『週刊かすてら・愚か者の退屈な生涯』2019年第15号
19年 3月24日 日曜
晴。
妹一家来訪。近所の河原で花見。と言っても桜は一輪も咲いていない。全部ソメイヨシノにしなくても良いのにと思う。天気は良く、気持ち良く酔う。
19年 3月25日 月曜
曇。
バナナ。外出せず。昼寝。妙に疲れているのは昨日外気に当たったせいか。『飛ぶ孔雀』読了。長編だが筋立てらしいものはなく、断片的イメージの積み重ね。イメージの連鎖による緩い構築性のような物はある。一つ一つのイメージは魅力的で、ちょっと詰め込みすぎの感じもある。もっとほぐしてと言うか、たっぷり描写した方が良かったのでは。二部構成になっていて、前半は『ラピスラズリ』に比べると随分コミカルと言うか、軽い感じ。後半になると俄然凄味が出てくる。固定されている物が何もない。全てがメタモルフォーズする。犬や孔雀や大蛇は嘗て人間だったのか。石も成長する。空間も伸び縮みする。幾つもの世界が重なり合い、迷宮化している。居場所のない人たち。逞しい女たちと脆弱な男たち。人の運命を決する籤とカードは、路面電車やケーブルカーのチケットなのか。ネットで感想を読むと、苛立ちや不安と共に「判らない」という人が多い。「判らない」事に耐えられないらしい。そこが面白いのに。飛浩隆著『零號琴』読み始める。ソーセージ、鶏の唐揚。ビデオ。『目がテン』歴史研究会特別編 縄文時代から昭和まで過去9回に渡る日本人の暮らしの進化を一気に紹介。『NHKスペシャル』スペース・スペクタクル プロローグ はやぶさ2の挑戦。『美の壺・選』日本の教会。
19年 3月26日 火曜
曇。
一食抜く。外出せず。昼寝。読書『零號琴』。豚肉生姜焼き。ビデオ。『100分de名著』夏目漱石スペシャル 第3回“道草”とお腹の具合。
19年 3月27日 水曜
曇。
鶏の竜田揚げ、掛け饂飩。図書館。『零號琴』読了。巻末の「ノート」には「エキゾチックな異星の世界におけるドタバタをえがく娯楽読物」とある。その通りだが、それ以前にメタフィクションであろうと思うのだが、一言も触れていない。なぜかは判らない。人類は未知の異星種族の遺物から得た技術に依り、銀河の広い領域に生息圏を広げている。そういう植民星の一つ「美縟」で発掘される遺物の一つ「特殊楽器」と、伝統の演劇の一種「假劇」にまつわる物語。古代の楽器と假劇を再現しようとする試みと共に、美縟の特殊性と歴史が明らかになっていく。現実のアニメや特撮の駄洒落やパロディが散りばめられて擽りになっている。あんまりからかう意図はないからパロディと言うよりパスティーシュかな。登場人物の喜劇性もあって、全体に軽く狂騒的つまりドタバタの感が強いが、思弁的な内容も含んでいて、荒巻義雄の幻想SFのような感じもある。荒巻の美術に対して、こちらは音楽の幻想である。メタフィクション的に興味深かったのは二つ。一つは、、作中劇である子供向け番組に、制作者も観客も意図しなかった登場人物「かがみのまじょ」が現れる過程など「虚構の自律性」の問題が扱われている事。もう一つは(以下ネタバレ)惑星美縟の住人が、実は在来の生物に依って演じられている人間だったという「虚構と現実の逆転」という主題を含んでいる事である。上田早夕里著『破滅の王』読み始める。カレーライス、コロッケ。ビデオ。『桑田佳祐 大衆音楽史“ひとり紅白歌合戦”昭和・平成そして新たな時代へ』を途中まで。
19年 3月28日 木曜
晴。
一食抜く。外出せず。昼寝。読書『破滅の王』。ハンバーグ、目玉焼き。ビデオ。『桑田佳祐 大衆音楽史“ひとり紅白歌合戦”』を最後まで。録画しようか迷った番組だが面白かった。『人間ってナンだ?超AI入門 シーズン2』第11回 老いる。『ろんぶ〜ん』「謝罪」の論文!日本人の謝罪戦略が丸裸?&謝罪は怒りを鎮めるか?。中国人の研究者が日本と中国のテレビドラマの謝罪シーンを比較。両国の謝罪戦略の違いを明らかにした「言語学」の論文。そして、怒っている人の脳波や皮膚反応を計測。怒りに対し謝罪がどんな効果があるのかを解明した「比較認知科学」の論文。
19年 3月29日 金曜
曇。
鶏の竜田揚げ、掛け饂飩。買い物。読書『破滅の王』。鶏の唐揚、揚げ春巻。ビデオ。『チコちゃんに叱られる!』春の拡大版。エープリルフールの謎/4月1日生まれはなぜ前の学年か/花見はなぜ桜の下で騒ぐ/おはぎとぼた餅の違い/サウナはなぜ火傷しない/ビュッフェとバイキングの違い。『タモリ倶楽部』「ハイエンド機材で脳ミソとろっ!?超ハイクオリティ咀嚼音クイズ」今世界中で女性が物を食べるだけの咀嚼音動画が流行!咀嚼音をBGMにすると良く眠れる、勉強がはかどるという若者も多い。咀嚼音やささやき声、耳かきの音などがASMRつまり脳がとろけそうに気持ち良くなる音と呼ばれている。ASMRの中でも中毒性が高いと言われている咀嚼音を最高の機材で収録、最高の咀嚼音を楽しむと共に何を食べているのかクイズに挑戦!。『地球ドラマチック』ミレニアル世代の転職日記〜“幸せの青い鳥”はどこに?。都会を離れ、大自然の中で、人生を再スタートさせようと奮闘する若者たちを描くイギリスの番組。
19年 3月30日 土曜
曇後雨。
一食抜く。昼寝。『破滅の王』読了。第二次大戦中に中国と欧州で起きたバイオハザードを描く架空歴史サスペンス。『零號琴』とは打って変わって、淡々とした筆致で緊張感を高める。登場人物も皆シリアス。人間に絶望した研究者が作り出した治療法のない細菌兵器を巡って、日本、中国、ドイツ、軍人、研究者、医師、反日組織などが入り乱れる。私腹を肥やそうとしたり、非人道的な方法で成果を上げようとしたりする小悪党は皆端役で、主要な登場人物は敵も味方も自分なりの理想を持って行動している。展開は残酷で救いもないが、作者の誠実さが感じられて清々しい。この作者の作品は何時もそうだ。藤井太洋著『ハロー・ワールド』読了。連作短編。読み易く、一編はアンソロジーで既読だったためもあり、あっという間に読了。ハッキングによる盗聴盗撮、ドローン制御、ネット検閲、仮想通貨など、ITを扱った現代SF。いずれも多くの問題がある事を考慮に入れた上で、希望の持てる結末。今どきのSFには珍しい前向きな作品で、晴れやかな読後感。藤井大洋は日本SF楽観担当である。ネタバレに成るが、最終話の仮想通貨に依るベーシック(ユニバーサル)インカムというのは大変に面白いアイデアだと思う。鳥肉の生姜焼き。ビデオ。『ダーウィンが来た!』落ちたら最後!アリジゴク。
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