日本全国郷土玩具バーチャルミュージアム:民芸館 :福岡県篇・第4回ー2:FUKUOKA(4)-2

太宰府のうそ
 太宰府天満宮は菅原道真を祭神とする神社で、九州屈指の大社として知られています。郷土玩具の世界でも「太宰府のうそ」は有名です。
 この天満宮の参道には土産物店が並んでいて、かなり大型の「うそ」も常時、売られています。また九州各地の郷土玩具も並んでいます。
 天満宮では、1月7日の「うそ替えの神事」に限り、社務所から「うそ」が授与されます。
(昭和10年刊「玩具と縁起」佐藤潔著)には、「各地に存在する鷽替の神事中最も古き歴史を有するもので、花山天皇寛和二年、太宰府村大弐菅原輔正公によって始められたと伝えられ」と書かれています。発生年代はわからないが、大阪の天満宮や東京の亀戸天神社の「うそ替えの神事」もこれにならって始められたとも記されています。
「うそ替えの神事」については、東京都篇(2)-2の記事「亀戸天満宮の、うそ替えの神事」に由来が書いてあります。また、東京の各神社の「うそ」も掲載していますのでご覧ください。
  太宰府天満宮:太宰府市太宰府町4-7-1..TEL: 092-922-8225

(参考リンク)【CPH】→郷土玩具マップ「福岡」→「太宰府天満宮: 太宰府のうそ」
英彦山土鈴
 英彦山 (ひこさん)神社の縁起物で、社務所で授与されています。
 この土鈴は素朴で簡素な形です。かなり古くから信仰の対象として授与されてきました。以前は農家の人たちがこれを求め、苗代の水口に埋めて稲の害虫除けのマジナイとしました。なお、稲の発育を祈って玄関口吊り下げられた古い土鈴を、この地方の農家で見かけることがあります。

英彦山神社社務所:田川郡添田町英彦山1429..TEL: 0947-85-0001
製作者:篠崎嘉丈:田川郡添田町落合萩野..TEL: 0947-85-0169




県内各地のうそ
 福岡県内には、太宰府天満宮の他に同じような作りの「うそ」や、その神社独自の形のものなど、いろいろの「うそ」があります。また、現在も特定の日に授与されているものや、廃絶したものもあります。
 水鏡天満宮:神事=1月7日。
 住吉神社:神事=1月7日。
 深江神社:神事=1月15日に追儺祭といっしょに行われます。
 徳若天満宮(菅原神社):神事=7月24日。
 梅安天満宮:神事=7月24日。現在、「うそ」は出されていません。
 北野天満宮:神事=2月25日。
 三春天満宮:4月の第1土曜日。
 駛馬(はやめ)天満宮:神事=3月24-25日。9月14-25日。
   この他にも、神事の復活や中止があると思われます。

小郡人形
 小郡市の森川天鈴さんが、土鈴を中心に作っています。製作を始めてから20年余の新しい郷土玩具です。土地の歴史や民俗にちなんだ作品です。
 なかでも傑作は「美宝福音土鈴」(掲載作品の中央3個)で、鈴の球の中に鈴があり、直径4センチ位の二重鈴から20センチ位の八重鈴まであります。それぞれの鈴がすかし彫りになっているので、包みこまれた土鈴が中で揺れているのが見えます。森川さんは特に音色を大切に製作されています。高温で焼きしめられているので、非常に美しい音の土鈴です。
 また、この何重もの土鈴は、中国の「天球」という球の中に球、さらにその中に球を入れた、すかし彫りの工芸品からヒントを得て発想、考案されたとのことです。
 作品には、美宝福音土鈴のほか、七夕土鈴・池月土鈴・池月人形・武者人形などがあります。

製作者:森川天鈴:小郡市三沢117-4..TEL: 0942-75-6452
甘木のばたばた
 甘木市の安長禅寺の初市で、昔から「甘木のばたばた」が売られてきました。現在は、常時、同寺で分けていただけます。
 「ばたばた」は、割り竹の丸い枠の両面に和紙を貼り、竹枠の両側には糸の大豆を結わえつけた「豆太鼓」です。くるくると回すと、豆が太鼓を打って音がでます。
 甘木のばたばたは、丈夫な秋月和紙がぴんと貼られているので、ばたばたというよりもポンポンと心地よい音がします。昔は1メートルにもおよぶ大物があったのですが、いまは10〜5センチ位のものが作られています。
 本来は正月の初市(1月15日から1週間)にだけ、疱瘡除け(ほうそうよけ)として境内で売られてきたものです。これを産室に置くと「胎児の発育がよく、目鼻立ちのよい手足の均整がとれた子供が生まれる」といわれてきました。

甘木山安長寺:甘木市八日町772.. TEL :0946-22-5361

▼‥福岡県篇(5)    ▲‥[Back] 福岡県篇(4)-1

  
  ▲…【民芸館】総INDEX     ▲…HOME


(1999.6.6掲載)