アップサンプリングによる
高域特性の変化(実測)

意外に変わるようで、実測可能でした

2023/1/23 DSD2.8MHzDとPCM96kHz直接入力Eの場合を追記


 私のシステムでは、CDの再生時、44.1kHzのPCM出力をデジタルイコライザDEQ2496にそのまま入れるのでなく、Benchmark DAC3Bでアナログに変換した後、A/Dコンバータ Benchmark ADC-1 で96kHzに変換してからDEQ2496に入れています。アナログ経由で96kHにするのは、無駄に見えますが、実は、その方が高域の定位が遥かに安定して収束することを発見したからです。
 違いは、とにかく「定位」する声や楽器の「大きさ」、それと前後の位置。44.1kHzのままだと、音像が大きいし、前後がどこにいるのかいまいちわからない。
 定位に着目していないと、なんとなく音が鮮明になった、と感じる。ただ、違いはだれにでもわかるほどの差です。

 DP-720のアナログ出力も試しましたが、最新のDACチップ ES-9028 を採用するDAC3B+ADC-1のほうが、さらに定位が良いとわかりました。(DP-720はES-9018)。Foober2000のアップサンプラーも試しましたが、DAC3+ADC1のほうが遥かに結果が良い。


 

 原因は、高域の再現精度と考えています。それを、手持ちの機材で、間接的ながら確認するために、以下の実験をしました。


周波数特性を以下の6通りで計測
 PAA3付属のCDに入っている44.1kHzのピンクノイズを、flacファイルで記録。
 DEQ2496のRTA(リアルタイムアナライザ)で周波数特性を計測。
 
 D、Eで使うPCM/96kHzのピンクノイズはDEQ2496で発生。

 @44.1kHzをFoober2000でそのまま出力してDEQ2496へ
 AFoober2000のアップサンプラーで96kHzにしてからDEQ2496へ
 BFoober2000の44.1kHz出力をDP-720でアナログ化、ADC-1で96kHzにしてDEQ2496へ
 CFoober2000の44.1kHz出力をDAC3Bでアナログ化、ADC-1で96kHzにしてDEQ2496へ
 
DPCM/96kHzをDSDディスクに変換、DP-720のアナログ化、ADC1経由96kHzにてDEQ2496へ
 
EPCM/96kHzを直接DEQ2496に入力

その結果が以下です。





500Hz以下のバラツキは、低域になるほどRTAの精度が下がるからで、低域はつねに上下にふらつきます。1kHz以上では安定していますのでこの範囲を見てください。アップサンプリングでこんなに変わる。

@の44.1kHz直接が、一番精度が悪く、高域の周波数特性が直線から外れます。同じ計測を、もとのCDに入っているピンクノイズで行っても結果は同じ。

Aのfoober2000のアンプサンプラーでの特性は、@との差が微妙。多少よいかも、とも思えますが、実際聞いてみると、定位は改善されません。

BのDP-720経由のアップサンプリングでは、@Aのように12kHz以上の特性が急変しないので、超高域の精度は上がったと思われます。実際に聴いてみると定位も改善します。しかし、Cの高域のフラットさにはまるで及ばないし、定位感も差がある。

Cは630Hz以上がぴたりとまっすぐ一直線。630Hz以下はRTAの精度不足でふらふらしていますが、低域に行くほど振幅が増えて、RTAの精度が下がっていくのまでよくわかる。

DはPCM/96kHz のピンクノイズをSACD同等のDSDに変換し、DP720+ADC1経由でRTAに入力した場合。参考まで。

EがPCM/96kHz のピンクノイズをDEQ2496のRTAに直接入力した場合。
  
Eがもっとも高精度なはずのレファレンス。

聴感通り、CのDAC3B経由が、レファレンスのEに近く、変換精度が断然よいのがわかりました。

実際にC方式で聴くと、バイオリンなどの楽器の定位が非常に小さく収束します。ほぼ、アナログレコードなみ。ハイレゾには負けますが、差はわずかです。

計測で、ここまで差が明確に出るとは思っていませんでした。

次世代のDACではハイレゾにもっと近づくのかもしれません。早く出ないかなあ、次世代DAC採用機。





     2022年9月11日
  2023年1月23日 DEを追記

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