日本全国郷土玩具バーチャルミュージアム:民芸館 :長崎県篇・第3回ー2:NAGASAKI(3)-2





舌出し三番叟
 「平戸の舌出し三番叟」と云われているのですが、平戸といっても、平戸から伝承された窯の意味で、平戸以外に、佐世保の三川内(みかわち)や、波佐見(はさみ)の窯でも作られています。郷土玩具としては珍しい「白磁」の人形です。
 この人形は、猿が三番叟の装束をつけた立姿で、頭部が差し込み式になっていて、首を振ると口から白い舌が出てきます。
大きさは、高さ/小9センチ位、大12センチ位です。
 この人形を焼いている窯の「三川内焼」の始めは、秀吉の朝鮮出兵(1591)のとき、平戸藩主・松浦鎮信(しげのぶ)が連れ帰った陶工にさかのぼるといわれています。そして、この系統の焼物を総称して「平戸焼」と呼びました。
 舌出し三番叟の発祥は不明ですが、口伝えによると、平戸焼を作った功により「今村弥次兵衛如猿」の名を賜わった弥次兵衛が、「如猿」の命名に心おさまらず、猿をもって三番叟を踊らせ、「舌を出す人形」を作って藩主に献上したという話しがありますが、この話しの時代から推察すれば、最初は三川内焼の職人が、仕事のあい間のてすさびに作り始めたのではないかと考えられています。
 平戸市内の茂右衛門窯は、創業が慶長3年(1598)で、平戸焼の歴史と共に歩んできた家系で、現在、15代目・茂右衛門さんが継いでいますが、その名前は代々「茂右衛門」を世襲しているからです。
 製作者:平戸茂右衛門「茂右衛門窯」:平戸市鏡川町248..TEL: 0950-22-3547
 製作者:今村 均「嘉久房窯」:佐世保市三川内町692..TEL: 0956-30-8520
 製作者:今村キヌ:佐世保市三川内町873..TEL: 0956-30-7176
 製作者:諸隅恵美子:東彼杵郡波佐見町宿郷413..TEL: 0956-85-2225

子泣き相撲
 製作は上記の平戸茂右衛門窯です。舌出し三番叟と同様に白磁の焼物で、3〜5センチ位の豆力士と行司の3体が1セットになっています。平戸市内の土産物店で売られています。
 これは市内の最教寺で2月の節分に行われる行司で、お堂の中にしつらえた土俵に幼児を向い合わせ、行司役があやしたり、おどかしたりするうちに、早く泣き出した子供が勝ちという珍しい行司です。
唐子人形(廃絶)■
 三川内焼は「唐子焼」とも呼ばれ、唐人の子供達が蝶や花に戯れ遊ぶ姿を描いた皿や鉢などの焼物が有名です。
 その唐子を人形化したものがありましたが、今は見かけなくなっています。
船先飾像
 波佐見(はさみ)で舌出し三番叟を焼いている諸隅さん(上記)が、オランダ船の船先飾像(陶製)を作っています。
 諸隅さんの窯は比較的に新しく、戦前に有田焼の商人をしていた庄蔵が、戦後に波佐見で窯を開きました。諸隅恵美子さんは3代目です。
 この人形は、「松浦資料博物館」展示の破浪神木像を原型として作られたものです。
ここで作られた人形は「平戸観光資料館」で販売されています。(「松浦資料博物館」「平戸観光資料館」の所在地とTELは第1回のガイド/施設に掲載)


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(1999.8.8掲載)