メーカー | 高橋製作所 |
形 式 | ベーカー・リッチー・クレチアン (反射・屈折型光学系) |
口 径 | 250mm |
焦点距離 | 1268mm |
口径比 | F5 (実効値はF6) |
全 長 | 約900mm |
直 径 | 約330mm |
重 量 | 約16kg |
鏡筒材質 | カーボン (後に金属バージョンもリリース) |
高橋製作所は、この業界では知らない人はいないであろうメジャーな望遠鏡量産メーカーです。しかし、どちらかと言うと中・上級者やマニア及び公共施設向けの製品を供給しているメーカーであり、デパートや眼鏡店で見かけることはありません。上級者やマニアの評価は高く性能・品質も安定して高いのですが、価格は概ね高めになります。
量産メーカーではありますが、カタログに無いスペックの望遠鏡や、機種によっては改造も受け付けているようです。私も一時期BRCについては移動の便を考えて取っ手を付けてもらおうかと考えたこともありました。
ちなみに、宇宙飛行士の土井さんも30cmニュートン反射をここにオーダーされたようです。
タイトルでも記しているようにBRC-250は写真鏡です。つまり大まかに言えばカメラ用レンズと同じということになります。もちろんカメラ用レンズと違って絞りは無いので変えられませんが。
天体望遠鏡の一種ではありますが、眼視には向かないといわれています。それはBRCでは大判フィルムによる撮影に対応するため、眼視用望遠鏡に比べて終端(眼視なら目で覗く位置)の光束が太くなるよう副鏡を大きくしてあります。(副鏡とは、ニュートン式反射望遠鏡で言えば斜鏡の位置にある鏡) その副作用として入射する光束が大きな副鏡によって遮られ、像が悪化するということのようです。また、口径も削られるので、実質的な口径比も−1のF6になっています。
何にでも使える汎用性はありませんが、明るく広い写野が得られる特徴は他には無いもので、まさに写真撮影に特化した望遠鏡=写真鏡といえます。
鏡筒にカーボンを使用しているためか大きさの割には軽量ですが、90cmx33cmの大きさはさすがにちょっと手に余る感じです。しかも主鏡側が極端に重いのでバランスが取り辛く、移動にはかなり神経を使います。
そうは言ってもこの重量はメリットで、軽いため中型の架台に載せることが可能です。私はセット販売されていたNJP赤道儀(高橋製)に載せています。NJPのスペックは搭載重量が20kgということなので、ガイド鏡などの付帯装備を合わせて丁度ということになります。
カーボン鏡筒のメリットは軽量化だけではありません。むしろ熱によるピントの変化が無い(少しは有る?)というのが大きいです。カーボンは熱膨張率が0(ゼロ)ということで、主鏡と副鏡の間にこれを使うことで、いかなる気温でも一定の間隔を保つことになり、ピント合わせが一度で済みます。これが金属鏡筒になると、その時の気温変動によって伸び縮みするため、いちいち合わせ直す必要がありますし、条件によっては撮影中にピントがズレることも有り得ます。もっとも、焦点位置の変化要因は他にもある(主鏡や副鏡のガラス材やその支持材等の金属部品)ので、気温順応は必要ですが。
また、カーボン鏡筒は製作が難しいのか高価なのも難点です。例えば、金属鏡筒との差額でパソコンなら数台が買えてしまいます。それでも、ピント合わせの煩わしさが減るのは大きなメリットです。
ピント機構は回転ヘリコイド式で、接眼部全体がネジのようになってマウントごと回転することにより伸び縮みする構造です。1回転でピントが1mm移動します。回転部分には目盛が36切ってあり、中間も含めると0.014mmの非常に精密なピント調節が可能です。
その反面、マウントごと回転することがピント合わせの障害になり、欠点でもあります。つまり取り付けたカメラもいっしょに回転してしまい、ピント合わせ用に視野に導入した星の位置が定まらず、微妙な変化がわからなくなります。後にロンキー法によるピント合わせを行なうようになりましたが、ここでもスクリーンの縞模様が回転してしまうため、接眼部が回転しない他方式に比べて余計に手間がかかります。
ちなみにロンキー法は現在は使っておりません。使い方が悪いのか、ピントの合う位置が判り辛かったのです。その時に撮った画像を後から見るとピントが合っていませんでした。
現在は目視である程度合わせた後に、目盛を数目盛づつ前後にズラして実際に撮影した画像から判断するようにしています。この方法では結果が判るまでにタイムラグがありますが、ピントの移動が無い(少ない?)BRCのことですから、一度合わせてしまえば大丈夫と思っています。
現在は35mm版フィルムでの撮影しか行なっていません。将来的には大判にも挑戦して行きたいのですが、何せ大判機材は高価です。この子に注込み過ぎたので、これにしか使えない専用機材にはなかなか手が出せません。
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