携帯電話ソーラー充電器(兼USB電源)の製作 (2008/11/15〜11/16)

(Last update:08/11/23)


USB コネクタや LED、子ガメ基板用
スペーサーを追加した改造 MPPT
充放電コントロール基板(表)。
改造された MPPT 充放電
コントロール基板(裏)
トラ技付録 DC/DC コンバーター基板
(低ESR改造済み)
基板を抱き合わせると
基板サイズも厚みもケースにピッタリ!
出力は USB コネクタ。
太陽電池が少しハミ出ているのはご愛嬌
アルミテープを貼り付けて
耐候性の向上を狙ってみた。
最下段には簡易電圧計を仕込んだ。
回路図

製作のきっかけ

 この夏に勤務先のオフィスが移動したのだが、デカイ建物の影になるせいかオフィスや会議室が常時圏外になってしまった ;o;。東京ではちと考えられない事態ではあるが、これが茨城の実態である(爆)。

 となると当然電池の減りも激しいわけで、気が付くと電池切れ、という事態が頻発。幸い今度のオフィスは陽当たりだけは必要以上に良好なので、窓際で充電できる携帯充電用バッテリボックスを製作することにした。


設計方針

 (1) バッテリは充放電監視が容易な 6V の鉛電池を使用
 (2) 太陽電池は推定 4V/100mA モジュール x 3枚 の 12V 仕様
 (3) MPPT (Maximum Power Point Tracker) 制御で充電効率を向上
 (4) USB コネクタから 5V を出力。携帯の充電は市販の USB 充電ケーブルを使用


スペック、回路設計

 要となる MPPT 充放電コントローラは、ちょうど1年前に実験的に製作したものが活用されずに転がっているので、これを若干改造して使用することにした。今回使用した太陽電池の最大出力は推定 9.6V x 100mA = 0.96W。MPPT の変換効率が 85% 程度なので、実充電電流は 0.96W/6V x 0.85 = 136mA 程度と予想される。

 もともとこの MPPT 実験基板は 21V の太陽電池パネルで 12V の鉛電池を充電することを想定して製作したものだが、電圧取得用の抵抗を数本変更し、PIC プログラム中の定数を一部修正すれば即流用可能である。

ちなみに各種検出電圧は、

 満充電電圧(充電カット電圧)   7.4V
 トリクル充電移行電圧       7.2V
 過放電電圧(電源供給カット電圧) 5.9V

 とした。

 一方、5V 出力の DC/DC コンバーターはトランジスタ技術 2008/10号付録基板を改良して使用することにした。専用基板で安全・確実、コイルも小型で小型・薄型基板に仕上がっている。しかもトラ技付録ということもあり格安(爆)なわけで、これを使わない手は無い。

 この基板の仕様は入力 7V〜25V、最大出力 5V 時 700mAとなっているが実際には 6V でも使用可能の模様。 純正の携帯用ACアダプタの出力は 5.4V 700mA なので最大出力電流は問題無し。出力電圧は純正ACアダプタより少し低いが、USB 電源としても使えるようにあえて 5V にしておく。

 ただし携帯に直接つなぐことを考えるとリプル等の基本出力特性は改善しておきたいところ。付録のままではリプルが 40mV 以上あるようなので、付録記事を参考に出力段のコンデンサを低 ESR 品の 470μF に交換し、位相補償改善用のコンデンサ (C4, 1000pF) も追加。


実装

 さて、毎度ながら管理人のようなアマチュア工作の最大の問題点はケーシングだったりする。ところが今回は非常にラッキーなことに無印良品で売られているケースに基板がぴったり(縦方向は 1mm の誤差も無くまさにピッタリ)で、さらに太陽電池モジュールもケース幅とピッタリ一致という幸運さ。加えて試作 MPPT 基板上にトラ技DC/DC コンバーター基板を小亀基板の如く抱かせるためのスペースが偶然空いており、親亀・小亀基板構造とすることで厚みもケースにぴったりと一致。また 5V 出力 ON/OFF 用のスイッチを使って電池をうまく固定できたため、今回の製作では基板や電池固定のためにネジは一切使わずにすんだ。

 逆に固定に困ったのが太陽電池。セルが樹脂に封入されているだけでネジ穴が無いため、結局ケースの蓋部分にエポキシ系接着剤で貼り付けた。直射日光に当てた時の温度上昇による影響が不安だが、もし剥がれるようなら耐熱接着テープ(自動車のダッシュボードにアクセサリを貼り付ける時に使うやつ)を投入するしかあるまい。

 ちなみに太陽電池は横方向はケース幅とピッタリだったが縦方向は3枚並べると 5mm ほどハミ出してしまった。もちろん2枚仕様にすれば綺麗に収まったのだが、そうなると太陽電池出力 8V、MPP = 6.4V となり、そもそも MPPT いらず(爆)になってしまうので却下。実用上は問題ないし、少しでも発電量を上げておきたいのでこのへんは目をつぶることにする。


稼動

 11月末の快晴・正午の陽射しでは MPPT 無しでの充電電流が約 60mA、MPPT 有りで約 85mA であった。MPPT の動作は極めて順調だが予想より太陽電池の出力が低いようだ。紫外線の強い5月だと 100mA ぐらい搾り出せるか?


さらなるグレードアップ

 MPPT 動作が用意に確認できるよう、PIC12F675 を使った簡易電圧計をケースの空きスペースに押し込んだ。サイズ的にこれまたピッタリに仕上げることができたので、MPPT 基板側の LED 類もまとめて最下段に配置し、視認性、実用性もバッチリに仕上がった。MPPT が太陽電池の出力を最大限搾り出している様子(avi) が確認できて、見ていて飽きない(爆)


注意点等

 以前製作したバッテリボックスもそうなのだが、無印良品のケースはポリプロピレン製なので耐候性が悪く、ある程度直射日光に当てると劣化して脆くなり、パリパリとヒビが入るようになってしまう(爆)。結局ケース表面にアルミテープ反射を貼り付けて紫外線対策を施した。


最後に

 今回のバッテリボックスは市販の携帯用ソーラー充電器よりも重くてゴツいのだが、大容量なのでそう簡単にはヘタらないのが強み。ただオフィスの窓際(ペアガラス越しの日光)は紫外線がかなりカットされているせいか発電量がイマイチ。直射日光に当てられる良い充電ポイントは無いものか・・・・(爆)


プログラム

 こちらのプログラムの定数部分を変更しただけなので、別途掲載無し。


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