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被写体を見付けやすい行動方法

基本は、被写体への遭遇確率の向上

 被写体の上手な見付け方をマスターしても、それだけは不十分です。数多く見付けるためには、より多くの被写体候補と遭遇する必要があります。つまり、被写体となる可能性が高そうな対象に、できるだけ多く遭遇するように、行動を工夫するわけです。

 その工夫は、当然ながら撮影時に使います。撮影しながら歩いたり覗いたりする行動方法なのです。主なものを紹介しましょう。

ジグザグに歩きながら、要所で360度回転

 まずは、撮影時の歩き方からです。通常は、道に沿って歩きながら、ときどき周囲を見渡すでしょう。このような歩き方にも工夫が可能です。

 道幅が少し広い道路を考えてみましょう。被写体の候補は両側にあるので、両側から探したいはずです。そうするには、ときどき反対側に移るのが一番です。もっとも効率的なのは、道路の幅の中でジグザグに歩く方法です。ジグザグの1つ分の直線距離は、周囲の状況によって変えます。変化の少ない風景なら長くして、変化の多い風景なら短くします。

 ジグザグに歩くときは、方向を変える地点の行動が重要です。周囲をまんべんなく見渡せるように、360度回転してみます。少しゆっくり回転することが大切です。こうすれば、被写体の候補を見逃す可能性が減ります。また、すでに通り過ぎた場所も後ろから見ることになり、新しい視点も発見しやすくなります。

 まとめると、次のようになります。道路の幅の中でジグザグに歩き、道路の反対側に達した箇所で360回転して周囲を見ると。道路の幅が広いときに使ってください。道路の幅が狭いときは、ときどき360度回転してみるという方法に変更しましょう。

 以上が基本ですが、交通量が多い道路では、自動車が通っていてジグザグに歩けないでしょう。その場合でも、ときどき反対側に渡りながら、道の両側を交互に歩くようにします。こうするだけでも、大事な被写体を見逃す確率が減りますから。

目立つものには接近し、いろいろと覗く

 被写体が大きなものとは限りません。小さくて遠くからは見えなかったり、陰に隠れていたり、上からでないと見えなかったりする被写体もあります。こうした被写体を上手に発見できれば、写真の幅が広がります。

 発見に有効なのは、とにかく近付いてみて、いろいろと覗くことです。明らかにない場合は別ですが、なさそうだなと思う程度なら、積極的に近付いてみます。そして様々な角度から覗くことです。

 アップで撮ったら面白いという被写体が、意外に多くあるものです。普通に目で見て探すだけでなく、カメラのファインダーを覗き、アップで切り取ってみるのも有効です。たまにですが、面白い発見があります。

 見る角度というのも重要です。通常は立った目線から見ますが、それより上からや下から覗きます。下から見るのは、しゃがんで見ればいいので、どこでも簡単にできます。また、ファインダーを上から覗けるカメラなら、しゃがまずに視線を下げら、より簡単です。上から見るのは、何かの上に乗る必要があるため、可能なときだけ試します。ただし、乗って怒られるようなものには乗らないでください。

(作成:2003年5月10日)
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