![]() |
![]() |
![]() |
![]() | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

サレント・イン・バス(Salento in Bus)は、
バスの中では静かにしなさい、という意味じゃなくて(すいません、駄洒落です)、
夏だけサレント半島を走る季節バスのこと。
そして何よりも、その画期的な仕事ぶりには感動を覚えるほど。もの凄く画期的で便利なバスだ!
そう、画期的なところ(嬉しくて何度も画期的と言っちゃう)をいくつか挙げてみると、こんな感じ。
1位 切符がバスの中で買える。
2位 バス停にその名前と時刻表が書いてある。
3位 一路線につき、一日5本以上の便がある。
4位 (ほぼ)時刻表通りにバスが来る。
5位 車掌さんが乗っている。
凄いでしょ。便利でしょ。いやいや皮肉じゃなくて、ホントに感激ものです。
夏だけ働くスタッフの皆さんに拍手!
そんなわけで、2004年夏、サレント・イン・バスでレウカ岬を訪ねてみようと思った私は、レッチェの街に到着するなり、まずは切符を買える場所を探した。
しかし案の定、切符を売っている場所は見つからなかった。バス停の近くのバールなら売っているだろうと訊ねてみたけれど、切符は扱ってないと言われてしまう。
そのバールのおじさんが言うには「切符はバスの中で買える」とのこと。けれど、最初はまるで信用していなかった。きちんと準備しておいた方が面倒がないと思い、何とか切符を売っているバールを見つけ、そこで切符を買った。
ところが実際にバスに乗り込もうとしたら、予め切符を持っていたのは私だけ。ほかの人たちはみな、運転手から切符を買っていた。
ホントに買えるんだぁ!
インフォメーションで手に入れていた"Salento in Bus"のパンフレットをあらためて開いてみると、なるほど、こう書いてあった。" Tickets on board! "
"Fermata"だけじゃないバス停!?
イタリアのバス停はそっけない。ただ、"Fermata"(バス停)の文字とバス会社の名前があるだけ。バス停の名前なんて書いてないから、そこにお目当てのバスが来るのかどうか、はっきりしない。
しかも、日本では「役場前」「スーパー前」という"点"でもって名付けるのに対し、あっちでは「ローマ通り」とかの"線"で名付ける。
800mもあるローマ通りの、どこを探せというのか。ローマ通りを端から歩いて、やっとバス停を見つけても、それが本当に時刻表に載っている「ローマ通り」という名のバス停なのか、確信がもてない。だって、"Fermata"としか書いてないし、そこに例えばサン・ドメニコ教会が建っていたりして、普通なら、そのバス停を「サン・ドメニコ教会」と名付けるのではないか、との疑問がわいてくるからだ。
定刻通りにバスが来ないのは、バス停を間違えためなのか、はたまた、いつものように30分だけ遅延しているだけなのか・・・。本当にバスが来るまで不安でならない。そのバスに乗れなければ、目的地に行けるのは、明日になってしまうからだ。
しか〜し、"Salento in Bus"なら心配ご無用!
名前がちゃんと書いてあるし、時刻表までばっちり。心穏やかに、バスを待ち続けることができる。
ちなみに、邦題『バスを待ちながら』という映画が私は好き。このバスとは関係ないけど。
一日5本も走ってる!?
"Salento in Bus"の時刻表は、インターネットでダウンロードできる。
最初にこれを見て感動したのは、各路線、一日5本から9本の便があって、夜遅い便も用意されているということ。
ともかく、交通の便が悪いプーリアでは、午前中に往路と帰路が1本ずつだけとか、土日は便が一本もないとか、そんな路線が多い(あえてそういう場所を選んで行こうとするせいもあるのだが・・・)。
しかし"Salento in Bus"なら旅程も自由自在。一日5本以上あれば、きつい旅行計画をたてる必要もなし。一本乗り過ごしても帰れなくなるような心配もなし。夜遅くまでバスが走ってるから、目的地での滞在にも余裕が出てくる。すばらしい。
まあフツーの常識では「一日に5本しかない」と言うべきでしょうが・・・、その辺りは、プーリアでは深く考えてはいけないのです。
喜ばしきかな、一日5本のバス!
えっ、もう来たの!?
飛行機はたぶん遅れる(あなたの乗る飛行機は、きっとまだ空の上)。鉄道はきっと遅れる(定刻になったら、ぼちぼちホテルを出よう)。バスは間違いなく遅れる(遅れは40分なのか1時間半なのか、それが問題だ!)。
なんてこと思っていたら、"Salento in Bus"は、ちゃんと来る。それなりに。
到着が30分くらい遅れたこともあったけれど、それはレッチェから半島の先端部であるレウカまで、はるばる走っての話。これは日本でもあり得るバスの遅れというもの。
イタリアの時間感覚で言えば「全く遅延がない」バスだ! ・・・ちょっと言い過ぎでしょうか?
車掌が乗ってる!?
"Salento in Bus"では、たいていのバスに、学生アルバイト風の若い車掌が乗っている。
ホントはアシスタントと言うらしいが、バスガイドではないし、古風に「車掌」と呼ばせてもらおう。
綺麗な女性が多く(イケメンの男性の場合もあり)、車内の空気が何となく華やぐ。もっとも、それ以外のことでは、あまり役には立ってはくれないのだが・・・。
バスの切符を売ってくれるわけじゃなし(切符売りは運転手の仕事)。「次の停留所は・・・」と、一度アナウンスしたかと思うと、それっきりで次からのアナウンスは一切なし。笛を吹く様子もない。
何か聞けば答えてくれるのかと思いきや、ターミナルに停まっていたバスの中を覗き込み、「このバス、レッチェに行きますか?」と尋ねてみたら、返事をしてくれたのは運転手のほうだった(お嬢さんたちは、おしゃべりに夢中だったのでした)。
サレント半島での最後の旅程を終え、もう何も尋ねることもなく、何の用件もなくなったというそのとき、私の前の座席に座ったかわいい車掌さんが、私の方を振り向いてニッコリと笑った。
「外国人の方ですね。私はこのバスのアシスタントです。何かお手伝いできることはありますか?」
はいっ! もう何も言うことはありません!
夏になったら"Salento in Bus"に乗ろう。若くて綺麗な車掌さんたちが、きっと君を待っている。