日本全国郷土玩具バーチャルミュージアム:民芸館:北海道篇(2)



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ニポポ
 ニポポはアイヌの神様で「小さな木の人形」とか「木の小さな子」の意味で、この像に願いをかけると必ずかなえてくれるといわれ、山での狩りや海の漁に出る時にお祈りし、収穫ががあると、美しい飾り物をかけて感謝しました。
 この人形は、小は7センチ位から大は50センチ位の大型まで10種ほどがあり、どれも裏には「網走刑務所」の焼き印が押されています。
 この人形は、網走刑務所の別棟「網走観光のおみやげ・刑務所作業製品」売店と、網走市内の土産品店で売られています。刑務所作業製品の売店では、受刑者が更正に役立つように作った製品が展示即売されていて、入り口には大小のニポポが並んでいます。
 この人形の誕生は、昭和29年、朝鮮動乱後、刑務所の作業が少なくなって困っていた時、網走郷土博物館長の米村喜男氏の発案で、これを刑務所で製作して市と観光協会が民芸品として売り出す計画を立てました。それをゆだねられた元樺太新聞にいた高山長兵衛氏のデザインで、彫刻家の谷口百馬氏が原型を彫り、その後改良をも加えて製作されるようにりました。
セワポロロ
 ニポポをもっと原始的な形にした人形がセワポロロです。北方民族の「オロッコ族」の人達が「幸をもたらす人形」として信仰していたおのを、郷土玩具として製作したものです。
 オロッコ族の人達は、終戦後サハリンから網走に引き上げてきましたが、この人達により、戦後「オロチョンの火祭り」が行われようになりました。この祭りに登場するのがセワポロロです。このセワとは全知全能の偉大な神で、願い事はなんでもかなえてくれると信じられてきました。
 オロチョンの火祭りは、網走市の7月の観光行事となっていますが、今ではオロッコ本来の宗教儀式とは異質のものになっています。
 網走駅から徒歩2、3分、大廣朔峰、朔洋さん親子が製作されています。この店では、インカル・エカシ(見張りをする老人)など、北方民族の伝説にまつわる木彫り人形を30種近く作っています。
製作者記録:大廣朔峰「民芸木彫朔峰の店」:網走市新町2-3-11..TEL: 0152-44-5583
イナウ人形
 有名な観光地の「阿寒湖」の湖畔の「アイヌコタン(アイヌ集落)」もよく知られていて、いろいろのアイヌ手芸品の店もあります。
 ここに「木幣(イナウ)」と呼ばれるアイヌの伝統的な神祭用具と同じ手法で作られる「イナウ人形」があります。
 イナウはヤナギ・ミズキ・ハシドイなどの樹皮を剥ぎ、白木を薄く削って作られます。病気の回復や猟の安全と収穫の祈願、風水害にあったときなど、イナウを作って神に捧げました。本来は魔神を追放するものでしたが、それが「神の心をなごませるもの」として使われるなったといいます。
 このイナウの手法を生かしてつくられた人形類ですが、男女のアイヌ人像弓矢を持ち狩りをするアイヌ人など、いろいろと作られいます。
 この人形も「川上カネトアイヌ記念館・売店」に並んでいます。
アイヌの木ふね
 掲載の作品は戦前もので、作者は不明。
 アイヌの祭事に使った丸木彫りの舟で、舟にはイナウ(木の弊束)も付いています。
 夏期には、登別温泉のそばの熊牧場へ行くケーブル乗り場前の土産店で売っています。この他、「臼と杵」などの種々の玩具もあります。
製作者:柏木武夫:沙流郡平取町長知門

風俗人形■ 札幌の彫刻家、板津邦夫氏の作品。

◆(註)記事中の制作者の記録は、1995年頃の調査資料ですので、ご了承下さい。

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(1996.04.01掲載/2001.01.02/2002.06.24/改訂)