日本列島・全国郷土玩具の旅

----福岡県篇・第3回(1)---

---- FUKUOKA(3) ----




遊きん人形
「遊きん人形」と「小倉姉様」は、北九州市戸畑の金藤キヨノさんが作っています。
 金藤さんの作る紙人形人形を「遊きん人形」と名づけているのです。劉寒吉氏が、小倉城の別称「湧金(ゆうきん」をもじって「遊きん」と名付けものです。
 金藤さんは北九州市主催「第3回創作郷土玩具展」で「姉様人形」が入選、これを機に郷土玩具を作るようになりました。続いて郷土色のある人形ということで作った「おたたさん」が、市長賞に輝きました。
「おたたさん」:大正の頃の生魚行商をする女性。捕れたての魚を「はんぼう」に入れ、頭の上に乗せて街中を売り歩きました。その姿を紙人形にしたものです。
 その他、次の「姉様人形」や雛人形、お手玉びな、などの作品があります。
小倉姉様人形■
 右の3点が金藤さんの作。左の3点は戦後一時復元されたもの(作者不詳)。
 これも金藤さんの作品ですが、城下町の小倉に古くから伝わる紙人形の復元です。種類も多く、素材も紙と古代布を使った2種があります。

製作者:金藤キヨノ:北九州市戸畑区福柳木1-15..TEL: 093-871-1282




八朔馬
 八朔馬は大・中・小の3種類があります。注文によっては「大将馬」や「飾り馬」の大型も作られます。
 この八朔馬の飾りつけは、9月1日(旧の八朔)に初節供を迎える男の子のいる家で行われます。前日の8月31日に親戚や近隣の親しい人達が、子供の健康と幸福を祝って八朔馬を持ち寄ります。多い家では百、二百とあつまるので、ひな段のようにして上段中央に特製の大将馬が一頭、または白と黒に染め分けた二頭が飾られ、その下に何段にも八朔馬が飾られます。
翌日の2日には、八朔馬は大将馬を残して近所の子供達に分けてしまいます。  また、規模は小さくなりましたが、現在も男子の「初節供」に飾る家もあるようです。
 面白いのは、馬にまたがっている和紙製の武士の背の「旗指物」で、歴史上の有名な人物の名前を書き込みますが、武将だけでなく芝居の登場人物や親分、さらには有名な盗賊の名前まで書かれることがあるそうです。

製作者:井上和代:遠賀郡芦屋町白浜町4-18..TEL: 093-223-1894
(参考リンク)【CPH】→郷土玩具マップ「福岡」→「井上和代:八朔の馬」
だごびーな(団子雛)
 「だごびーな」も八朔の飾り物で、こちらは女子用です。
 米の粉の団子の生地を、食用の色粉で赤、黄、緑などいろいろの色に染めて、雛人形や鶴亀、鯛などのめでたいものや、野菜、動物などを作ります。「だごびーな」を「初節供」を迎えた女の子の家に持ち寄り、それを折敷(おしき)に乗せて雛人形のように段飾りをします。
翌日、八朔馬と同じように近所の女の子に分け与えます。子供達は人形遊びに使いますが、食べることはありません。
 「だごびーな」は、素材が団子なので保存できません。それで、八朔馬の製作者の井上和代さんが、収集家のために紙粘土で同じ形のものを作っています。
池燈篭
 現在は作られていないものですが、以前に今里の大橋重雄さんが作っていた作品です。手捻りで、狐の酒盛りをというユーモラスなテーマの人形です。


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(1999.5.23掲載)