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| M27 亜鈴(あれい)星雲 |
| '2000.9.7 |
| [解説] |
| デジタルカメラ Nikon D1 で撮影したこぎつね座の惑星状星雲 M27 亜鈴(あれい)星雲 です。本来は星雲の赤と青の色彩と青い星雲の透明感が美しい天体なのですが、ここまでが精一杯でした。当日は靄(もや)のために星がぼんやりとしていましたが、やはり影響で明るい星がやや太った感じに写っていますし、微光星の写りも悪いようです。また、D1は赤の写りが悪くこれを画像処理で無理矢理強調したため、色合いが悪くのっぺりとした感じになってしまいました。 今回のM27では、M42で行なった画像処理を一歩進めて、複数画像のコンポジット合成を行なってあります。その効果はS/Nの向上にありますが、特にダークフレーム合成で生じる黒抜け画素を複数の画像の同位置画素で補完できることに利点があります。M42では黒抜けをぼかし処理によって目立たなくしていたのですが、代わりにシャープ感が無くなってしまう副作用がありました。しかしコンポジット合成処理では、シャープ感を維持しつつ黒抜けを改善することができました。その代わり1枚の最終画像を得るのに複数の元画像を用意する必要があり、1ショットに比べて数倍に手間が増えるのが難点です。なお、準備する元画像で注意すべきポイントがあります。それは、合成に使用する画像のフレーミングを微妙にずらす必要があることです。これは、黒抜けが画像の同位置画素で発生するためで、もし同じフレーミングの画像を合成すると、黒抜けを黒抜けで補完するようなもので全く意味がないことになります。実際の撮影では、2コマ目の撮影から1コマ毎にガイド鏡を僅かに動かすか、ビクセン製のGA−4のようレチクル(十字線)の位置を調整できる装置でレチクルを動かしてガイドするようにします。(ガイド星は同じものを使用) これにより得られる画像では、星の位置(画像上での位置)は微妙に変わるがノイズの位置は変わらないというものになります。これら複数画像を共通の星を基準にして合成すると、逆に黒抜けの位置が微妙に変わるため、黒抜け画素を本来の画素で補完する事ができるというわけです。例えば、1枚目の画像のAという星のど真ん中に黒抜けが有ったとすると、2枚目の画像ではAのど真ん中よりも少し離れた位置に同じ黒抜けができます。Aを基準にして合成を行なうと1枚目の黒抜け画素が2枚目の画素で補完されます。また、2枚目の黒抜け画素も同様に1枚目の画素で補完されます。なお、黒抜け画素が多い場合には補完に使用する画素にも黒抜けがある場合もあり、合成に使用する画像は多ければ多い程良好な画像が得易いのですが、経験からすると3〜4枚で黒抜けがほぼ改善されます。 6月の気温は15℃ということで、さすがに大きなノイズでびっしり覆われてしまいました。これから益々気温が上がっていくので、夏の星雲・星団の撮影には厳しい状況になります。夏場でも気温が低いところを探さなければ思う今日この頃です。どなたか車で行けるところで夜の気温が10度以下、できれば5度以下の場所をご存じでしたら教えていただければと思います。 |
| [観測ガイド] |
| はくちょう座(首の方向)の近くですが、目立った星が無いエリアなので見つけるのに苦労します。私の場合、星図を頼りに双眼鏡(7倍50mm)でや座の先端から北極星方向に星をたどっていくと、ぼんやりとした雲のようなものが視界に入ってきます。空の暗い場所でないと厳しいでしょう。写真には短時間でもひじょうに良く写ります。D1での5分露出でこれだけ写るのですから、一般的な銀塩フィルムカメラなら格段に濃い画像が得られます。 |
| [撮影データ] |
| 日時:2000年 6月 7日 1時21分41秒 露出:5分00秒 × 3コマ 場所:長野県南佐久郡南牧村 野辺山付近 天候:晴(靄有り) 気温:約15℃ レンズ:BRC−250直焦点 架台:NJP(PD−7XY) カメラ:Nikon D1 感度:200 輪郭強調:ノーマル 階調補正:コントラストLow 形式:12bit RAW ガイド鏡:FC−76+GA4+Or6 ガイド方法:目視 ピント:目視 |
| [画像処理] |
| ソフトウェア:StellaImage3,Photoshop 4.0 処理:ダークフレーム合成,コンポジット合成 他 (ダークフレーム=鏡筒に蓋をして暗黒を撮影、つまりCCDのノイズのみを撮影したもの) |
[星のギャラリー]