デジタルケーブルの
波形計測

 手持ちのケーブルの伝送特性を計測してみました。適当にその場限りで買い集めてきて統一性が無くなっていた同軸デジタルケーブルを、単なるマニア的こだわりから一種類に統一することを目指し、その参考のためです。
 入力したサンプリング周波数は192kHzです。ADコンバータ、ADC1の出力を使っています。

 まず、結論だけ言えば、常識的なデジタルケーブルであれば、短かいほうがよく、価格やブランドは関係なさそう。(まあ、想像されたことではありますが。)
 格安で細いアナログケーブルを代用してみると、さすがにまずいが、そこそこ高級な太目のアナログケーブルなら、そんなに悪くない。ちょっと残念な気もしますが。


計測系
 75Ω終端器で受けてオシロに入力。
 波形図の横軸は50ns/Div、縦軸は200mV/Div です。



Zaolla 0.35m
 純銀線デジタルケーブル


Zaolla 0.60m
 純銀線デジタルケーブル


Oyaide 0.7m DST-75 V2(外部サイト)
(コルデル構造絶縁、超精密導体)、1500円/m。
完成品は0.7mで3872円。0.7m、1.0m、1.3mあり。


Hosa 1m 約1000円


アマゾンベーシック デジタルケーブル 2.4m 767円


アマゾンベーシック デジタルケーブル 4.6m 1084円


オーディオテクニカのアナログ用ケーブル 5m


50年くらい前に秋葉原で買った細いアナログ用ケーブル 1.8m
そんなものをまだ持ってたって・・・(^^;


 実は、この最後の一番劣化した波形でも、Benchmark DAC3のデジタル入力に入れて、そのパススルー出力からでてくる波形を見ると、バッファリングと波形成型とジッター制御が行われた以下のような綺麗な波形が出てきます。だから、たとえこのようなダメなケーブルであっても、音がすごく変わるかは、ギモンあり。



BNCケーブルなら?
 RCA端子は大昔の規格のため、実はその形状はインピーダンス75Ωを満たしていない。この点も気になっていたので、BNC端子の75オームケーブルも試しました。プロ用機材であるADC1のデジタル出力端子はBNCなので、BNC to BNC で、端子から端子まで75Ωのまま、オシロに送ることができます。

非常に高価な特殊形状のRCA端子なら、75ΩのRCAプラグ(外部サイト)もあるにはありますが、プラグだけ変えても、本体のジャックがRCAのままならインピーダンスマッチングの点で意味はなさそう。


BNCケーブル 1m


BNCケーブル 2m



 BNCだと、想像通り反射が少ない(細かなデコボコが少ない)ですが、影響は小さく、192kHz程度であれば、RCA端子のインピーダンスミスマッチが伝送特性に大きな悪さをしていることはなさそうです。

 
理想論では、プラグまでインピーダンスが揃ったBNCケーブルを使えれば一番良いとは思いますが、本体側がRCAジャックである民生機器ではRCAケーブルで繋ぐしかないので、ケーブルに大金をかけるよりは、手間をかけて、最短の長さを自作するのが一番よさそう、というのが、私の結論でした。

 そうはいっても、あまり安いケーブルを使いたくはないし、とはいえ、純銀線や5N銅とかが、数mのデジタル伝送に関係あるとは思えないので、程よいコストでもあり、高精度導体を謳うOyaide DST-75 V2を採用しようと思います。これは普通の純銅でできていますので、合理的なコストです。

 フランクミューラーの時計にビニールレザーのバンドは誰もつけませんよね。ほぼそれと同じ発想でよいのだと思います。純銀や5N銅だって、それを使いたい人は使っていいと思います。


番外編
有名メーカー高級ケーブル。接触不良を発見。
高級感はありますが、線が太すぎ&固すぎたのが不良の元だったと思います。没としました。

自作っぽい市販品。
30cmに惹かれて購入。中を見るとイモハンダっぽい。
導通はしていて性能も問題ないが、これは気持ち悪いので、没。見てよかった。
プラグだけ回収しました。

2022年3月11日


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