【民芸館】全国郷土玩具バーチャルミュージアム


島根県篇・(1)-2

----SIMANE----



藍てまり:「松江の糸てまり」■
 松江市の「糸てまり」は、松江城内の御殿女中たちの手なぐさみに作り始められたものでです。
 数年前より、笠原寿子さん(松江市黒田町386)が、観音様に奉納していた藍染めの糸で作った糸てまりを見て、同じように作り始めたのが「藍てまり」です。
 県の物産として、「和紙てまり」「藍てまり」は絹川ツネノさんが作っており、島根県物産観光館には、この方の作品が出ています。(掲載は絹川さんの作)

制作者:絹川ツネノ:松江市北田町58-10-201
..TEL:0852-27-3256 

石見神楽面:■
 県西部の浜田市には、伝統をもつ「石見神楽面」と次回掲載の「長浜人形」があり、両方を作る作者が2軒あります。
この神楽面は長浜土人形の土型の製法から生まれたものですが、いまでは神楽面が主役であり土人形がワキ役のようになっています。
 インテリアとしての面と、特に新築祝いや開店祝いの贈り物として使われています。
 主な種類は、神面(鍾馗ほか)、般若、尉姥(じょううば)、姫面(天照大神)、福神(恵美須、大黒)、動物面、など5、60種があります。
 この面は形の凸凹が複雑なので、面の一つ一つに土型を作り、型抜きのときには土型を割って取り出すという、ほかでは見られない製法です。


制作者:岩本竹山「神楽面岩本竹山陶房」:浜田市長浜町1404..TEL:0855-27-1329

制作者:日下(ひのした)義明「日下義明商店」:浜田市長浜町1419..TEL:0855-27-0233



お宮と蒸気船
 神々の国、出雲だけに、ほかではほとんど見られない「松江のお宮」と呼ばれる木製玩具があります。高さ間口とも10センチくらいで、神棚にまつるお社を小型化したものです。扉が両方に開き、かっては子供たちがこの中に土人形を入れて遊んだそうです。
 木製の「蒸気船」は、明治の中期に松江ー舞鶴間の航路を往来した、当時話題の「阪鶴丸」をモデルにした船の玩具です。
 これらの素朴な木製玩具は、戦前戦後を通じていくども廃絶と復活がくり返されて、最近はほとんど見かけることがなくなりました。
 武井武雄著の「日本郷土玩具」(昭和5年刊)では、「素朴にして雅趣横溢の点断然全国の白眉で、郷土玩具として第一指を折るべき佳作」と絶賛されています。

張り子の虎と立天神
 「張り子の虎」は島根県の「ふるさと伝統工芸品」の指定を受けています。
 この虎は、土地の名工といわれた荒川亀斎が原形を彫り、明治10年から4代目・高橋熊市が作り始めました、原形は現在も高橋家に保存されています。この虎は、他にない独特の風格、威容と迫力をもった作品です。
 高橋家は、もとは土人形作りが本業でした。現在は張り子作りに追われていますが、掲載の「立天神」や五色天神、立娘、童物、などもいろいろと作られいます。

制作者:高橋孝市「高橋張り子虎本舗」・6代目:出雲市今市上町1640..TEL:0853-21-1748

白天神
 伯耆(ほうき)・ 出雲(いずも)地方では、古くから三月の雛飾りに女の子には雛人形、男の子には「白天神」を贈る風習がありました。この天神は4段重ねの台の上に飾り、気品のある人形でした。
 前回の鳥取県篇でも紹介したように、鳥取県から島根県の出雲地方にかけて、かっては各地で天神と土人形が作られいましたが、大正から昭和初期にかけて多くが廃絶し、いまは、出雲と倉吉に残りました。
 張り子の虎を制作している高橋家でも、昭和28年に先代の源蔵さんが亡くなられるまでは「白天神」を作っていましたが、張り子の方が忙しくて、制作を中止されたとのことです。高橋さんは「白天神の胡粉(ごふん)塗りや磨き出しの秘法も伝授されており、いつかまた作りたい」とのことです。




---島根県篇第1回・終り---


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(1998.11.15掲載)