ベレゾフスキーの弾く、ラフマニノフの2番

1月31日 東京交響楽団定期演奏会 サントリー


(箸椅子---チョイスにて)

デデ: (びーるを飲みつつ)ぷは〜 (=^^=)
いやあ、演奏会の終演が遅くなると、地下鉄も本数が減って、なんだかえらく不便ですニャー。

CoCo: ぷは〜 (=^^=)
そうですニャ。それに、電車が混んでたし、蒸し暑くて・・・たまらんですニャ。

ガンバ: でも、今日は不思議と疲れを感じないんだわさ。いつも音楽会に行く前って、何となく面倒なような、「どうせたいしたことないよ」って気分になっちゃうんだけど、そういうときに、超弩級の演奏に巡り逢うと、疲れが吹っ飛ぶのよね。

ブチッケ: まさに今日がそれでしたニャ。え〜と、音楽の小部屋のアーカイブを調べてみたら、前回ベレゾフスキーを聞いたのは99年の夏だったということで、3年ぶりってことですニャ。

CoCo: あの時の印象はイマイチ鮮明じゃないんだけど、今回はロシア正統派ピアニストの最後の一人ってところを、見せてくれたね。ラフマニノフの2番というと、「逢い引き」に使われて、甘ったるい映画音楽っていうイメージが染みついちゃっているんだけど、どうしてどうして、今晩の演奏はそういった、そういった通俗的イメージを根底から覆して、作品自体の面白さを満喫させてくれましたニャ。

ガンバ: はいな。冒頭のゆったりとした和音の連打からして、音に色気があるというのか、深みがあるというのか、ああ、やっぱり、ラフマニノフはハリウッドの作曲家じゃなくて、ロシアの作曲家だったんだってところを、聞かせてくれたわねぇ。ただいま売り出し中(?)の飯森範親という指揮者も、そこらへん了解していたみたいで、厚ぼったいムード音楽にはせずに、見通しのいい、引き締まった音をオケから引き出していたんじゃない。

デデ: うん。今日はオケもなかなか透明な音で、締まっておりましたニャー。ベレゾフスキーはというと、この人、曲によって出来不出来のムラがあるピアニストなんだけど、さすがにお国ものというところでしょうか。決め所がわかっている。音色のパレットもすごく豊富だよね。冒頭では教会の鐘の音を思い起こさせるような、深い低音の響きを聞かせ、しなやかに歌う中音域のメロディーに移行し、ここぞというところでは硬質で粒立ちがくっきりとした最高音域を聞かせてくれる。しかも、無意味に叩くわけじゃないから、絶対に音が汚くならない。

ブチッケ: 第2楽章の中間部あたりからのタッチの弾きわけはみごとでしたでげす。高音部でスコーンと通る二重トリルを聞かせた後の、猛烈な走句を一転して柔らかなタッチでやってみたり、しかも、アクセントの位置がきちっと決まってるんで、柔らかい音色だけども音楽の型が崩れない。

デデ: あそこらへんは、ちょっとだけど、往年のチェルカスキーを彷彿とさせる所がありましたニャ。人間が弾いているんだけど、音楽そのものになりきっている。カント風に言えば、物自体になっちゃっている感じ。

ガンバ: 神が降臨した瞬間ね。あれで、もうちょっと自在に時間感覚を操るすべがわかってくると、チェルカスキーやホロヴィッツの域に達するかもね。

CoCo: 確かに、「俺の演奏を黙って聞け」というタイプじゃなくて、聴衆の息づかいを感じて、それを音に反映させるというのか、俗に言えば「乗っていく」というのか、そういったタイプのピアニストだと思うんだけど、その感覚に磨きをかけていくと、もっと面白い演奏ができそうな人だよね。まあ、とにかく、今日はなかなかの名演だったと言ってよろしいんじゃないかな。

ガンバ: うんうん。定期演奏会なのに、ノリノリになっちゃって、とうとう「練習番号38番からもう一度」アンコールしちゃたよね。ところでベレゾフスキーというと90年のチャイコフスキー・コンクールで優勝したとき、NHKがちょこっと追っかけていたのを思い出すんだけど、当時確か、20歳ぐらいで、同棲していて、彼女のお腹が大きくてとかなんとか、「だから絶対に優勝して賞金をもらわなくちゃならないんだ」みたいなことを、出番の前に言ってたわね。まあ言ってみれば、ハングリー精神の固まりみたいな状態だったわけよね。あれからどうなったのかなぁ。

デデ: え〜と、日本でも何度か見かけました。来日中は時間があればあっちこっちの演奏会をのぞいているみたい。たいてい一番安い席で、ヨレヨレの服を着て、休憩時間には黙々とタバコをふかしておりますニャー。何となく孤独感がありますです、はい。



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