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Martina Franca

マルティナ フランカ  <1997年>戻る

白い迷路の街

白い家々が密集していて、曲がりくねった迷路のような路を散策するのが楽しい。街の1区画がまるで1つのマンションみたいにくっついている。これだけ交錯していると、どこまでが誰の土地で、壁のどこまでが誰のものなのか、さっぱりわからないと思う。これじゃ建て替えやら増改築やらで、隣の人ともめるだろうに、なんて余計な心配をしてしまう。

怪しい二人組

私が行ったときは、たまたまアンティーク市で賑わう日曜日だった。
ある店では錆び付いたドアのノブがたくさん並べられていたけれど、どう見てもがらくた。使えそうにもない感じだが、商売になっている。それを手にとって不思議そうに眺めていると、二人組の男の視線を感じた。

ハンチングをかぶったおじいさんと、黒い革ジャンのおじさんが、私の方を見ながらヒソヒソ話をしている。これは気を付けなければ。
私がその場を立ち去ろうとしたとき、おじいさんが話しかけていた。「そのカメラ、見せてくれませんか。」やはり、ねらいは首から下げていた金目のものだったか。思わず、一歩後ろに下がる。そして、おじいさん曰く「決して触ったりしません。」

というわけで、とりあえず話を聞くことに。

私のカメラはContaxG1といって、レンジファインダー式のちょっとレトロなデザインのもの。”Contax”は元々ドイツの古いブランドだけれど、今は本家ドイツでは製造されておらず、日本の京セラが復活させたようなブランドになっている。94年に古い時代のContaxを思わせるG1が登場。ヨーロッパでも評判になった。
で、このおじいさん、本家Contaxで働いていたこともあって、60年間Contaxを使い続けているという話。最新技術で復活したレンジファインダー型Contaxに興味津々だったらしい。

愛機を危険にさらす

まあ、それだけじゃ信用できませんわね。
でも、おじいさんの質問や表情で、だんだんホントの話だと思えるようになった。レンズの"Carl Zeiss"(これもドイツブランド)の銘を見つけると、うれしそうに「レンズはドイツ製?」と聞いてきた。でも私が"Made in Japan"の刻印を示すと、がっかりしたように苦笑しておられた。
値段はいくらですか?日本ではもっとやすいんでしょう?次から次へと質問責め。そして、この質問を聞いて、私はすっかりこのおじいさんを信用できると思った。それは「内蔵コンピューターには絞りやシャッタースピードのデータが記録されるのか」という質問。私が「記録されません」と答えると、また残念そうな表情。私自身、そんな機能を付けて欲しいと思っていたから、何の根拠もないのだけれど、妙に共感してしまい、すっかりおじいさんを信用することに。
ヴィットリオエマヌエレ大通り

で、私は首からカメラのストラップをはずし、おじいさんにカメラを差し出すという危険な行為に及ぶ。しかし、私が「どうぞ」と言っても、最初の約束通り、決して触ろうとしなかった。結局、私が手に持った状態でファインダーの中を覗いてもらった。

さて、もう一人のおじさんの方だけれど、彼は息子さんらしかった。おじいさんから近づかないように言われていたようだ。私とおじいさんが話しているところから、常に3m以上離れて様子を見ていた。
最後に二人と握手して別れる。何か、警戒心ばかり先に立っていた自分が恥ずかしくなる出来事だった。
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サンタントニオ門

<旅行メモ>

バーリからSud-Est線で、アルベロベッロから2つ目の駅

レッチェからの場合もやはりSud-Est線がお勧め。Novoli経由で行ける。このあたりは沿線風景がおもしろい。

問題は駅を降りてから。
駅前は近代的な団地が立ち並んでいる。旧市街は駅を出て左斜め前の方向にある。
駅前の大通りの向こう側に階段があるので、それを上がり、団地の中の幅の広い道を直進。大通りに出たら左へ。やがて、広場に出る。その奥に右の写真の門がある。ここからが旧市街。