」と厳しい一言を頂戴しました。

04月20日(日曜日)

終日小雨のそぼ降る一日。昨日、参加者に配られた、「物語研究会会報」(12/1981.08)と『物語研究』(03/2003.03)とを読み比べる。既に20余年も前から会員の条件である「若き研究者の集団」であることと、実態の齟齬に関する言及が見られることに驚く。若き息吹に満ちたタイプ印刷の冊子と、執筆者が三人のみ被るだけの若きエネルギーに満ちた機関誌とを読み比べてみました。

04月21日(月曜日)

明治大学。「国語」は文学史のテスト。出来がひどいので、かなりの人にレポートを課すことになりそう。。。満点の人には出席猶予券(一回分)を進呈する予定。留学生に声をかけると「話し方が早い」のと「崩し字が読めない」とのことでした。「論文演習」は日本語の成り立ち。テキストがないと困ります。

04月22日(火曜日)

気になっていた伍芳さんのニューアルバム「心声」を買ってきました。池袋西武、パルコと回って、東武でようやく見つけることが出来ました。フィーリングミュージックのブームと言いながら、対応はお粗末なもの。そんなストレスも一気に癒される古箏の音色です。

04月23日(水曜日)

本来なら、新潟へ飛んで講話の予定でしたが、30分の講話に来ていただくのは申し訳ないという、指導主事の先生の配慮でキャンセル(駅弁食べたかったなぁ。。。。)そこで、上野の東京国立博物館で西本願寺展へ。お目当てはもちろん、『三十六人集』。昨年、『源氏研究』で、田中親美翁模写の複製本を使わせていただきましたが、模写と実物とは微妙に書写が異なることがよく分かりました。それにしても料紙のあでやかなこと。長い間、存在を知られずに眠っていたこともあるのでしょうが、保存状態も良好のようですね。石山切で建築資金を捻出したという武蔵野大学(旧・女子宗教学校)が羨ましい。

帰宅すると、編集のお三方から『源氏研究』第8号翰林書房を頂戴しました。さっそく、神田さんの『うつほ物語』論、吉野さんのブックガイド、林望先生との鼎談などから拝読しました。詳しい紹介はまた後日に。いつもながらの学恩に感謝のことばを。

04月24日(木曜日)

神奈川県平塚市に出没。二年生の「ゆとりの時間」に進路の動機付けのためのお話を正味45分で。先日、放映された、えなりかずきの大学受験の話を枕にしました。推薦を断り、敢えて一般受験にこだわる彼の生き方に頭が下がります。しかも来年再チャレンジとなればなおさらのこと。教頭先生が僕の話を聞いてくださり、大変喜んで下さいました。僕も満足です。

04月25日(金曜日)

明治大学「論文演習」はこちらも始動、情報実習室を確保したり、ビデオの購入希望を出したりして忙しく動き回る。移動して青山学院女子短期大学は教職員食堂でひと休み。「古典演習」はリクルートスーツも目立ちますが、研究テーマを探しつつ物語を考える時間。「古典講読」は第一部前半の概説まで。さらに雨の中、六本木のテレビ朝日、芝の東京タワーを横目に慶応へ。『小右記』をじっくりと読み、あっと言う間に時が過ぎてゆきました。

04月26日(土曜日)

白百合で『浜松中納言物語』を読む。注釈の電子テキストが揃っていなかった部分も埋まり、巻一は年度内にケリをつけたいもの。

04月27日(日曜日)

今日は『元輔集』の注釈三首。本当に勉強したという充実感が残りますね。


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