2018.8/1(水) 213 | 201,072
10日目【胆嚢久】
6時に麻酔医の回診があって驚く。早っ。当直だったのかしら。6時半採血。7時36.9℃。指の血流酸素量測定器が外された。疼痛でも痛いもんは痛い。ここで折れて鎮痛剤を所望いや懇願する。軽い空咳でも腹筋に激痛が走り,痰を切るような咳が怖くてできない。
7時半にようやく痛み止めの点滴が追加されておれは救済を待った。ベッド上でうがいをさせてもらう。血痰を吐き,腹筋に激痛を呼ぶ。痛み止めがあんまり効かないのである。この時刻からリハビリ開始で,ベッドのヘッドアップ機能でマットレスの上半身部分をめいっぱい起こし,おれの体を座椅子に寄りかかったようにして頭を上げた状態に慣れさせる。楽ちんに見えて腹がめっちゃめちゃ痛い。
8時半に朝の投薬が再開(血液抗凝固剤除く)。肝臓のクスリ(肝障害軽減・胆汁分泌促進・胆石溶解などなど。朝昼晩1錠づつ)が増えた。
9時半にホルターを外す。両脚のパッドマッサージが終了,代わりに圧力ソックスを履く。
ここで尿道カテーテルもおしまい。尿カテはいったん挿れられちゃったら退院間際まで入ってたほうが便利なんだけどなー。とズボラなことを考えていたら天罰覿面,看護婦さんがシーツの汚れを気にしながらだったか4段階に分けてじわりじわりと引き抜いたもんだから,そのたびに尿道にビリビリと刺戟が爆走しておれは痛てててててといつもの4倍泣くことになった。つはー。
誰か性的快感を生じるような尿カテの抜き方を研究している人は居ないのだろうか。成果を全国の病院に啓蒙していただきたい。
尿カテまで抜かれたのはレントゲンの撮影があるからだった。本来おれが歩いていくのがリハビリ課程なのであろうが痛みでしょぼくれているので車椅子を出してもらう。それでも立って胸部1・腰部1,寝て腰部1の3枚を撮るのに姿勢が大きく変わるから休みやすみでないと動けず,撮影室でえらい時間を費やした。
11時左腕のルートで点滴再開。きのう設置したばかりの右手甲の点滴ルートは手首に近くて,おれが手を突いたときに針がずれて血管を破ってしまい,あえなく撤去。
体を起こしておれにも腹のよっつの穿孔痕が見えるようになった。どういう配置かと言うと,まづは臍。
臍! きのう臍を洗浄したのは傷に近い不潔な場所をきれいにしておきましょうという環境保全なのではなく,ずばりそこから進入するためであった。そう言えば臍は腹膜にいちばん近いのであったな。実際ヘソがメインで最も大きく開口する穴なのだそうである。
そして臍と同じ高さで右の脇腹へ線分を出してほとんど真横まで行った所。それから臍の真上の鳩尾部分。この3点で直角三角形ができますナ。んで,鳩尾と脇腹を結んだ長辺を二等分する点が第4の孔である。説明しやすく乱暴に述べるとこんな感じ。どの孔がどう使われるのかは知りませんがな。
昼食再開。三分粥・吸物・炒め玉子・マッシュポテトのクリーム掛け。マッシュポテトがアイスクリームに見えてまた糠喜びさせられた。吸物と玉子だけ何とか片づけられた。
12時半クスリ(肝臓の)。点滴に痛み止めを足してもらう。痛み止めは1時間の少量な点滴で,6時間あいだを空けないといけなくて連用できないのだ。
午後はリハビリタイムで,体を起こしてなるべく歩きまわることになっている。しかし痛み止めのせいで眠くてしようがないぜ。
14時P。尿道がビリビリと痛んでしかも後を引く。つはー。
歩行訓練と称してDルームまで無料サーバの焙じ茶を貰いに往復する。腹筋が痛くて非常にスローモーにしか歩けない。顔を上げて姿勢を正しくキープする。中腰が更につらく,床に落ちた物を拾うのに屈むともっとキツい。お茶を飲みきったらまた貰いに歩こう。
16時半,ふと思い立ってDルームに長居をし,漱石の猫を読みながら腕時計の太陽電池パネルを陽に炙ることにした。小一時間ねばってからP。尿道ビリビリ。37.6℃。
夕食。三分粥・具なし味噌汁・はんぺんペースト・青菜ペースト・オレンジソースのプリン。練り物や青菜がスプンで啜るようなペーストになっている。
19時クスリ。20時半歯磨き。P。クスリ。21時血痰。
横になると喘鳴が出,軽く咳こんだだけでズガンと傷に響き,しかも痰は切れない。横になるまでに徐じょに姿勢を変えていく過程が激痛の連続で,痛みになじむためにいちいち止まるからたいへんな時間が掛かる。いちばんラクな体勢を探して寝返りを打ってみるにも痛みと折り合いつつの持久戦である。けっきょく起きてるほうが痛くないという休まらない結果が出た。
22時痛み止めの点滴。これは効くのだが,1時間かそこらで元の黙阿弥的な,ほんとに一時凌ぎなものなのだ。
26時P。まだビリビリする。耳栓装着。