【民芸館】全国郷土玩具バーチャルミュージアム


岡山県篇・(1)-2

----OKAYAMA----



■倉敷張り子・首振り虎
 前ページ掲載の、生水家4代目・生水幹一さんの、代表的な作です。
「首振り虎」は飾り虎とも呼ばれ、小型は7センチ位のものから大は1メートルのものまで、10種あります。
この地方では、男の子の節句にかかせない飾りものです。
(制作者は前ページに紹介)

瀬戸内の「首振り虎」
 「張り子の虎」は、岡山県の郷土玩具を代表するものですが、瀬戸内海沿岸の町で首振り式の張り子の虎は作られています。
 瀬戸内海沿岸の各地の虎は、西大寺の張り子の虎が伝播したものと考えられています。

■西大寺の張り子の虎(2)■
「西大寺の張り子の虎の創始」:江戸末期に西大寺掛之町の大阪屋紋造が、江戸からの帰りに昇り猿の木型を手に入れ中山梅吉に渡し、梅吉は張り子の昇り猿を作り始めました。この息子の耕太はさらに工夫して、馬やピンピン鯛も作り岡山の玩具問屋・岩佐へ卸していましたが、その岩佐からの注文で「虎」を作り始めたとされています。
 現在、制作している邑久(おく)町の「虎制作所」武久守さんの所では、制作風景が外からでもよく見えます。(夢二郷土美術館の隣)

制作者:武久 守「武久守商店」:邑久(おく)郡邑久町本庄2002..TEL:08692-2-0530

制作者:島村利弘:岡山市中川861-2..(現在制作されているかは確認できていません)




玉島だるまと玉島の虎
 玉島港が深く入りこんだ所、阿賀崎の小野キクエさんが「玉島だるま」を作っています。
戦後、初代の小野一二さんが敗戦からの復興を願って作り始めたのが玉島だるまで、球形に近い形の「関東風の目なしだるま」です。
 もう1軒は、水島臨海工業地帯の中、乙島の「玉島だるま・虎製造所」中桐一人さんが制作しています。
 掲載のだるまの、右が「玉島だるま・虎製造所」の作品。
 左が「小野一二商店」の作品です。
掲載してある両方のだるまの顔のデザインの違いをご覧ください。
 また、中桐さんは、「張り子の虎」、十二支の張り子、面各種などの郷土玩具を制作されています。現在は「虎作り」が仕事の中心になっているそうです。 

制作者:小野キクエ「小野一二商店」:倉敷市玉島阿賀崎1-10-48..TEL:086-522-2533

制作者:中桐一人「玉島だるま・虎製造所」:倉敷市玉島乙島915-7..TEL:086-522-3753

北木島の流し雛
 この珍しい麦わら船の流し雛は、一般に製造販売されているものではありません。
 笠岡市の沖の小島、北木島には、流し雛の風習があります。
 大浦の集落のあたりでは古くから、3月3日の節句を祝い、翌日の4日の正午に、麦わら船に雛を乗せて海へ流しました。このときに作られるのがこの「流し雛」です。
 麦わら船は全長が80センチほどの船で、船の中に家族で作った千代紙の人形を乗せます。内裏雛1対、船頭1体、官女9体、の合計12体です。
閏(うるう)年には官女を1体ふやして13体にします。

 船の帆に「あわしま丸」と書かれているのは、加太の浦(和歌山県)の淡嶋神社へ流れつくことを願う祈りです。これは、古くからの「淡嶋信仰」のひとつの形態として伝えられてきたものと考えられています。 





---岡山県篇第1回・終り---


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(1998.12.13掲載)