日本列島・全国郷土玩具の旅

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----大分県篇・第3回----

---- OITA(3)----

大分の鳥笛
 上の白鳩「鳩笛」は、以前、宇佐神社の例祭(3月18日)と御祓会(8月1日)の夜に「鳩替えの神事」が行われ、番号のついた鳩笛を買い、境内に集まった人達が交換し合いました。10時に当選番号がきまって、金鳩、銀鳩が授与されていたそうです。
 鳩笛に代表される、別府の土笛、土鈴のいろいろを、「三郎窯」の坂本雅信さんが焼いています。
 坂本さんの鳩笛は形や彩色を変えて鳥笛として、別府周辺の観光地で売られいます。また、遠くは鹿児島の霧島神社の仏法僧笛や、土鈴の授与品も多数作っています。その作品は、父・三郎の博多人形の技法を受け継ぎ、きめの細かい作風です。
製作者:製作者:坂本雅信「三郎窯」二代目:別府市天満町1-23..TEL: 0977-22-3786

日出人形(ひじにんぎょう)
 別府市の隣り町、国東(くにさき)半島の付け根にある日出町で日出(ひじ)人形を、門上(もんじょう)修さんが焼いています。
 門上さんは、大分市の美術学校を出てデザイン関係の会社に入ったが、昭和55年頃より、好きな土人形作りを始めて独立。奥さんも同じ学校の出身で、夫婦で土人形の制作をしており、今後の郷土玩具の作者として期待されています。
 門上さんの作り始めは、国東半島の土産物の土鈴でしたが、その後、節供物の土人形も増えて今では、両方合わせて、100種類ほどを作っています。
製作者:門上 修:速見郡日出町豊岡..TEL: 0977-72-1272


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竹田のうなりごま
 丸竹を輪切りにして、胴の長方形の風穴を開け、上下は円板でふさいでそれに芯棒が通してあります。その芯棒に凧糸を巻きつけて、竹独楽を廻すと、「ブーン」とうなり音をたてます。色も無彩色がほとんどで素朴な独楽です。
 この独楽は、玉来駅の近くの、波多野晃郎さんが作っています。
 波多野は、子供達の健康的な遊びにと、祖父が作ってくれた「竹ごま」を思いだし、趣味で作り始めた作品で、営利目的の制作ではないので、直接、訪ねないかぎり入手はできません。
 掲載作品を参考に、あなたも作ってみませんか。
◇「竹ごま」は、以前は緒方町の渡辺工さんも作っていたが、老齢のため中止されました。別府の「物産観光館」でも売られていましたが、今は非売品として展示されています。
製作者:波多野晃郎:竹田市玉来733-1..TEL: 0974-62-4772
宇目のけんかごま
 日豊本線の北側駅から北へ15キロの山間、宇目(うめ)町の谷口喜三郎さんが、作っています。  この「けんかごま」は、木製のロクロ挽きで、芯の先には鉄の芯棒が打ち込まれいます。「こま」を廻すときは、先に廻っている独楽に鉄の芯棒をぶっつけるようにして、相手の「こま」を跳ね飛ばしたり、こわしたりして、喧嘩をいどみます。
 谷口さんの「こま」には、この他に「ひねりごま」「平ごま」などがあり、「瓢箪からこま」と称して、瓢箪形の入れ物の中から、小型のこまが数個でてくるしゃれたものもあります。
製作者:谷口喜三郎「梅喜工房」:海南郡宇目町千束3062-3..TEL: 0972-52-1112

竹田の姫だるま
 「姫だるま」は、この県の伝統のある郷土玩具を代表するものの一つです。
 玉来駅(無人駅)から北2キロ近くの所で、後藤明子さんが作っています。姫だるまは、別府の「大分県物産観光館」や竹田市内の岡城跡の土産店で販売されています。
 「姫だるま」がいつ頃から作られたかは、不明ですが、この地方には古くから大正末頃まで続いた正月の習俗に、各家にこの「だるま」を配り祝う行事があり、その頃はこれを「福女」「おきあがり」などと呼びました。
 正月2日の未明、ホギト(祝人)が来て「やあーおきあがり、おきあがり」と声をかけながら、玄関や戸口におきあがりを置いて行きます。ホギトには御祝儀を渡し、おきあがりは神棚や酒樽の上に飾りました。
 現在作られている「姫だるま」は高さ8〜20センチの、8種です。後藤さんのだるま作りは2代目で、初代の恒人さん(昭和47年没)は昭和27年頃、旧家に残っていた古いだるまから原型を作り、復活、制作を始めたものです。従来は「竹田のおきあがり」などと呼んでいたものを、昭和31年から「姫だるま」と名付けました。
 製作者:後藤明子(2代目):竹田市吉田889-1..TEL: 0974-62-3735

日田、玖珠地方のきじ馬
◇大分県の北西部、日田盆地を囲む山間の各所では、きじ車(馬)がつ作られていましたが、今は数少なくなりました。
◇玖珠(くす)町北西部の大野原で作られていたものは、古くから北山田のきじ車(馬)として知られていました。最近は、この地域を「きじ車の里」と呼んで、村おこし運動の一つにきじ車が作られています。
 大野原には、何人もの制作者がいられますが、いずれも農業のかたわら作っているので、常時作品があるとはいえないようです。
◇このきじ車は、北山田駅舎内の「玖珠町観光物産館」で販売されています。
◆きじ馬ときじ車の呼びかたは、熊本県(6)『九州の「きじ馬」「きじ車」』の記事を参照ください。

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(1999.11.7掲載)