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ただ、唯一の例外はこのトラーニだ。なかなかの穴場だと思う。
ドイツ人は団体でやってくる
さすがはドイツ人。そんな穴場を見逃すはずはなし。団体観光バスで乗り付けてくる。
一番のお目当ては大聖堂。やはり、この立ち姿はあまりにも美しい。しかも、内部もおもしろいときている。内部は三層になっていて、追加工事のたびに上の層が拡張されてきた歴史的経過を見ることができる。古代ローマやビザンチン由来の建材も使われている。木造の屋根の構造も見られる。一見の価値あり。
そして、フェデリコ2世が立てた城。装飾性がないノルマン式だけれど、フェデリコらしい端正な美しさがあって私は好きだ。
町並みも、南イタリアにしてはやけに整然としていて、どことなく北の雰囲気がある。港も、きれいなヨットが多く、港町的な雑然とした雰囲気はない。
トラーニは、その昔ヴェネチアの領地だったことがある。やはり、ヴェネチア人のセンスが街に生きているのだろうか。
生ハマグリ?
寒い中、あちこち歩き回ったものの、庶民的なレストランであるトラットリアもピッツェリアも見つからず。仕方なく、ただ一つ見つけられた店、ちょっと高級めのレストランに入った。
席に座ると、いきなりシャンパンがグラスに注がれる。食前酒だそうです。ワインは?と聞かれ、”赤のハウスワイン”と答える。しかし、
”ハウスワインはありません。ボトルだけです。”
と、言われてしまう。恐るべし高級店の掟。仕方なく、店のお奨めワインとする。
前菜は何か?と聞かれ、魚をお願いしたいと言う。”それでは、貝類の前菜はいかがでしょう”なんて言われて了解。
で、出てきた生の貝。全部、生。まあ、カキが生なのは普通ですが、それはハマグリではないんでしょうか。もしくは巨大なアサリ。レモンをじゅっとかけて、うん、おいしいけど、ちょっと不安。お店の人曰く”生の方がおいしい”。いや、その通りですが、そう言われましてもね。日本でこれが出ても心配しないんですが、ここはイタリアだし…。
そんな滑り出しながら、メインもしっかり食べ、ワインが余ったこともあって、最後にチーズの盛り合わせを頼んだ。珍しいチーズがいくつかある。珍しくて食べたことがないため、発酵しているのか、腐っているのかの判別つかず。一番おいしかったのはムッカ(*)という名前だそうで、もっとも腐っているように見えた。
全体的においしく、高級店とはいえ物価の安いプーリア値段で、全部で5500円程度。慣れない食べ物に対する不安感さえなければ最高だった。やはり、普段からそれなりの店に行っておかないと、せっかくの料理も楽しめないものです。
* ムッカ(Mucca)は「乳牛」の意味であるため、本当にチーズの名称なのかは不明。