19年 3月31日 日曜

 晴。
 天麩羅饂飩。図書館。高山羽根子『オブジェクタム』読了。中編と短編二編。表題作は、語り手の祖父の不思議な行動を描く。語り手の少年時代、祖父の静吉は、密かに壁新聞を作り、町のあちこちに張り出していた。内容は「スーパー山室と八百永青果店、ナスと柿に於ける傷み率の比較」「町内中学校の女子、スカートの長さ比較」など、事件性のない、町内情報の記事である。誰が作って張り出すのか誰も知らないこの新聞を作っているのが祖父だと知った語り手は、それを手伝い始める。「太陽の側の島」はアンソロジーで既読だがまた読んだ。南方へ出征した夫と、子供と共に自宅に残る妻との間で交わされる手紙の形式。双方で起こる奇妙な出来事。やがて、世界の構造が我々の見知った物ではないらしいことが薄ら見えてくるところで終わる。「L.H.O.O.Q.」は、死んだ妻が飼っていた犬と主人公の物語。犬は、亡妻の様に横暴で主人公を振り回したが、犬が失踪すると、厄介払いできたはずなのに主人公は犬を探し始める。高山羽根子の特徴の一つは「人間の認識可能範囲の外側で起こっている何か」が描かれている事であろう。その一部が、認識できる範囲を掠るのである。大部分は認識可能範囲の外にあるから、全体像は掴めない。「ほんのちょっと早かったら、もう少しはっきり見えいたかもしれないと思うくらいの、ぎりぎりで、少しだけ何かが見える」(「オブジェクタム」p.14)。倉田タカシ『うなぎばか』読み始める。秋刀魚の開き、ほっけの開き。オンエアで『ダーウィンが来た!』衝撃映像!高級リゾートに百万匹の大魚群。アメリカ・フロリダ半島の高級リゾート地。毎年9月、ここに百万匹のボラが大集結する。それを狙って海鳥やサメが次々と突進!さらに2mを超える巨大魚が驚きの技で襲いかかる。海水浴客のすぐ目の前で起きる迫力の攻防。ビデオ。『目がテン』。目テン30年企画「ガラパゴス諸島の科学」特別編。『美の壺・選』いい感じの“石ころ”。「青や緑など幻想的な光を放つ石」「桜の花の模様の石」「美しい風景画が描かれたような石」など、自然が生み出した不思議な石。宙に浮くかのように石ころを積み上げる驚きの技の持ち主。再放送で見るのは二回目なのだが、瑪瑙の美しさには何度でもうっとりする。『100分de名著』夏目漱石スペシャル 第4回“明暗”の“奥”にあるもの。

19年 4月 1日 月曜

 曇。夜に成って雨。
 天麩羅饂飩。買い物。読書『うなぎばか』。チキンカツ。ビデオ。『4K国際共同制作 完全版ブループラネット』第3集 生命ひしめくサンゴ礁/第4集 大海原 青い砂漠/第5集「太陽が育む“緑の海”。『探検バクモン』世界が注目!!分身ロボット。

19年 4月 2日 火曜

 晴一時曇。
 バナナ、鶏の竜田揚げ、掛け饂飩。外出せず。『うなぎばか』読了。連作短編集。うなぎが絶滅してしまった世界を描く。カバー袖には「ポストうなぎエンタメ」とある。内容は喜劇である。うなぎ絶滅に伴い閉店した鰻屋の秘伝のたれを巡る攻防を描いた「うなぎばか」。鰻絶滅を機に厳しくなった漁業規制を破る密猟を監視するうなぎ型ロボットの冒険「うなぎロボ、海をゆく」。うなぎに替わる物として売り込まれた新食材は一体なんの肉かが明らかになる「山うなぎ」など。五編。馬鹿馬鹿しくも楽しい展開の中に、「種の絶滅」「自然に対する人間の責任」「生き物を食べるということ」などの主題が顔を見せるが、深刻になる前に物語が展開してしまう。軽い娯楽読物である。馬鹿にしているのではない。むしろこういう物がもっと在った方が良いと思っている。それまでSFを読まなかった人が、それと知らずにSFを読むきっかけと成るような作品である。樋口恭介著『構造素子』読み始める。カレーライス、目玉焼き、コロッケ。ビデオ。『又吉直樹のヘウレーカ! スペシャル』この“なぜ”はほっとけない!?。次世代を担う若手研究者たち。シジュウカラの鳴き声には文法がある/馬の気持ち/カタツムリはなぜ右巻きが多いか/日本食はヘルシーか/昆虫の武器の変化。『4K国際共同制作 完全版ブループラネット』第6集 海岸 せめぎ合う命。内容も良いのだが、映像の面白さ美しさが全てを圧倒する。『人間ってナンだ?超AI入門 シーズン2』第12回 働く。『世界の哲学者に人生相談』。入門編。「哲学者って何者?」「収入は?」「もてるの?」。

19年 4月 3日 水曜

 晴。
 バナナ、鶏の竜田揚げ、掛け饂飩。図書館。読書『構造素子』。餃子。ビデオ。『朝ドラ100作!全部見せますスペシャル〜歴代ヒロインがチコちゃんに叱られる!?』。

19年 4月 4日 木曜

 晴。
 バナナ、鶏の竜田揚げ、掛け饂飩。買い物。読書『構造素子』。ハンバーグ。ビデオ見ず。

19年 4月 5日 金曜

 晴。
 バナナ、鶏の竜田揚げ、掛け饂飩。買い物。『構造素子』読了。第5回ハヤカワSFコンテスト受賞作。エドガーの父ダニエルは売れないSF作家だった。父の死後、エドガーは父の遺した草稿を手にする。その物語の中では、エドガー001と名付けられた一種の人工知能が、無限に自分を複製分岐させながら新たな物語を紡いでいた。メタフィクション。エドガー001は量子素子を使っているので、幾つもの可能性が重なり合っており、それを文章で表現している(という事だと思う)ので読みにくい。「雨は降る。雨は止む。雨は降る。雨は降らない。わからない。雨は降るかもしれない。雨は降っていなかった」(p.48)という具合。ところが読み進むに連れてだんだん読み易くなってくる。読む方が慣れてくる事もあるだろうが、文章自体が読み易くなる。我侭な物でそれがちょっと物足りなかったりする。筋立ては説明しても意味がないような物だが、エドガーとダニエルの父子関係と、ダニエルが残した草稿の内容、そして、語る者と語られる者というメタフィクション的思弁が平行して語られる。最初の方は「下手くそな円城塔」みたいな感じだが、「言葉(虚構)が独自の生命を持つ」という虚構の自律性の主題が現れてから面白くなる。物語を書くこと(コードの実行)と、書かれた物語(ログ、痕跡)という二重構造にも目を向けている。「わたしが語る言葉はわたしから離れた他者の言葉であり、わたしが語った言葉はわたしの言葉ですらないのかもしれません」(p.317)。「言葉はそれ自身で増殖し分岐していく生命体であり、一回目の人類も、二回目の人類と呼ばれたわたしたちも、言葉という生命体の仮初(かりそめ)の乗り物でしかなく、それは、言葉にとっては一回目であろうと、二回目の人類であろうと、何者でもよかったのかもしれません」(p.317)。「わたしが語る言葉は、わたしから離れ、わたしとは無関係な場所で読まれ、解釈され、わたしとは無関係にまた分岐していくのでしょう」(p.318)。「言葉は言葉を描き出そうとする意識や意志とは無関係に分岐していきます」(p.318)。「それでも重ね書きされたメモたちは、それ自身で生命を持つかのように息をし始め、お互いに呼応し、いつしか父の言葉でもなくあなたの言葉でもない、自生した言葉たちの自生した生態系を作り上げ、それを書いた者とは異なる場所で育っていった。父の言葉があなたの言葉を定義づけ、過去にあったはずの言葉が別の意味を持ち、また別の言葉を引き寄せていった」(p.339)。「あなたたちが言葉を書くとき、言葉もまたあなたたちを書いている」(p.340)。「しかし、本当はそうではなく、言葉は生命体で、宿主を探しさまよう言葉たちが、たまたま偶然にわたしたちに取り憑いたに過ぎず、それはわたしたちである必要性も必然性もないのだとしたら」(p.341)。小川一水著『天冥の標10 青葉よ、豊かなれ PART1』読み始める。豚肉の生姜焼き、目玉焼き。ビデオ。『タモリ倶楽部』「あいみょんの曲作りを勝手にサポート!? 出版社対抗官能小説プレゼン祭」昨年、紅白初出場を果たした人気女性シンガーソングライター・あいみょんが、実は官能小説の愛読家で、淫靡な比喩表現を作詞のイメージ作りに役立てているという。そこで、官能小説を手掛ける出版社の敏腕編集マンが集結し、曲作りに役立つ官能表現で勝手にプレゼン大会開催!。『ドキュランドへ ようこそ!』輪廻の少年。インドのラダック地方。チベット仏教で「高僧の生まれ変わり」とされる少年が、世話役の老人と故郷を目指す旅へ。2017年のバンフ山岳映画祭で最優秀賞に輝いた映像美。

19年 4月 6日 土曜

 晴。
 バナナ、鶏の竜田揚げ、掛け饂飩。買い物。読書『天冥の標10 PART1』。レバー炒め。ビデオ。『美の巨人たち』歌川広重「東海道五拾三次之内 京師 三條大橋」。『イッピン選』ピーンと張って 優雅に曲がる〜大分 竹細工。『THE 世界遺産』特別企画!天空の世界遺産ベスト10。
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