デジタルカメラによるオリオン座大星雲
'2000.6.11
[解説]
 レンズ交換の可能な一眼レフ式デジタルカメラ Nikon D1 で撮影したM42です。D1では露出を長くする程ノイズが盛大に発生するため、たっぷりと露出をして像を濃くすることが苦手です。そのためこのように星雲に対して鑑賞目的に使うには無理があるように思いますが、明るい光学系を使い画像処理を工夫すればそこそこ見られる画像にはなります。ただ、それに意味があるかといえば...どうでしょうね。

 この日の気温は氷点下5℃ということで、ノイズの低減にわずかながら貢献しています。CCD撮像素子は冷却することでノイズが減らせるので、冷却CCDカメラのように強制冷却できないD1では、自然冷却だけが元画像の唯一のノイズ低減手段となります。ですから冬場とそれ以外とでは画質に結構な差が出るはずです。(恒温容器とドライアイスで丸ごと冷却という手もアリですが壊れたら大変、誰かやらないかな...)

 後工程のノイズ低減処理としては、本画像ではダークフレーム合成とぼかし処理(ガウス)程度しか行なっておりません。さらに複数画像によるコンポジット合成を行なうと、ダークフレーム合成で生じるノイズ(黒抜け)が低減できます。

 左上隅に赤いカブリがみえますが、これはCCD周辺回路の発熱によるもので、バルブで長時間動作させているので仕方がないもののようです。結構広い範囲にまで影響が及ぶので、フレーミングに注意が必要です。D1背面の液晶パネルは視野率が悪く正確なフレーミングができないので、試写データをパソコン等に移して確認すると失敗が無いでしょう。なお、一般的な撮影ではカブリは発生しません。

 ちなみにこの画像は月刊天文ガイド2000年2月号に入選掲載されました。(画像処理の方法を少し変えました。掲載画像より自然です。また、タイトルが変です。長くてカットされた?)
[観測ガイド]
 余りにも有名ですが一応。冬の星座であるオリオン座の真中、三ツ星の下にある小三ツ星の真中です。明るさは約4等星で、都市部でも何とか肉眼で見えます。暗い空で見ると鳥が羽を広げたような淡い姿が楽しめます。
[撮影データ]
日時:1999年11月14日 2時20分00秒 露出:3分00秒
場所:長野県南佐久郡南牧村 野辺山付近 天候:快晴 気温:−5℃
レンズ:BRC−250直焦点 架台:NJP(PD−7XY)
カメラ:Nikon D1 感度:400 輪郭強調:ノーマル 階調補正:コントラストLow 形式:TIFF(RGB)
ガイド鏡:FC−50+バリエクステンダー+LG5 ガイド方法:目視 ピント:目視
[画像処理]
ソフトウェア:Photoshop 4.0
処理:同一露出時間のダークフレーム画像とレイヤー合成(差の絶対値),ぼかし(ガウス) 他
ダークフレーム=鏡筒に蓋をして暗黒を撮影、つまりCCDのノイズのみを撮影したもの

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